2011/2/24

妻へ  葬儀司会

 お前と出会い、何年の月日を共に過ごしたのだろう。

 幾春秋を共に苦しみ、共に励まし合って生きてきた。

 傷付け合い、何度も喧嘩した。

 その時、どういう気持ちで、俺にそのことを告げたのか。理解してやろうとしなかった。

 お前が、病気になった時、もし、死ぬことになったら、一緒に死んでやろう。と、思った。子供達を遺して死ぬなどと、今、考えれば笑えるが、お前がいない人生なんていらない。

 お前が側にいてくれる。ただ、それだけでよかった。

 いつの間にか空気のような関係になり、有難い。と、思うこともなく、何をしてくれても当り前になっていた俺を許してほしい。

 覚えているか。最初に旅行した時のこと。

 長い道のりを二人で手をつないで歩いたな。

 覚えているか。二人でお寺に行ったこと。

 お墓掃除をしながら蚊にいっぱい刺されたな。

 「私が先に死んだら、あなたがかわいそうだから先に死んでね。でもやっぱり、私が先に死ぬ。だって、さみしいもん。」

 と、言った…。

 今日は雨が降っている…。

 息をしていないお前が、俺の横で眠っている…。

 雨もいいものだな。

 葉っぱの上に雨が落ちる風情がこんなにいいものだと、この年になるまで気づかなかった。

 お前のことばかり見ていたんだな。

 旅行にもっと連れて行ってやればよかったな。

 お前、幸せだったか…。

 明日は、お前の葬式。雨がやむといいな。

 もしかしてお前が泣いているのか。

 後何年、生きることができるのかわからないけど、がんばって生きていくことにする。

 明日は泣かない。みんなに「つめたいご主人ね。」って、言われるだろうけど、そんなこと、俺とお前がわかっていればいい。

 ずっと愛していた。

 大好きだった。

 みんながいるからお別れのキスもしてやれない…。

 今までありがとう。心から感謝している。
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