2006/11/20 | 投稿者: クロちゃん

 ある暇な日曜日、テレビを付けると将棋の対局が行われていた。局面は中盤戦に入っていた。
将棋の名人同士の対戦である。
これは、その対局の実況です。


解説者 「うーむ、局面は中盤に突入ですね。お互い睨み合いが続いたまま動きませんね。」
女子アナ「2人とも、持ち時間がなくなったようですね。」

『持ち時間がなくなりましたので、1手30秒以内にお願いします。』
『10秒……、20秒……、3、4、5、6…。』
『パチッ』
『先手、2四歩』


解説者 「うーむ、この手はなかなか突けない手ですね。」
女子アナ「どういうことなのでしょう?」
解説者 「定跡では考えられない、すごい手ですね。」
女子アナ「どういう意味があるのですか?」
解説者 「うーむ。意味はないですね。」
女子アナ「……。」(意味ないなら、すごい手なんて言うな!)

『10秒……、20秒……、3、4、5、6…。』
『パチッ』
『後手、2八飛車』


解説者 「そうきましたか。はぁー。しかし、これでは……。」
女子アナ「長くなりそうですか?」(おトイレ行きたいな〜。)
解説者 「うーん、長く……。これは、そうでも……。長期戦に突入ですね。」
女子アナ(あーん、もう!)

『10秒……、20秒……、3、4、5、6…。』
『パチッ』
『先手、5五歩』


解説者 「これは!でも、たちまち難局になりましたね。」
女子アナ「5五歩は考えられませんでしたね。」
解説者 「ちょっと、名人は失敗したんじゃないですかね。」
女子アナ「まあ、これはとりますよね。」
解説者 「うーん、何はともあれ、3二玉ですね。遂に玉が動くときがきたようです。」

解説者 「ただ、これで銀が働かなくなってしまいましたね。6五歩と突かれると厳しいですよ。その後、ああやって、こうやって…。“詰めろ”の形が出来上がって来ますね。」
女子アナ「名人は何か勘違いしたのですか?」
解説者 (知るか、そんなもん。)

『10秒……、20秒……、3、4、5、6…。』
『パチッ』
『後手、同銀』


解説者 「やはり、取りましたか。3二玉は早すぎるようですね。それよりも、さっきのなんですが……。これは、ここに……。うーむ、もう攻める、いや引くしかないですね。」
女子アナ「攻めるのと引くのとはどのように変って来ますか?」
解説者 (あれ?どうなるのかな?)

『10秒……、20秒……、3、4、5、6…。』
『パチッ』
『先手、8八角成』


解説者 「8八角から攻めてきましたか。はあー、なるほど6三銀が嫌らしいんですよね。なるほど、一端成って……。」
女子アナ「飛車取りもありそうですね。」
解説者 「あのー、うーん、この飛車取りは非常に厳しい手ですね。」(気付かなかった……。コイツ、意外と詳しいな。)
女子アナ(コイツ、本当に将棋知っているのか?)

『10秒……、20秒……、3、4、5、6…。』
『パチッ』
『先手、8五金打つ』


女子アナ「え?あら?後手の番じゃ……。」
解説者 「おーっと、初めて見ました!!これは“秘技!連続指し”と言うんですよ。一瞬の隙をつきましたねー。これで勝負あったでしょう!!!」
女子アナ(そんなアホな……。)

女子アナ「ハア?そうなんですか……。でも、盛り返しましたね。」
解説者 「盛り返したと言うより面白くなったみたいですよ。」
女子アナ「ハア、すごい手なんですね。確かにこうやらないと逃げちゃいますね。」
解説者 「そうです。これで勝負するんでしょう。もう、なりふりかまわず取りにいくでしょう。」
女子アナ(ふん、バカらしくなってきた……。)

女子アナ「ここはどう指すか難しいですね。」
解説者 「後手は6三歩成りと、おーっ歩の裏が“”ではなく、“女王”になってます!これは……。」
女子アナ「えーっ、どういうことですか?」
解説者 「幻の駒と言われる“女王”がここにあったんですね。この駒は飛車と角を合わせ持った、そうチェスの“クイーン”と同じ動きができるのです。初めて見ました!!しかも、調略の能力も持っていて相手の駒に近付くと駒が方向を変えるんです。」
女子アナ「敵が寝返るということですか?」

女子アナ「あら?後手の玉が少し変ですね。」
解説者 「わーっ、こ、こ、これは“影武者”の戦術です。見てください後手の左手を……。本物の玉は左手にしっかり握っています。これだとバーンとくるかもしれません。」

解説者 「先手の歩も伏兵しています。これはもう、勝負の行方は分かりません!3五金では、かわされちゃいますから…。3四桂馬だと、禁じ手の二歩も出るかもしれません。ああー、興奮しますねー。」

女子アナ「アホらし……。」(-_-;)

放送時間が終了しました。


この実況はフィクションです。
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