有機農業という言葉が生まれて間もなく半世紀を迎えます。
農業の近代化の過程で生まれた農薬や化学肥料の多投、モノカルチャー化による環境破壊、搾取的な労働など様々な問題が露わになった1971年に、いわば社会運動として始まりました。
当初有機農産物は市場にほとんど流れず、「提携」という農家と消費者が直接つながり支え合うという特殊な仕組みの中で発展していきました。その後、生協とつながり、さらに少しずつスーパーの店頭にも 並ぶようになり、有機JAS法、有機農業推進法なども制定され、広く認知されるようになりました。
しかしいまだに有機農家の数は約1万軒程度で全農家数の0.5%、流通する農産物は全体の1%にも満たず、栽培面積も全農地の0.4%に過ぎないのが現状です。そして残念ながら、農薬の多投もモノカルチャー化も、そして搾取的な労働も解決していません。
どうしたら有機農家がもっと増えるのか? どうしたら有機農産物が当たり前に食卓に並ぶようになるのか?
そもそも需要がない? それとも供給が足りてない?
長期的な視点に立てば、有機農業は社会が持続していく上で絶対に必要なものだという確信はボクにはあるのだけど。
まずは需要の点から。
あらためて皆さん、有機の野菜を食べたいと思いますか?
農水省の調査や研究調査では、有機農産物のイメージはおおむねよい。「安全性が高い、美味しい、健康を改善する、自然環境を保全する」 でも一週間に1回以上購入する人の割合は実際には2割弱。(←これって全然買ってないじゃん!って思うけどね)
では価格がネックになっているのか? 有機は慣行のものよりも高い。で、調査結果では、同価格、せいぜい1〜3割高以内なら有機を選ぶという。(←これでは有機に転換を目指す農家は躊躇するでしょうねえ…)
知り合いにも聞いてみる。
「日本の野菜はそもそも安全でしょ? その中で有機を選ぶ理由がない。」
「普通の野菜でも十分美味しいのに」
「福島か他県かなら福島を選ぶけど」
「わざわざ高いのは選ばない」
たぶんこれが標準的な意見だと思います。
ここから分かるのは、多くの人にとって有機農業は、それに関わっている人ほど価値や意義があるとは思っていないということ。少なくとも有機はブランド物のようには認知されてない。特に新鮮な野菜が手に入りやすい農村部では、有機農産物はちょっとだけイメージはいいけど、絶対的なものではないのです。
やはり有機農業とは何かを地道に発信していくしかありませんね。ただ運動のような堅苦しいものだけではダメだということは震災後の風評を乗り越えるための活動で判ってきました。
あのオルガン堂のように楽しく、美味しく。でも科学的にはしっかりとした裏付けを。
で、今ちょっと欠けているのはおしゃれな感じですかね。
豊かな自然に育まれたお米・野菜たちってホントに美味しい!
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