筑波FJシリーズの毎年のチャンピオンゼッケンと幾つものカラーリングを覚えている。今年も新しいドライバーが、そのゼッケンあのマシン・カラーリングで走る。幾つもの記憶が彷彿とする。
チャンピオンゼッケンでは無くても、カラーリングでそれと知れるトップタイムを刻んだマシンやPtoWで圧勝したマシン等々。そんな記憶に残るレースカーにルーキーが乗るには、これまでの練習で良いタイムやパフォーマンスを見せ、高い評価を得たからかも知れない。
だが、一度レースが走り始めてしまえば、そんなものは意味の無い下剋上な世界であって欲しい。
2月20日、夜半から積もった雪も朝には雨になった金曜日、筑波サーキットで毎年恒例の2009NEWYear走行会なるものが開催された。今年公式戦にデビューするFJルーキーを集めて開催される模擬レース。今回はSFJに乗る予定のルーキーも加わって総勢21台。
雨の中で行われた予選ではスピンやコースアウトが多発したが、決勝模擬レースが始まる午後には雨も止み、路面も所々乾いてセミウェットの微妙な状態。
雨の中で初めて21台が走る予選、それぞれにアタックのタイミングが難しいのか、中々クリアラップが作れないようだったが、中にはなかなかに印象的で気になる走りをするマシンが幾つかあった。一周一ラップ・一発が速いというより、或るコーナーの挙動が良いとかラインが面白いとか。
もちろん速く見えるドライバーはタイムも上位だが、中にはペナルティを受けて順位を降格されたりもしている。黄旗区間での追い越しやスピン・コースアウトなど、ルーキーにはちょっと大変なコンディションだったかも知れない。
コースインからフォーメーションラップの2周回で、どれだけマシンから路面のインフォメーションを受け取ることが出来たか、ラインの状態や濡れた縁石や路面のチェックが出来たか、それにどこまで合わせて行けるか。そして、自分のポジションから前を狙う戦略を建てられたか、これまでの練習で得た経験を総動員して考えなければいけない。引き出しを開けて考える前に身体が反応するくらいなら良いのだが。
今回は模擬レースのスタート1コーナーで接触があり、1台がノーズコーンを脱落、順位を落とし、1台がスピン・コースアウト。再スタートは切れたが、焦りがあったかダメージがあったのか、ちょっと奮わない走りになった。
トップの2台は何度か順位を入れ替え、続く何台もがテールtoノーズのバトルを繰り広げ、全体に良い展開の走りだった。
タイヤの剥き出しなフォーミュラマシンは、最も密集するスタート直後の1コーナーをクリアすることが一番難しいかもしれない。もちろんトップで走り抜ければ問題ない訳だが、後方から追い上げるからこそ得られる、貴重な経験を大事にして上達して欲しい。競り合いに勝つことが強くなる秘訣だ、と思う。
開幕は3月22日、あと一ヶ月、楽しみにしている。

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