2013/9/24

「夢売るふたり」  映画

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 あまり評判がよくなかったように記憶していましたが、これがなかなか傑作でした。

 松たか子は基本的に「嫌い」な私ですが(演技に心がないから)、今回は良かったです。今回の彼女を見ていると「痛い」ですね。それが良かったです。

 やはりこの西川美和監督は上手いな、と思います。相性がいいのか、見ていて唸ってしまいます。

 出て来る女性たちがとてもきれいに見えました。鈴木砂羽、田中麗奈、木村多江、それにウエイトリフティングの太い女性、と、松たか子も。

 ☆☆☆☆。(☆5個が満点)

 松たか子は前から好きでなかったのは書きましたが、この映画での松たか子はよかった。主演女優賞ものだと思うんですが、思ったより取ってないようで。今回の演技、好き嫌いが分かれるのかな?

 阿部サダヲは、調子のいい意思の弱い男を好演していました。

 あんまり面白くて、3回見ました。初見の感動はなかったけど、やはりうまい監督だと改めて思いました。


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2013/9/21

「アルゴ」  映画

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 ☆☆☆★★★。(☆=20点 ★=5点)

 監督のベン・アフレックは映画好きでよく研究はしていることは感じられました。今回は70年代の映画の作風だとか。確かにちょっと濃いめのカラーとざらついた雰囲気は「ダーテイハリー」や「フレンチコネクション」を彷彿とさせる色彩でした。撮り方もそんな感じ。人物の顔のアップがほとんどないのが今風でしたが。
 ズームレンズで気づかないぐらいのゆっくりしたズームアップで人物を撮るカットは「エクソシスト」を思い出しました。

 イランのシーンはフィルムの質感をニュースフィルム風に撮ったりかなり凝って再現していました。人質の人物もけっこう実際と似ていたり、再現には力を入れているのが分かりました。

 話もそこそこ面白いというかかなり面白い。
 でも……。

 なんか物足りない。見て、「あ〜映画を堪能した」という気にはならなかったです。

 アカデミー賞の作品賞ということで期待したのがいけなかったのでしょう。
 演出は、言ってみれば、映画好きなまじめな青年がガンバってけっこういい線で撮ってます的な。

 ラストの飛行機で飛び立つシーンで、偽装と気づいた人民軍(かな?)がパトカーや装甲車みたいなので飛行機を追っかけたりして要らぬ演出がありましたが、そのへんでこの監督の限界が露呈してしまったような気がします。

 ベン・アフレックが映画をよく見ているのが分かります。映画オタクなんだと思いました。その映画好きが、ラストの飛行機の飛び立つときのおっかけシーンになってしまったと思います。映画的な劇的なシーンですが、この映画は「大統領の陰謀」のように映画的なアクションシーンを排除して緊張感を高めるべきだったと思います。いらない追っかけシーンだったと思います。このシーンが映画のレベルを下げていると思います。
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2013/9/19

「あなたへ」  映画

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 高倉健主演の映画。「ぽっぽや」を見てから降旗監督も力量が落ちたなと思い、あまり見る気がおきなかったのですが。ちょっと評判も良かったので見てみました。予習として降旗さん監督、健サン主演の30年ぐらい前の「冬の華」を見直しておきました。

 ☆☆☆☆(☆5個が満点)

 チャンイーモウ監督が健サンで撮った「単騎、千里を走る」を思い出しました。この映画は、チャンイーモウ監督が大好きな健さん主演で、エッセイのように撮った楽しい映画でした。

 今回の「あなたへ」も健さんでなければ成立しないような映画で、降旗監督の余裕の演出がしっかりとじわじわと感動を起こさせます。役者たちやエピソードがどれもイヤミのないほどほど感があっていいのです。それに画面の隅々までしっかりコントロールされた演出が、久々に映画の楽しさを味わわせます。飲み屋のシーンがけっこう出るのですが、活き活きしていてうまいもんだと思います。他にも大勢いるシーンの何度かあるのですが、どれも自然でビックリです。隠し撮りでなく堂々と段取りをして撮っているようなので、エキストラを入れて撮っているのでしょう。これは監督の力でなく助監督たちの力かもしれませんが。

 脚本も撮影もあまり知らない人ですが、いい仕事をしています。

 役者は、主役級を贅沢に使っていますが、百恵の息子の三浦雄大が出ていて、「冬の華」で山口百恵を熱望していたが(百恵本人も出たがっていた)、東映とホリプロの確執で実現しなかったということなので、それを考えると感慨深いです。

 亡くなった大滝秀治も「冬の華」では父親役、「駅」では上司、といつも出ていた人でしたし。

 田中裕子は、最初はちょと無理があるかな、と思いましたが、段々愛おしいく思えてくるのです。宮沢賢治の歌を歌うのですが、これが絶品。それほど上手くはないのですが、なんか染み入るのです。

