2013/9/16

「許されざる者」見てきました  映画

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 クリントイーストウッドのオリジナル版がなければ、傑作です。

 オリジナル版と比較すれば、雲泥の差です。もちろん、リメイク版は泥ですが…。

 私はあえて☆☆☆☆。(☆5個が満点)
 娯楽作品として素晴しい出来ではあります。

 監督は、「フラガール」「悪人」の監督、李相日です。この監督はうまいのですが、そのうまさが作品を軽くしているようにも思えます。今回の「許されざる者」が一番しっくりくる。多分、西部劇やアクション映画が撮りたかったのでしょう。日本を舞台にしても違和感のない西部劇を。その点では、今まであった諸々の和製西部劇、例えば渡り鳥シリーズや「スキヤキウエスタン・ジャンゴ」などより、違和感のない、堂々たる和製西部劇です。

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(まるで西部劇のよう)

 オリジナルと思えるぐらいよく練られたというか、よく当てはめた脚本で、結果オリジナルの脚本がよくできていたことを改めて思いました。スケール感といい雰囲気といいオリジナルに近いレベルです。それにフィルムの質感(LOOK)がオリジナルと良く似ていて、オリジナル版と繋げても違和感がないのではと思えるぐらい。それだけオリジナル版を監督はリスペクトしているということでしょう。

 小池栄子の演技もオリジナルを彷彿とさせますし。

 柄本明と柳楽優弥は、オリジナルとは違っていました。その違いが柄本版は弱い、モーガンフリーマンほどには行きませんし、ちょっと人物背景が混乱があるような…(幕府側の残党でどのように生き残ったのかなど)。

 柳楽のアイヌは、良かったですね(これがまたラストに繋がる)。アイヌの話は、この映画に深みを与えて、これはアイデアでした。

 仇役の佐藤浩市は、これだけ見ると充分に思えますが、オリジナルと比較すると内容としても描き込みが足りないですし、オリジナル版のジーンハックマンと比較したら佐藤浩市もうかばれません。佐藤浩市の役は、人間的な幅がなく基本的に悪役でしかない。彼自身の生きる指針のようなものがない(オリジナル版にはある。それがラスト、なんで善良な市民のオレが殺されなければならないーに繋がる)。

 それと呼応するかのようなラストの酒場のシーン。これではまったく勧善懲悪の世界です。渡辺謙の役は、昔は恐れられた人物で、それがまたラストに暴力の権化というべき怖い存在になるべき役なのですが、この映画はそこまで狙っていない。結局オリジナルの骨格を借りただけのどこにもある「木枯らし紋次郎」的なちょっとアンチヒーロー風のヒーロー話にすぎない映画になってしまっています。

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(黒沢明の「椿三十郎」のクライマックスを彷彿させるシーン、素晴しい!)

 ラストの柳楽優弥と忽那 汐里の話は、この日本版には合っているラストだと思います。観客は安堵して見ることでしょう。ただその後の渡辺謙のアップ、その後にタイトル「許されざる者」をバカでかく出したのは気恥ずかしい感じでした。みょ〜なヒロイズムに酔っています。

 オリジナル版の「許されざる者」は、アメリカの魂と言うべき伝統ある「西部劇」が、ただの殺し合いの暴力映画にすぎないことを、まるで「西部劇」の伝統自体の息の根を止めてしまうと思えるほどに強烈に暴力の恐さを描いた映画でした。

 日本のリメイクはそんな背景もないので、ただ、単なる娯楽作品となっている違和感はありますが、良く出来ています。出来れば、オリジナルを知らないで見たかったと思います。

 オススメの映画です。でもいろいろと言いたい。オリジナルを見たくなりました。

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2013/9/12

「最強のふたり」  映画

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 ☆☆☆☆!(満点は☆5個)

 たまたま見たい映画が借りられていて、ちょっとベタなストーリーを想像させてあまり食指が動かないこれ「最強のふたり」を仕方なく借りました。

 オープニングからちょっといい味で、まるで映画「ドライヴ」のような雰囲気。これってセンスのいいアクション映画?と思ってしまうオープニングです。音楽もマイナー調の複雑な味わいのピアノソロ。この音楽にやられました。
で、このオープニングがしっかりラストの感動につながる。

 原題は「「のけ者」という意味だとか。それを邦題「最強のふたり」と付けたのは、いいセンスだと思いました。結局、とても良く出来た「バディムービー」で、人生の憂いがそこかしこ見えて、それでいてカラっとしていて、現実逃避をしたくなる気持ちの先に……幸せというか人生の感動が待っています。(ちょっとネタばれぎみ)

 この映画のセンスが私にぴったりきたせいかもしれませんが、ちょっとした拾い物でした。
 後で調べると、興行成績も上位だったとか、それも尻上がりに上がり、当初よりも劇場が増えてロングランしたとか。

 なるほど、それくらいの力のある映画でした。

 東京国際映画祭グランプリ作品だったとか。ようやく影響力のある映画祭になったのかな。
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2013/6/22

