2013/11/4

映画「人類資金」  映画

クリックすると元のサイズで表示します


 好きな監督のひとり、阪本順治の新作「人類資金」を見てきました。巷では駄作の評価を聞いて尚更見てみたかったのですが……………確かに。

 ☆☆★(☆5個で満点)

 結構出だしはいいんですがね。

 駄作のうわさ(?)を聞いていたんで、かなり見る目を下げて(というかあまり期待しないで)見ていました。
 大体、阪本順治は、ストーリーを分かりやすく語るタイプでなく、トッピな省略をしたりどちらかというと観客を混乱させながら、それでも映像の力で納得させるようなタイプなのが、それなりに類推しながらは見られるけれど、肝心のメリハリまでなくなってしまい気持ちがモヤモヤしたまま話が進んでゆく。で、結局なにもかもが軽く見えてしまう。

 「亡国のイージス」のときも未消化の映画でしたし、この原作者のとの相性が悪いのでは?
 変にうわっついた理想論だけが、尻切れトンボのようにフワフワしたまま終ってしまい、ラストの意味深な画面も肩すかし。

 このストーリーは、多分、最初のアイデアを出し合っての打合せが一番盛り上がったのでは?と思います。でも段々詰めて行くと話がこじんまりしてしまい妙な青臭い理想論だけがのこってしまい、どうしましょう、と監督は慌てたのでは?なんて思ってしまう。

 国連を使ったニューヨークの一連のシーンのお粗末さ。サスペンスアクション映画とするなら、一番の見せ場なのに。

 国連ビルを使った「ザ・インタープリター」を思い出しましたが、まったく雲泥の差でした。
 残念。
0

2013/10/4

「007 スカイフォール」  映画

クリックすると元のサイズで表示します

 ようやく見ました!巷の評判は上々で気になる作品でした。

 よくできています。ツボの抑え方もいい。皮肉の効いた台詞が楽しいし、スタイリッシュな格闘シーンは楽しめるし。けっこう現代は007が生きづらい時代なのも前作同様というかそれ以上、MI6不要論まで議会に掛けられる。

 で、そのなかでMが混迷した現代こそ必要であると説くなかで議会内での銃撃戦。いわば英国の中心でテロに会うのです。MI6の本部もその前に爆破されるし、テロが当たり前の世界でいかに007が戦うか。これは面白いと思いました。

 今回の悪役も素晴しい。けど、収拾の仕方が好みが分かれそう。

 私は、後半のスコットランド(スカイフォール)のシーンは、風景といい、人間関係のねちっこさといい、「007映画」に見えなかった。まあ、ダニエル・クレイグになってからのMとのセンシティブな関係を清算し、あらたな「007」になるには必要な通過儀礼だったのかもしれませんが。

 期待が大きすぎましたが、よく考えられている007映画としては評価します。

 ☆☆☆★★(☆=20点、★=5点)

 今回のボンドガールは確かにジュディ・デンチだったんですね。


0

2013/10/2

「かぞくのくに」  映画

クリックすると元のサイズで表示します

 この映画は、やはり劇場で見るべき映画でした。レンタルで自宅で見るには、画面以外に見える自分の日常が邪魔をしてしまって映画にのめり込めない自分がいました。

 ☆☆☆★★★+★/2。

 後半に行くにつれ、じわじわと胸に迫るものがありました。ラストも切ない。

 安藤サクラは去年これで女優賞を総なめにしたようですが(それには文句はありません)、私は宮崎美子が良かったです。敵のように憎いだろう北の担当者(「息もできない」のヤン・イクチュン)にスーツやお土産を用意する気持ちが切なかったですね。

 演技過多になりがちな題材ですが、落ち着いた描写でよかったです。それがじわじわと切なさがこみ上げてくるのです。奇跡は起こらないのです。これが現実ですね。現実の切なさです。

 やはり劇場で見るべき映画でした。


0

2013/9/29

「さよなら渓谷」  映画

クリックすると元のサイズで表示します

☆☆☆★★★。(☆=20点、★=5点)

 なかなかの力作。この監督はこれが一番では?と思います。と言っても「まほろ駅前多田便利軒」しか見ていないですが。ずっとうまくなった気がします。とくに前半の出だしがなかなかいい。濡れ場から取材陣が大勢集まるシーンなんて唸ります。

 ちょっと謎ときの部分もあるので内容は伏せますが、真木よう子が不気味です。で、この映画の謎を引き受けます。

 そして相手役の大西信満という役者。私は初めてですが、なかなかいい。言わば汚れ役なのですが、汚くない。表情が少なくて、暗いけどいい男、で、共感してゆく。願わくば、堕ちる前の栄光の時代をしっかり描けば悲劇性が強くなったのにと思います。

