2017/2/12 | 投稿者: huamiee
私は毎日バイク(小型二輪)で通勤している。
昨夜、いつもの幹線道路の片側2車線の内側を走行、あと一分で自宅到着という付近。
中央分離帯に沿って車道の真ん中をふらふら動く人影が見えた。
「?!」と思い、速度を緩め、その人影と平行になるよう車輪を進める。
車の流れのタイミングをみて、すこしだけ人影を追い越して一瞬停止することができた。
後ろを振り返り、ヘルメットのフィルターを上げると、そこには帽子をかぶった60代と思わしき初老のご婦人が立っていた。
車道のコンビニの白暗い光と前方のテールランプの赤い光で、そのご婦人の顔はひどく濁った色相で浮かび上がっていた。
「なんでこんなとこ歩いてはるんですか?」
「危ないんちゃいます?轢かれますよ?」
「歩道、歩道を歩いてくださいね!!」
矢継ぎ早にばばばーっとしゃべると、ご婦人は
「あ…あ…」
と少し口元が緩み、うっすら微笑んだかのようだったが、
私の言葉を理解したようには思えなかった。
ここにバイクを一時停止して、ご婦人を歩道まで導くか、
バイクを先に歩道に移動してご婦人を連れに道路をもどるか。
…。
…いや待て、これはマナー無視デフォルトのいわゆる困ったおばちゃんなんじゃないのか。
店でも本当に多いこの手のおばちゃん。
自分本位の塊で、社会に適応する気ゼロのおばちゃん。
さらには聞き手には全く関係のないの人間の悪口妬み僻みをリミックスした負の波動を放出し、相手に瀕死のダメージを与える。
私はこの攻撃によって何度も撃沈し、底なしの泥沼をなんとか生還してきた。
その過去のトラウマが、今ここにいる「おばちゃんを安全な場所に移す」という慈善な行為をわずか数秒で遮断させた。
前方の車が進みだし、後続車もきていたので、私は発進するしかなかった。
正確に言うと、そのご婦人を見限り、放置して発進した、のだった。
数メートル進んで、さすがに気になって右のサイドミラーに目をやった。
目を疑った。
そのご婦人が小走りで私のバイクの後を追いかけてきている。
小走りなのに、小走りなのに、なぜバイクと同じ速度でミラーに写っているのか。
先日、友人から「バックミラー見るなよ?」とおばけの話で脅かされたことが頭によぎる。
ぞぞぞぞぞぞ。
前の信号が赤になり、バイクを停止。
サイドミラー越しに極々直近に人が映りこんでいるのはわかっている。
それも上半身のみだ。ほぼ、ほぼ真横にいる。
怖くてミラーを直視できない。もちろん右側を目視するなんて絶対無理。
もう、非人道的に逃げたとかそんな負い目の感情はなくて、ひたすら怖い。
青になると同時に、自宅まで一直線、エンジンを全開した。
まだ小走りに追いかけてくるご婦人は、そのまま小さく見えなくなり、私は帰宅した。
帰宅してすぐにだんなにそのことを言うと、
「認知症で徘徊してるのかもなぁ。警察言ったほうがいいのかも。家族探してるかもよ。」
と言われ、確かにそうだ。そうだよね。冷静になったらそうだよね。
と思いなおして、
「ちょっと、もう一回見てくるわ。」と家を出た。
さっき出会った信号付近まで急ぎつつ、周りを凝視しながら戻ったが、もうそのご婦人の姿はどこにもなかった。
後で、「バイク路肩に寄せて、その場で警察電話するとかどうして思いつかなかったんだろう」とか「警察呼んでも、あの人見失ったらりしたら説明ややこしいし」とか「警察呼んだら、こっちも事情聴取とかで小一時間つぶれるからなー」とか色々モヤモヤした。
そして、ふと、
「あの人がもし自分の母親だったら…」
と考えてしまい、ドツボに落ち込んだ。
