先週は、ベーシストの飯田雅春さんに曲に参加していただき、一緒に録音をしました。(前の記事で「ジャズベーシスト」と書いたら、飯田さんはジャンルを問わない「ベーシスト」の方がいい、とのこと。)
ちょっとイメージが伝わりにくいかも、とも思っていた私のオリジナルのスローな変拍子の曲、私はごくラフなスケッチだけでレコーディングに臨んだのですが、飯田さんはベースでとても美しく歌って下さいました。
ところで、この日はレコーディング中のスタジオに、音楽プロデューサーの川村年勝さんが聴きに来てくださいました。ご感想を寄せてくださったので、掲載させていただきます。
「美しい人」(笑)と書いて下さったのはご愛嬌。「超美人」に書き換えてもいい、とも言ってくださいましたが。(爆)
「水面に跳ねる音の粒」
録音スタジオの扉を音を立てずにそ〜と開けると森の匂いがしました。
もっと正確に云うなら木々の香りが充満していたのです。
ウッドベースとカンテレ(フィンランドの楽器にして木製)のヂュオだったからかも?
アコースチックな組み合わせだからということはもちろんあるけれど、それだけの理由だったら幾度も経験しているので特に匂ったり、香ったりはしないはずです。
カンテレ奏者があらひろこさんだから(美しい人なので)とも思いましたけど、それが要因だったようでもないようです。
「音楽」がさまざまな物語の情景を匂い付きで演出しているのですね。
森の中に小さな池があるんですよ、木々の隙間から木漏れ日が水面に反射してキラキラと光っています、その光は比較的小さな粒です。
カンテレの音がその」粒なんです。小さな粒と見えたのは八分音符とか16分音符とかが多かったからそう見えたのでしょう。
気温が上がってきたせいでしょうか、水温があがったせいでしょうか?
池の淵に薄くて白い雲のようなもやが立ちこめます。
幻想的な景色です。もしかしたら日本ではないかも知れません。
充満したもやはウッドベース音が彷彿演出してくれたのですね、
この日の飯田雅春はアルコは使わずフィンガーリングだけでしたけど、
十分幻想的で叙情的なイメージが伝わりました。
新鮮です。
演奏は若いのですがエネルギーを感じます。
エキサイティングな演奏とは聴こえませんが内から湧き出るエネルギーを呼吸することが出来ます。
うねりがなくて残念でしたけど穏やかで荒さんファンにはかえって良いのかもしれない。ベース(特に3弦の音域)に乗り切れた時のカンテレ音はきれいだと思いました。
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川村さん、ありがとうございました。
このアルバムの全体のイメージが、まさに、「森の中のふっと開けた、光が差してくるところ」なのです。
フィンランド語では、そんな場所をあらわす aho(アホ)という言葉があるのですが、日本語でちょうどいい言葉、なかなか見つかりません。

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