2006/4/24 | 投稿者: クロちゃん


その昔、日窒鉱山の街として栄えた小倉沢地区を初めて訪れた。今は廃屋が建ち並ぶ何とも、もの悲しい風景だ。

今日はキヨちゃんの提案の個人山行で、キイくんとキヨちゃんと3人で訪れた。
小倉沢地区に入るトンネルの直前で誰かが言った。
「まるで『千と千尋の神隠し』みたいね。」
そうです。トンネルを抜けるとそこはアニメ映画の世界だった。そうなると日が暮れる前に抜け出せねばなるまい。美味しい食べ物に誘惑されたら豚にされてしまう。

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「そこにおるのは誰じゃー!」
目の前に顔の異様にでかい恐ろしい形相(ぎょうそう)した婆さんが現われた。あっこれって、湯婆婆(ゆばーば)?
気がつくと日窒鉱山の工場から煙が昇っていた。そして、見たことのない格好した人達が一列になって歩んでいる。その中には何と!『カオナシ』の姿もあった。何がどうしてどうなったんだ?

同行しているキイくんとキヨちゃんは嬉しそうにご馳走食べている。
「あっ、ダメですよ。それ食べたら豚にされちまいますよ。」
注意しても気付かないのか、2人でおしゃべりしながら食べている。
「マジ、やべーよ。」
いつの間にか日が傾き周囲は暗くなってきた。すると、どうだろう。廃屋が建ち並ぶ町並みから灯りが点きはじめた。そんなことってある筈ないのに……。綺麗だが恐ろしい。

「何をしてるんだ。早く帰れ!」
ハクが私の手を引いた。
そうだ。早くここを抜け出さなければ……。
「キイくん、キヨちゃん帰るよ。」
しかし、2人はニコニコしながら相変わらず食べ続けている。
一体、どうしたら良いんだ〜。

私の目の前に『カオナシ』がやってきて、金を差し出した。あっ、これ受け取ったら食われちまう。俺は知ってるんだぞ。
こうなったら釜爺(かまじい)に助けを求めるしかないのか。しかし、どこへ行ったら会えるんだ?
「フン、おまえは、もう戻れないさ。一生ここで苦しむが良い。」
湯婆婆(ゆばーば)が恐ろしい顔をして俺に言った。
「クロちゃん………。クロちゃん………。」
ハクが遠くで呼んでいる。
「ハクー、どこにいるんだー!!」俺は必死に叫んでいる。

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「クロちゃん………。クロちゃん………。クーロちゃん。」
キイくんの声で目が覚めた。ここは赤岩峠。昼食の酒で睡魔に襲われた俺は眠って夢を見ていたらしい。
「ううー、さぶ、さぶ、さぶー。早く帰りましょう。」
急ぎ後片付けをして、一目散に山を駆け下った。本当に凄い勢いで山を下り車中の人となった。この場から一刻も早く立ち去らねばという一念であった。

車中にて……。
「何だか今日は太って帰ってきたようだなぁ……。」(キイくん)
「私もー。太っちゃったみたいー。」(キヨちゃん)

一人蒼ざめた顔でハンドルを握るクロちゃんであった。
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