「在日済州島出身一世の女性たちのクッ(굿)と龍王宮の歴史
―巫俗儀式を保護し、伝えるために― 」
[報告者]黄有希(ファンユイ)さん(大阪音楽大学4回生)
4世として広島に生まれる。現在、大阪音楽大学4年次。専攻のピアノ演奏のみならず、音楽学の勉強に励む。その際に龍王宮の存在を知り、研究を始める。
[内 容] 本発表では、済州島出身の在日朝鮮人一世の女性たちが巫俗儀式を行う場である龍王宮を取り巻く歴史と、その文化的意義についての考察を述べます。龍王宮とは、JR環状線桜ノ宮駅付近の大川の河川敷にあった建物で、在日済州島出身一世の女性たちがクッを行った祈りの場です。クッとは、先祖を祭るとともに、家族の健康や経済的安定など個人的な安泰を祈祷する巫俗儀式のことです。それは一世の女性たちが民族的差別、女性差別により社会や家庭で疎外される状況の中で、「恨(ハン)」を解き、心の平安を得るカタルシスでもありました。
龍王宮の成り立ちは1920年代に遡ることができます。日本による植民地支配以前から済州島出身者が海女や職工として大阪に渡り、暮らし始め、後に龍王宮が建つ場所の近くでクッを行いました。1963年から67年の間にバラック小屋の龍王宮が建設され、1970年から80年代にクッの最盛期を迎えました。しかし、龍王宮が建つ河川敷は大阪府西大阪治水事務所が管理しており、「不法占拠」とされ、立ち退きを迫られ、2010年7月に管理者自らの手で撤去することになりました。
大阪府は龍王宮の管理者に他の場所への斡旋という選択肢も与えましたが、龍王宮の条件に合わず交渉は成立しませんでした。済州島では祖先は海にいると伝えられており、故郷との繋がりを信じたことから、川辺を離れることができなかったのです。
また、異国の地でもクッを行う一世たちに対して、信仰に頼ることの非合理や、龍王宮の建物および儀式での行いの不衛生などから、二世たちの軽蔑や抗議が生まれました。その上で、私は在日朝鮮人一世の文化として、巫俗儀式を保護し、後世に伝える意義を述べようと思います。
日 時:2013年2月22日(金)19:00〜21:00
場 所:「・オリーブガーデン・」 (阪急京都線「淡路駅」東出口下車、東へ徒歩5分) ☯06-6328-5969
大阪市東淀川区菅原5-3-10(カエルの看板が目印です)
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http://www.mapion.co.jp/m/34.73629721_135.52297499_10/
参加費:500円/高校生以下無料(要予約・どなたでもご参加いただけます)
主 催:コリアン・マイノリティ研究会
http://white.ap.teacup.com/korminor/
大阪市東淀川区菅原5‐3‐4 陰陽連絡線セッパラム文庫内
090-9882-1663 masipon@nifty.com

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