 脇を締めるのが監督の弟、大森南朋。彼自身の挫折が男のほうの主人公と重なるのですが、大森南朋のほうは主人公と違ってリアルに汚く中年で堕落しているのです。肉が弛んだ全裸シーンは迫力すらあります。
 彼が言わば語り部としてこの謎のカップルに関与していきます。自分の思いとダブらせながら。鶴田真由との夫婦関係もけっこう示唆に富んでいて、ウチもこんな関係かも、と思ってしまいます。

 後半、謎解きというか回想のかたちでこの二人のカップルのあてのない道行きがあるのですが、ここがこの映画の見せ場です。ここで感情をぶつけ合いながら引き合っていくのです。ぶつけ合うというより、一方的に真木よう子扮するかなこが大西扮する尾崎にぶつけるのですが。

 その重要な道行きシーンで我が三条中央商店街が出てきます。うらびれた商店街として。(残念ながら…)
 ラストのクレジットタイトルにも「三条中央商店街振興組合」と出てきます!

 「寝具のすみや」さんはいい宣伝になりました。あと近くの昭栄大橋がこの映画のクライマックスで使われています。なんか簡単にパヤパヤと撮っていきましたが、あんなテンションにすぐなれる真木よう子はさすが役者です。商店街のシーンでも啖呵きっていましたから。撮影時間は準備もふくめ30分ぐらいでした。すごいものです。まあ、キャメラが多分ハイビジョンのVTRで、照明がほとんどいらないのでライティングに時間がかからないので早いのでしょうが、驚きの早さです。(そのせいか、画質はすこしザラついた感じでした。とくに暗いシーンは)


 映画の終り方は、結論を出さないようなフワっとして終り方で、観客に考えさせるような終わり方です。
 男女の関係は、理屈で割り切れるわけではないですから。あとはそれぞれ見た人がその後を想像するということで。

 でも、またくっつくんだろうな〜。
0

2013/9/26

「黄金を抱いて翔べ」  映画

クリックすると元のサイズで表示します

 やはり井筒は、「大阪の暴力」を撮らせたら右に出るのがいないですね。

 やくざがモノホンという感じで。それも筋に関係なく出て来る人たちながら。

 話は今のハイテクからは、考えられないくらいアナログな設定ながら、肉弾相撃つようなアナログ風なところは井筒らしいというか、こちらのほうが演出としては合っているのでしょう。

 けっこう頑張っているのですが、☆☆☆.5(☆5個で満点)といったところ。私は好きな映画です。井筒らしいアメリカンニューシネマの映画群の雰囲気がそこかしこにあって良かったです。金庫内のやり取りは、「明日に向かって撃て」のブッチとキッドのやりとりそのものですし、妻夫木と東方神起のチャンミンとの関係は「真夜中のカーボーイ」を思い出す。それに「ゲッタウエイ」も思い出す。浅野忠信の単純さはなんとなく「ゴッドファーザー」のソニーを思い出す。そう思うと妻夫木は「ゴッドファーザー」のマイケルの繊細さを感じさせるし、とここまでくると私のこじつけでしかないのですが。

 こじつけついでに言えば、浅野の奥さんが子供をあやしながら出てきますが、まるで「青春の蹉跌」でショーケンの先輩(森本レオ)の奥さんを思い出す。

 テンポの良さは深作欣二の映画を「いつかぎらぎらする日」を思い出すし、切なくなる哀愁は石井隆の「GONIN」を思い出す。でも、カラッとした突き抜けた躍動感は「いつかー」に劣るし、切なさは「GONIN」に劣るのが残念。

 高村薫の原作があるので、人物造形が良く練られているようで、映画は書き込んだ氷山の一角が見えるだけで、その点は、観る側の想像力をかき立てよかったのですが、テンポが良かった分、停滞部分がないというか、気持ちをグッと来るようなシーンがなかったのかな、と思いました。もう少し長くてもよかったのでは?もう30分ぐらい。2時間40分ぐらいでも持ちそうなストーリーだと思いました。そうすれば、妻夫木とチャンミンの関係はもっと泣けたかもしれません。

 浅野も妻夫木もチャンミンも西田敏行もいいですし、やくざの青木崇高や田口トモロヲや鶴見辰吾もいいですし。
アクションシーンも危険なシーンが多いし、面白いのですが…。

 個人的にはラストで警察との対決があってもよかったかなと思いました。もうちょっとボロボロになったほうがよかったかなと。

 日本映画では難しい銀行強盗の話をイイ線までがんばっているのですが、残念でした。けっこう好きな映画なんですがね。


0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