2006/5/11 | 投稿者: クロちゃん

糸魚川周辺の旅

1994年7月2〜3日

車の近くでキャンプ。食料と水があればどこでも寝られる。シェラフ、マット、タープを忘れずにネ。

キャンプ道具一式を車に積み込んで日本海側の渓流を攻めよう。人の噂では日本海側の渓流はバンバン釣れて大物が揃うらしい。海が近いから渓流を狙う釣り人は少ないという。水量豊かで長竿が振れる。海川、早川の魚影が濃い。そんな情報が入ってきたら何としても行かねばなるまい。どうあっても行って見たい夢の渓流域だ。
そんな訳で、前夜発一泊二日の川旅が企てられ決行した。

7月1日〜2日

 真夜中の関越道を糸魚川に向けてひた走る。この日のためにKさんは「北陸自動車道利用の渓流釣り場」の書籍を購入していた。情報入手に余念がないと思ったら、購入したばかりで本を開いていないそうだ。
糸魚川ICが近づいた米山SAで本を開き、作戦会議となった。どこへ入渓しようかと迷っていた。各自好き勝手にうどんとそばを口にして悩む。各人の表情には『俺が一番の大物を釣ってやるぞ。』と秘めた闘志が浮かんでいる。ジンクスを信じる3人は「天ぷらそば」、「天ぷらうどん」、「山菜そば」と三者三様であった。これは嗜好の問題ではなく、あくまで今回の釣果を占うおまじないの一種なのだ。だから、「俺のが一番旨い。」ではなく、「俺のが一番釣れる。」なのだ。

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さて、この時点で目的地の定まらないまま出発した。暗い日本海側の高速道を糸魚川に向けて、それぞれの秘策を胸に車を走らせた。
「早川にしますか。海川にしますか。姫川水系も美味しそうですが。」
まだ、入渓目的地は決まっていなかった。
「最初は海川にしましょう。」と私が提案する。まだ迷っているT氏とKさんを「寄りきりのうっちゃり」の決まり手で説得した。糸魚川ICを降りて「海川、海川……。」と念仏を唱えながら国道8号線を北上する。

「早川に着きましたー。」(~o~)
「海川は?」(−−;)
「見逃しました。あれー、おかしいなぁ。」(~_~;)
物事は臨機応変、目的地の変更となりました。
「早川のどこにしよう?」
また迷う3人。ここでようやく「北陸自動車道利用の渓流釣り場」の書籍が役に立つ。「支流の何とかが良さそうだ。」とターゲットが定まる。その支流であるが、見つけて見つけて、見つけ歩いて、途中にあった案内板を頼りに上へ下へと大奮闘したのだが結局見つからない。

「やっぱり海川へ移動しましょう。」
「決めた。海川にしよう。」
3人の意見が一致した。意外にも海川はあっさり見つけ出せた。想像していたより水量は少ない。下流域に釣り人と思われる車が2台止まっていたので、区間を空けて上流を目指す。橋のたもとに車を止めて、そそくさと釣り仕度を整え入渓した。

「大物よ来い!」と竿を振る。魚信は遠い。それでも、一番脳天気な私にポツリポツリと岩魚が掛かった。放流魚と分かる中型サイズだった。
朝飯を食う頃には釣果の差は歴然としていた。26cmを筆頭にポンポンと釣果が現われてルンルン気分の私。釣果さっぱりで嫌気が顔に表れているT氏。これは米山SAで食った「うどんとそば」の違いだろうか。朝食後も快調なペースで釣る私に嫉妬の目が突き刺さる。

「こうなったら、蛇が現れろ!」と恐怖のジンクスを言い放つT氏であった。ところで、信じるものは救われるのである。T氏の目の前にニコニコ笑う蛇が出現した。あきらかにT氏の顔つきが変わった。そして、何としたことか。すぐさま大型岩魚を釣り上げてしまったのだった。

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唖然とするKさんと私を尻目に「蛇が現れたらこっちのものさ。」と勝ち誇るT氏であった。
「尺あるだろ、尺。早く測ってくれ。」とせかす。
「29.5cmです。尺たらずです。」Kさんと私は冷たく返答する。
「測り方で尺あるだろ!?」手で岩魚を押し付けてなんとか尺にしようとするT氏であった。
「どう測っても尺ありません。29.5cmです。」認めようとしないKさんと私であった。尺あるかないかで、しばし議論が交わされたが、2対1でT氏敗れる。

やがて雨が降り始め、前方に先行者の姿を確認した。T氏は先行者の兄ちゃんに大物を見せている。先行者の2人は1尾づつの釣果だという。久々に優越感に浸る我々であった。

雨が激しくなり、相談した結果、キャンプは無理と判断して旅館を探すこととした。旅館は簡単に見つかり予約を入れた。まだ昼前である。
「さっき、尺だと認めれば宿泊代持ったのになぁ。」(T氏)
「尺でした。」「確かに尺だった。」「間違いない、尺ありました。」(Kさんと私)
「もう遅い!」(T氏)

昼食は早川沿いの高速道路の橋の下で雨を凌ぎ、持参した食料で豪勢に盛り上がった。私は酔いにまかせてゴロ寝を決め込む。T氏とKさんは雨が弱まった中を釣りに出かけたが、早川は雑魚ばっかりだったようだ。

予約した焼山温泉で温泉に入り、飲んで食ってすぐに寝た。雨中のキャンプに比べれば天国である。この旅館でT氏が私に『釣れないおまじない』と称して右腕を揉んだ。

7月3日 

快晴。とりあえず近くの釣具店で入漁券を購入して情報入手した。釣具店で教えていただいた支流に入渓した。
ここでは、Kさんがポンポン釣り上げた。T氏も1尾釣った。何故か私はボウズに終わる。昨夜のおまじないが利いているのか。Kさんは満足顔でT氏はニンマリの顔だ。

「とんかつインター」という食堂で昼食として1泊2日の日本海の旅は終わった。夢と現実のギャップは大きかった。

翌年……。

良い思いをした海川に再び訪れた。この日、降り出した雨は、北陸・日本海側の記録的な大雨となった。
雨の降り出す前に、私以外のメンバーは岩魚を釣った。私はまたもボウズに終わる。T氏の強力なおまじないの力が続いていたようだ。

激しい雨の降り続く中、車の中で酒を酌み交わし濁った川を呆然と見つめる我々であった。
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