嗚呼、あのあとすぐ、私でない誰か親切な慈悲深い人に保護されたと願っています。
18
昨夜、いつもの幹線道路の片側2車線の内側を走行、あと一分で自宅到着という付近。
中央分離帯に沿って車道の真ん中をふらふら動く人影が見えた。
「?!」と思い、速度を緩め、その人影と平行になるよう車輪を進める。
車の流れのタイミングをみて、すこしだけ人影を追い越して一瞬停止することができた。
後ろを振り返り、ヘルメットのフィルターを上げると、そこには帽子をかぶった60代と思わしき初老のご婦人が立っていた。
車道のコンビニの白暗い光と前方のテールランプの赤い光で、そのご婦人の顔はひどく濁った色相で浮かび上がっていた。
「なんでこんなとこ歩いてはるんですか?」
「危ないんちゃいます?轢かれますよ?」
「歩道、歩道を歩いてくださいね!!」
矢継ぎ早にばばばーっとしゃべると、ご婦人は
「あ…あ…」
と少し口元が緩み、うっすら微笑んだかのようだったが、
私の言葉を理解したようには思えなかった。
ここにバイクを一時停止して、ご婦人を歩道まで導くか、
バイクを先に歩道に移動してご婦人を連れに道路をもどるか。
…。
…いや待て、これはマナー無視デフォルトのいわゆる困ったおばちゃんなんじゃないのか。
店でも本当に多いこの手のおばちゃん。
自分本位の塊で、社会に適応する気ゼロのおばちゃん。
さらには聞き手には全く関係のないの人間の悪口妬み僻みをリミックスした負の波動を放出し、相手に瀕死のダメージを与える。
私はこの攻撃によって何度も撃沈し、底なしの泥沼をなんとか生還してきた。
その過去のトラウマが、今ここにいる「おばちゃんを安全な場所に移す」という慈善な行為をわずか数秒で遮断させた。
前方の車が進みだし、後続車もきていたので、私は発進するしかなかった。
正確に言うと、そのご婦人を見限り、放置して発進した、のだった。
数メートル進んで、さすがに気になって右のサイドミラーに目をやった。
目を疑った。
そのご婦人が小走りで私のバイクの後を追いかけてきている。
小走りなのに、小走りなのに、なぜバイクと同じ速度でミラーに写っているのか。
先日、友人から「バックミラー見るなよ?」とおばけの話で脅かされたことが頭によぎる。
ぞぞぞぞぞぞ。
前の信号が赤になり、バイクを停止。
サイドミラー越しに極々直近に人が映りこんでいるのはわかっている。
それも上半身のみだ。ほぼ、ほぼ真横にいる。
怖くてミラーを直視できない。もちろん右側を目視するなんて絶対無理。
もう、非人道的に逃げたとかそんな負い目の感情はなくて、ひたすら怖い。
青になると同時に、自宅まで一直線、エンジンを全開した。
まだ小走りに追いかけてくるご婦人は、そのまま小さく見えなくなり、私は帰宅した。
帰宅してすぐにだんなにそのことを言うと、
「認知症で徘徊してるのかもなぁ。警察言ったほうがいいのかも。家族探してるかもよ。」
と言われ、確かにそうだ。そうだよね。冷静になったらそうだよね。
と思いなおして、
「ちょっと、もう一回見てくるわ。」と家を出た。
さっき出会った信号付近まで急ぎつつ、周りを凝視しながら戻ったが、もうそのご婦人の姿はどこにもなかった。
後で、「バイク路肩に寄せて、その場で警察電話するとかどうして思いつかなかったんだろう」とか「警察呼んでも、あの人見失ったらりしたら説明ややこしいし」とか「警察呼んだら、こっちも事情聴取とかで小一時間つぶれるからなー」とか色々モヤモヤした。
そして、ふと、
「あの人がもし自分の母親だったら…」
と考えてしまい、ドツボに落ち込んだ。
嗚呼、あのあとすぐ、私でない誰か親切な慈悲深い人に保護されたと願っています。
