2008/10/15

ラスト、コーション  映画

 「ブロークバック・マウンテン」の監督、アン・リー作品。

 戦時中の上海と香港を舞台に、抗日派のスパイとしてワン(タン・ウェイ)は、親日派の特務機関のリーダー、イー(トニー・レオン)に近づき暗殺の機会を狙う。ワンはイーを誘惑し、任務として男女の関係になるが、ワンは任務と思いつつやがてイーに引かれてゆく。イーもこの虚構に彩られた時代に、唯一確かなものとして、ワンの肉体を求めてゆく‥。

 大胆な性描写が話題になった作品で、18禁だったとか。結構楽しめました。いやー18禁という意味ではなく‥。

 鑑賞は、先日の日曜日。早朝から、まるで「特命を帯びたスパイ」のように、息子が起きてくるのを気にしながら(カミさんは絶対起きてこないが、息子は休みに限って早起き)、こそこそと鑑賞。
 案の定、6時30分ごろ息子が起きて来て一時中断。
 午後から、息子とカミさんが買物に行った隙にまた鑑賞続行。
 それで、ラスト近くの自転車タクシーでヒロインが逃げるいいところで、また帰宅で中断。
(いいところだったのに!)
 結局、コレ以降キワドイシーンは皆無と判断して(当たっていたが)、鑑賞を息子が居ても続行。
 とまあ、途切れ、途切れに見ましたが、充実した映画鑑賞でした。

 大島渚の作品を思い出しました。前半は「青春残酷物語」、後半は「愛のコリーダ」。前半は、学生の無知ぶりの暗殺計画で、大きな代償を払わされます。後半は、運命的は出会いで出会ってしまった二人のSEXのみしか確かな実感が湧かない虚無感が「愛のコリーダ」を思い出させました。

 端正な演出に、大胆な性描写、あのセックスシーンがなかったら、この映画の充実感はなかったと思います。
 また、セックスシーンはリアルでありながら、私には美しく見えました。それに彼女(タン・ウェイ)のあどけない顔が段々妖艶になっていく様も面白かった。トニー・レオンもよかったです。

 日本人街の料亭で、タン・ウェイがトニー・レオンに歌を歌うシーンの美しさ。トニー・レオンの悲しい表情とタン・ウェイのこの刹那を楽しむ幸せそうな表情。このシーンは、それまでのリアルで濃厚なセックスシーンがあったらこそ、美しさと切実感が出ていたと思います。

 ラスト近く、タン・ウェイが自転車タクシーで逃げるシーン。喧騒のなか、陽気に話しかける運転手。糸が切れた凧のように虚無な表情のタン・ウェイ。タン・ウェイの不安定な気持ちを表す名シーンでした。

 そのあとの終わり方もよかった。捕まったタン・ウェイの処刑シーンはなく、代わりに採掘場の断崖の下の暗黒が映される。そしてタン・ウェイのいなくなった部屋で、トニー・レオンの悲しそうな表情で終わるのです。

 美しくも、スリリングで繊細な映画でした。
 ☆☆☆☆。


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タグ: アン・リー



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