2011/12/8

映画「エンディングノート」  映画

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    映画「エンディングノート」(砂田知昭さん)

 先日、息子の部活の試合で、子供たちを亀田まで送っていくことになり、朝早く出ました。試合中は何にもすることがなく自由でしたので、映画館が近くにあったので、映画を見ることに。

 で、見たのが「エンディングノート」。

 これがなかなかの拾い物、というか素晴しい映画でした。まったく予備知識なしで、ただ「誰も知らない」等の監督の是枝裕和・製作ということだけをたよりに見ました。

 69歳の男性がガンで死を宣告されてから死ぬまでの半年を中心にしたドキュメンタリー。もうそれこそ高度経済成長まっただ中で、企業戦士としてやってきた男性が、67歳で退社、69歳で健康診断でガンが発見され、そのときすでに末期。で、何事もしっかり段取りをしないと気が済まない性格の彼は、自分が死んだときのためのマニュアル「エンディングノート」をPCに書き始める。

 かなり早い進行ガンで、結果としては半年で死んでしまうのですが、それを是枝の作品などの助監督をしていた娘が克明にカメラに納め、脚本,編集、初監督作品としたものです。

 見る前は、素人ビデオを寄せ集めて、お涙ちょうだい的なものなのかな、と思いましたが、映画を知っている人の手で撮影、編集、また主人公を良く知る人(娘だから)の脚本で、ナレーションをまたその娘が主人公(死んだ父)に成り代わって一人称で語られる。もうドキュメンタリーを超えて、まるで是枝裕和の作る映画のような趣き。

 しっかり感動させ、また現実の死というものがどういうものか、死にまつわる様々な雑用をこなしていかなければならないこともちゃんと見せて行きます。私が体験した母の死ならびにその後の後始末とまったくダブってしまいました。

 自分の体験と近かったせいか、見ながら涙が止まりませんでしたが、結局死ぬことがつらいのでなく、家族と死ぬまで絆を結べたことが感動につながり、泣けてくるのです。居なくなるつらさは、家族にはあったでしょうが、見る側は、男性の死を通して彼と家族の繋がりに感動してしまうのです。

 驚くのは、この男性の古い小さい頃のスチール写真があるのは当たり前ですが、ムービィでかなりのものが残っているのが驚きます。何十年前の妻との結婚披露宴や、家族旅行の万博や、子供たちが小さいころのビデオ、まだ退職時のお祝いパーティのムービィ。そのころの日常の生活など、まさにこのために撮りためてたような感じです。
 それが見事に編集され、また一人称で語られるナレーションがまた良く、結果的に映画的な感動を覚える作品になりました。

 まさに是枝プロデュースの家族ドラマです。
 また新しい才能の誕生も見ることが出来ました。監督名は砂田麻美。男性の三女で、慶応の在学中からドキュメンタリーを撮っていたとかで、日常でもよく家族を撮っていたようです。挿入されていた98年ごろの男性の父が痴呆症になってからの映像もあったり(地方の医者で、医院をやめてからも、患者が来ると診療室にいるのです)、多分在学中に撮ったもののようです。
 まあ、たまたまそんな素材があり、たまたま娘がその方面の才能があったのでこの作品ができあがったのでしょう。奇跡的な映画です。

 死を前向きに受け入れながら、しっかり生きることの素晴らしさを改めて感じさせる映画でした。

 映画「エンディングノート」公式サイト
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