2014/11/10

「誰よりも狙われた男」   映画

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 2014年2月に急逝した名優フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作。ホフマン演じるのは、ドイツのハンブルクの諜報機関でテロ対策チームを率いるリーダー役。イスラム過激派として国際指名手配されている青年に目をつける。彼をわざと泳がせることで、テロへの資金援助に関わる大物を狙うのだが。ドイツ警察やCIAも動き出し、結末は……。

 面白い!。☆☆☆☆。(☆5個で満点)

 フィリップ・シーモア・ホフマンがあのダブついた体型で、ヘビースモーカーで、酒ばかり飲んで、どう見ても格好悪いのですが、この映画のなかの彼はものスゴくカッコいい!誤解をおそれずに言うなら、役者として一番あぶらの乗った状態で逝ってしまい役者としては最高だったのでは?忘れられない役者になりました。

 スパイ映画でありながら、誰も死なない、誰も拳銃を撃たない、派手なアクションシーンは皆無。でもこの緊張感、その上とても暴力的なものを感じさせます。

 カタルシスがない映画で、見終わったあとに徒労感が残るのです。それが現在のテロとの戦いの現実なのですね。
 ラストシーン、ホフマンが車を降りる。カメラはフィックスで降りたあとの座席を数秒映って、そのあとクレジットタイトルが出てきますが、あのなんとも落ち着かない間がいいです。
 「カタルシスのなさ」までもカッコイイ。

 プロの仕事ぶりというところでは、映画「マイアミバイス」を思い出しました。チームがまるで家族のよう。ホフマンの右腕(?)の女性(ニーナ・ホス)がいい味出している。恋人でもなく、友人でもなく、同僚または部下なんだけど、もう長年連れ添った妻のような、で、妻ほど面倒くさくなく、気持ちをわかってくれる。そんなことが仕草で感じる。

 CIAの女性(ロビン・ライトがクール!)もすごい。アメリカのいやらしさがよく出ている。目的は「世界平和」。そこには一点の曇りもなく言い切る厚かましさ。その言葉をホフマンがクライマックスで使う。皮肉まじりに(このへんも面白い)。

 弁護士の女性(「ミッドナイト・イン・パリ」に出ていたレイチェル・マクアダムス)は、まあ〜普通なんだけど、なかなか色っぽい。人権派の素人さんという感じがよく出ている。で、ホフマン側に取り込まれる。ラストのあの騒ぎ方が見事でした。止める男性に引っ張られて、もう服から胸がはだけるのでは?と思うぐらいの勢いで。あのシーンが彼女の名シーンだと思います。

 というわけで、出てくる女優陣も素晴らしい。

 と、好きなことを書きましたが、なかなかカッコイイ映画でした。

 ただ一点、気になったのは、ドイツのエージェントは、英語を日常で話すんかい??
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2014/9/2

「鑑定士と顔のない依頼人」  映画

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 先日、レンタルで観賞。☆☆☆★。かな〜?(☆5個で満点。★は☆の半分)

 まあ、私はあまり好きでない監督のジュゼッペ・トルナトーレ(「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督。感情過多ぎみがちょっと引いてしまう)だから、点数も辛くなるのかもしれませんが。映画のつくりとしては、第一級の映画なんでしょうけど、なんか腑に落ちない。

 ミステリー風(あくまでも〜風です。大体途中から読める)なので、これから見る人は読まないほうがいいと思いますが。

 主人公(ジェフリー・ラッシュ)を弄(もてあそ)んで、結局「映画」自体も弄んでいるように思えます。とてもいい、面白そうな導入と設定。もしかすると傑作になるかもしれない設定は、簡単にやめてしまう。タイトルにある「顔のない依頼人」がすぐ顔を出してしまう。

 で、そのあとは女性経験がないであろう老鑑定士の主人公の恋愛ばなしがメインに。

 で、大どんでん返し。

 なんかあまり面白くない。

 ジェフリー・ラッシュの演技は楽しめたし、ドナルド・サザーランドがなんか下品な感じが面白いし、ヒロインのペチャパイは好きだし(関係ありませんでした…)、映像的には大したものなんですが…。
 物語に深みがないのは謎解きがストーリーの中心だからトリック仕立てなので仕方がないのかな?とふと思ったけど、違うよね。やはり、作者がものごとを弄んでるから深みもないし、救えない話になっている。
 「贋作には必ずそれを描いた贋作者のオリジナルの印がある」とか、「最高の恋愛の贋作があったら」云々など、贋作についての見解がけっこうこの映画の芯になるかと思えば、そうでもない。

