2013/6/22
「愛と誠」 映画

三池版です。
☆☆☆。(☆5個が満点)
梶原一騎(原作者)に小・中・高校と言ってみれば育てられたクチですから、この原作に対する思い入れもひとしおですが、けっこううまく漫画のエッセンスがまともに取り入られていて感心しました。
実際あの原作をまともに実写化すれば、歯の浮くような台詞、大時代がかった設定、行動は、リアル感に欠けて、失速してしまったでしょう。現に今までも漫画の実写化はそんなものばかりでしたし。
これは、まったくリアリティーのないドラマなんだと割り切れば、こんなミュージカル仕立てでもOKですし、この早乙女愛というキャラは、実際居たらとてもはた迷惑な金持ちストーカーだったんだと思えます。純粋さにすり替えてまったくひとりよがりなキャラなんだと初めてこの映画を見て気づきました。
まあ、ぐだぐたした思いつきを書きましたが、もっと書きたいところですがとりとめもないのでやめます。
三池監督の演出力は大したもんだと改めて感心しました。
この映画は監督賞ものだと思います。

2013/6/17
「舟を編む」を見てきました。 映画

昨日、地元の映画館で「舟を編む」を見てきました。
この作品は、昨年度の本屋大賞に選ばれた三浦しをんの同名小説を原作にしています。監督は、とても元気のいい楽しい作品だった「川の底からこんにちは」の監督の石井裕也。
内容は、出版社の辞書編集部で新しい辞書づくりに取り組む人々の話です。ちょっと地味でオタクっぽい内容が想像できると思いますが、映画も同様に辞書の専門的な編集の内容を細かく描いています。が、一見つまらなそうに思えるのですが、これがまた笑いあり感動ありの面白い映画に仕上がっていました。
なかなか端正な映画でした。私は、この監督は「川の底からこんにちは」しか見ていませんが、こんなにうまい監督とは思いませんでした。今回は、「川の底〜」のようなアクの強さはなかったのですが、アクを抑えたのが良かった。今回の映画には合っていました。
配役がどれもドンピシャで、気持ちがいいぐらいです。とくにオダギリジョーが、良かったです。オダギリジョーは今年の演技賞ものだと思います。
宮崎あおいは、いつもと雰囲気が違ってシャープな雰囲気でへ〜って思いました。化粧っけがなく色黒で女板前らしく見えました。
それと伊佐山ひろ子が懐かしかったです。彼女は、日活ロマンポルノ時代はあぶなっかしい印象があり、当時はそれがいい味でした。今回は落ち着いたよく気がつくベテラン契約社員でしたが、やはりどこか危ない雰囲気があり、酸いも甘いも経験してきた感じが読み取れるのです。
それに加藤剛。私は小さい頃「大岡越前」が大好きで、よく見ていました。加藤剛の根っからの生真面目さが大岡越前の役に合っていると思っていました。今回もまさに適役。
松田龍平は、運動神経の鈍そうなオタクっぽい学者っぽい雰囲気がうまいと思いました。走る姿や、無表情なところに松田優作を彷彿させます。
NHKの連ドラ「純と愛」に出ていた黒木華も良かった。急遽辞書編集部に配属され、最初、ビールは飲まない、日本酒も飲まない、シャンパンしか飲まないと聞いて、今時のOLだなと思ったら、だんだん辞書編集部に染まって行くと、いつの間にかビールをガンガン飲むのです。酒屋の私は嬉しくなりました。できれば、日本酒の燗酒も飲んで欲しかったですが。なかなかいい味を出していました。
95年の設定で、PCのモニターがブラウン管だったり、PHSがでかかったり当然そこまではやるのですが、いかんせん外の風景で、走る車が映り込むのですが、これがいまの車だったのが細かいけれど、残念でした。
☆☆☆☆(満点は☆5個)。