「愛と誠」  映画

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三池版です。

☆☆☆。(☆5個が満点)

 梶原一騎(原作者)に小・中・高校と言ってみれば育てられたクチですから、この原作に対する思い入れもひとしおですが、けっこううまく漫画のエッセンスがまともに取り入られていて感心しました。

 実際あの原作をまともに実写化すれば、歯の浮くような台詞、大時代がかった設定、行動は、リアル感に欠けて、失速してしまったでしょう。現に今までも漫画の実写化はそんなものばかりでしたし。

 これは、まったくリアリティーのないドラマなんだと割り切れば、こんなミュージカル仕立てでもOKですし、この早乙女愛というキャラは、実際居たらとてもはた迷惑な金持ちストーカーだったんだと思えます。純粋さにすり替えてまったくひとりよがりなキャラなんだと初めてこの映画を見て気づきました。

 まあ、ぐだぐたした思いつきを書きましたが、もっと書きたいところですがとりとめもないのでやめます。

 三池監督の演出力は大したもんだと改めて感心しました。

 この映画は監督賞ものだと思います。
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2013/6/17

「舟を編む」を見てきました。  映画

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 昨日、地元の映画館で「舟を編む」を見てきました。

 この作品は、昨年度の本屋大賞に選ばれた三浦しをんの同名小説を原作にしています。監督は、とても元気のいい楽しい作品だった「川の底からこんにちは」の監督の石井裕也。

 内容は、出版社の辞書編集部で新しい辞書づくりに取り組む人々の話です。ちょっと地味でオタクっぽい内容が想像できると思いますが、映画も同様に辞書の専門的な編集の内容を細かく描いています。が、一見つまらなそうに思えるのですが、これがまた笑いあり感動ありの面白い映画に仕上がっていました。

 なかなか端正な映画でした。私は、この監督は「川の底からこんにちは」しか見ていませんが、こんなにうまい監督とは思いませんでした。今回は、「川の底〜」のようなアクの強さはなかったのですが、アクを抑えたのが良かった。今回の映画には合っていました。

 配役がどれもドンピシャで、気持ちがいいぐらいです。とくにオダギリジョーが、良かったです。オダギリジョーは今年の演技賞ものだと思います。

 宮崎あおいは、いつもと雰囲気が違ってシャープな雰囲気でへ〜って思いました。化粧っけがなく色黒で女板前らしく見えました。

 それと伊佐山ひろ子が懐かしかったです。彼女は、日活ロマンポルノ時代はあぶなっかしい印象があり、当時はそれがいい味でした。今回は落ち着いたよく気がつくベテラン契約社員でしたが、やはりどこか危ない雰囲気があり、酸いも甘いも経験してきた感じが読み取れるのです。

 それに加藤剛。私は小さい頃「大岡越前」が大好きで、よく見ていました。加藤剛の根っからの生真面目さが大岡越前の役に合っていると思っていました。今回もまさに適役。

 松田龍平は、運動神経の鈍そうなオタクっぽい学者っぽい雰囲気がうまいと思いました。走る姿や、無表情なところに松田優作を彷彿させます。

 NHKの連ドラ「純と愛」に出ていた黒木華も良かった。急遽辞書編集部に配属され、最初、ビールは飲まない、日本酒も飲まない、シャンパンしか飲まないと聞いて、今時のOLだなと思ったら、だんだん辞書編集部に染まって行くと、いつの間にかビールをガンガン飲むのです。酒屋の私は嬉しくなりました。できれば、日本酒の燗酒も飲んで欲しかったですが。なかなかいい味を出していました。

 95年の設定で、PCのモニターがブラウン管だったり、PHSがでかかったり当然そこまではやるのですが、いかんせん外の風景で、走る車が映り込むのですが、これがいまの車だったのが細かいけれど、残念でした。

☆☆☆☆(満点は☆5個)。
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2013/5/17

「図書館戦争」  映画

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 ☆☆☆.5(☆5個で満点)。

 先日,レイトで見てきました。

 銃撃戦、アクションシーンは見応えがあり、多分日本の映画では最高レベルかと思います。この監督で「ワイルド7」をもう一度撮ってもらいたいぐらい。

 話は、売れている小説らしいですが、そのあとにアニメも制作されたとか。小説、アニメでは、信憑性が保てるのかもしれませんが、ちょっと実写だと、リアルに思えない。またいろいろの設定があるのが、初めて映画から見るほうには、よくわからない。例えば図書館側と検閲する側がそれぞれ武装しているのですが、殺傷能力の低い小口径の小銃を使ってる設定とか、それを殺傷能力のあるものを敵が使い出すとか、細かい設定がこの映画のファンでないと分からない。で、結局この映画の話自体に馴染めないなかで終ってしまいました。

 そこを目をつぶれば、けっこう良く出来た映画でした。

 岡田准一の動きは素晴しいし、それぞれ兵士の動きもいい。榮倉奈々もけっこうハマっているし、まあこの世界を受け入れることができれば楽しめる作品でしょう。

 この監督の「GANTZ」を今度見てみよう。
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