 結局何を描きたかったのか。そのあたりが監督自身あまり明確ではなかったのかな?いろんなところを食い散らかして、オトシマエをつけずに映画は終わってしまった。
 記憶力がすごい小人の女性が出てくるけど、この女性は、舞台となった屋敷の本当の主(名前もクレア!騙した女はこの彼女の名を語っていたのです)で、なにか物語がありそうなのに、その辺も簡単に謎としてしか存在しない。いろんな意味合いがある女性だと思うのですが。機械仕掛けの人形の下に入れるくらいの小人のようですし、代々小人が生まれる家系とか、悲しい過去がありそうなのに。

 ラストもなんか雰囲気で終わっている。イヤな映画。

 やはりこの監督は合わない。
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2013/11/4

映画「人類資金」  映画

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 好きな監督のひとり、阪本順治の新作「人類資金」を見てきました。巷では駄作の評価を聞いて尚更見てみたかったのですが……………確かに。

 ☆☆★(☆5個で満点)

 結構出だしはいいんですがね。

 駄作のうわさ(?)を聞いていたんで、かなり見る目を下げて(というかあまり期待しないで)見ていました。
 大体、阪本順治は、ストーリーを分かりやすく語るタイプでなく、トッピな省略をしたりどちらかというと観客を混乱させながら、それでも映像の力で納得させるようなタイプなのが、それなりに類推しながらは見られるけれど、肝心のメリハリまでなくなってしまい気持ちがモヤモヤしたまま話が進んでゆく。で、結局なにもかもが軽く見えてしまう。

 「亡国のイージス」のときも未消化の映画でしたし、この原作者のとの相性が悪いのでは?
 変にうわっついた理想論だけが、尻切れトンボのようにフワフワしたまま終ってしまい、ラストの意味深な画面も肩すかし。

 このストーリーは、多分、最初のアイデアを出し合っての打合せが一番盛り上がったのでは?と思います。でも段々詰めて行くと話がこじんまりしてしまい妙な青臭い理想論だけがのこってしまい、どうしましょう、と監督は慌てたのでは?なんて思ってしまう。

 国連を使ったニューヨークの一連のシーンのお粗末さ。サスペンスアクション映画とするなら、一番の見せ場なのに。

 国連ビルを使った「ザ・インタープリター」を思い出しましたが、まったく雲泥の差でした。
 残念。
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2013/10/4

「007 スカイフォール」  映画

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 ようやく見ました!巷の評判は上々で気になる作品でした。

 よくできています。ツボの抑え方もいい。皮肉の効いた台詞が楽しいし、スタイリッシュな格闘シーンは楽しめるし。けっこう現代は007が生きづらい時代なのも前作同様というかそれ以上、MI6不要論まで議会に掛けられる。

 で、そのなかでMが混迷した現代こそ必要であると説くなかで議会内での銃撃戦。いわば英国の中心でテロに会うのです。MI6の本部もその前に爆破されるし、テロが当たり前の世界でいかに007が戦うか。これは面白いと思いました。

 今回の悪役も素晴しい。けど、収拾の仕方が好みが分かれそう。

 私は、後半のスコットランド(スカイフォール)のシーンは、風景といい、人間関係のねちっこさといい、「007映画」に見えなかった。まあ、ダニエル・クレイグになってからのMとのセンシティブな関係を清算し、あらたな「007」になるには必要な通過儀礼だったのかもしれませんが。

 期待が大きすぎましたが、よく考えられている007映画としては評価します。

 ☆☆☆★★(☆=20点、★=5点)

 今回のボンドガールは確かにジュディ・デンチだったんですね。


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2013/10/2

「かぞくのくに」  映画

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 この映画は、やはり劇場で見るべき映画でした。レンタルで自宅で見るには、画面以外に見える自分の日常が邪魔をしてしまって映画にのめり込めない自分がいました。

 ☆☆☆★★★+★/2。

 後半に行くにつれ、じわじわと胸に迫るものがありました。ラストも切ない。

 安藤サクラは去年これで女優賞を総なめにしたようですが(それには文句はありません)、私は宮崎美子が良かったです。敵のように憎いだろう北の担当者(「息もできない」のヤン・イクチュン)にスーツやお土産を用意する気持ちが切なかったですね。

 演技過多になりがちな題材ですが、落ち着いた描写でよかったです。それがじわじわと切なさがこみ上げてくるのです。奇跡は起こらないのです。これが現実ですね。現実の切なさです。

 やはり劇場で見るべき映画でした。


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