 軽い感じの映画ですが、久々にいい映画を見たなと思いました。

 ダラダラ書きました…。
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2013/9/16

「許されざる者」見てきました  映画

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 クリントイーストウッドのオリジナル版がなければ、傑作です。

 オリジナル版と比較すれば、雲泥の差です。もちろん、リメイク版は泥ですが…。

 私はあえて☆☆☆☆。(☆5個が満点)
 娯楽作品として素晴しい出来ではあります。

 監督は、「フラガール」「悪人」の監督、李相日です。この監督はうまいのですが、そのうまさが作品を軽くしているようにも思えます。今回の「許されざる者」が一番しっくりくる。多分、西部劇やアクション映画が撮りたかったのでしょう。日本を舞台にしても違和感のない西部劇を。その点では、今まであった諸々の和製西部劇、例えば渡り鳥シリーズや「スキヤキウエスタン・ジャンゴ」などより、違和感のない、堂々たる和製西部劇です。

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(まるで西部劇のよう)

 オリジナルと思えるぐらいよく練られたというか、よく当てはめた脚本で、結果オリジナルの脚本がよくできていたことを改めて思いました。スケール感といい雰囲気といいオリジナルに近いレベルです。それにフィルムの質感がオリジナルと良く似ていて、オリジナル版と繋げても違和感がないのではと思えるぐらい。それだけオリジナル版を監督はリスペクトしているということでしょう。

 小池栄子の演技もオリジナルを彷彿とさせますし。

 柄本明と柳楽優弥は、オリジナルとは違っていました。その違いが柄本版は弱い、モーガンフリーマンほどには行きませんし、ちょっと人物背景が混乱があるような…(幕府側の残党でどのように生き残ったのかなど)。

 柳楽のアイヌは、良かったですね(これがまたラストに繋がる)。アイヌの話は、この映画に深みを与えて、これはアイデアでした。

 仇役の佐藤浩市は、これだけ見ると充分に思えますが、オリジナルと比較すると内容としても描き込みが足りないですし、オリジナル版のジーンハックマンと比較したら佐藤浩市もうかばれません。佐藤浩市の役は、人間的な幅がなく基本的に悪役でしかない。彼自身の生きる指針のようなものがない(オリジナル版にはある。それがラスト、なんで善良な市民のオレが殺されなければならないーに繋がる)。

 それと呼応するかのようなラストの酒場のシーン。これではまったく勧善懲悪の世界です。渡辺謙の役は、昔は恐れられた人物で、それがまたラストに暴力の権化というべき怖い存在になるべき役なのですが、この映画はそこまで狙っていない。結局オリジナルの骨格を借りただけのどこにもある「木枯らし紋次郎」的なちょっとアンチヒーロー風のヒーロー話にすぎない映画になってしまっています。

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(黒沢明の「椿三十郎」のクライマックスを彷彿させるシーン、素晴しい!)

 ラストの柳楽優弥と忽那 汐里の話は、この日本版には合っているラストだと思います。観客は安堵して見ることでしょう。ただその後の渡辺謙のアップ、その後にタイトル「許されざる者」をバカでかく出したのは気恥ずかしい感じでした。みょ〜なヒロイズムに酔っています。

 オリジナル版の「許されざる者」は、アメリカの魂と言うべき伝統ある「西部劇」が、ただの殺し合いの暴力映画にすぎないことを、「西部劇」の伝統自体の息の根を止めてしまうと思えるほどに強烈に暴力の恐さを描いた映画でした。

 日本のリメイクはそんな背景もないので、ただ、単なる娯楽作品となっている違和感はありますが、良く出来ています。出来れば、オリジナルを知らないで見たかったと思います。

 オススメの映画です。でもいろいろと言いたい。オリジナルを見たくなりました。

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2013/9/12

「最強のふたり」  映画

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 ☆☆☆☆!(満点は☆5個)

 たまたま見たい映画が借りられていて、ちょっとベタなストーリーを想像させてあまり食指が動かないこれ「最強のふたり」を仕方なく借りました。

 オープニングからちょっといい味で、まるで映画「ドライヴ」のような雰囲気。これってセンスのいいアクション映画?と思ってしまうオープニングです。音楽もマイナー調の複雑な味わいのピアノソロ。この音楽にやられました。
で、このオープニングがしっかりラストの感動につながる。

 原題は「「のけ者」という意味だとか。それを邦題「最強のふたり」と付けたのは、いいセンスだと思いました。結局、とても良く出来た「バディムービー」で、人生の憂いがそこかしこ見えて、それでいてカラっとしていて、現実逃避をしたくなる気持ちの先に……幸せというか人生の感動が待っています。(ちょっとネタばれぎみ)

 この映画のセンスが私にぴったりきたせいかもしれませんが、ちょっとした拾い物でした。
 後で調べると、興行成績も上位だったとか、それも尻上がりに上がり、当初よりも劇場が増えてロングランしたとか。

 なるほど、それくらいの力のある映画でした。

 東京国際映画祭グランプリ作品だったとか。ようやく影響力のある映画祭になったのかな。
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