2009/3/5 | 投稿者: クロちゃん

密生した藪をかき分けて進んだ。
果たしてこの方角が正しいのだろうか不安になった。野生の勘だけを頼りに進む。
「この先がきっとそうだ。」不安をかき消し自分を鼓舞した。
急斜面を立木に掴まりながらハアハアゼエゼエ必死に登った。
やがて平坦な杣道に出た。「もうすぐだ。」立ったまま息を整えると再び歩き始めた。
やがて遠くに轟音が聞こえた。

遂に、ついにたどり着いた。大岩魚が棲むという幻の大滝だ。
でかい…。見上げれば首が痛くなる高さだ。
何故この滝は知られていないのだろう。此処に向かう時、麓で尋ねた爺様の言葉を思い出した。
「あそこは人間の行くところじゃねぇ。あんなあぶねぇとこはな…。」神の警告ともとれるありがたい助言であった。きっと何かある。伝説の岩魚の存在をその言葉から読み取った。

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滝壷に目をやると波立っていた。飛沫と爆風の攻撃を受けて全身びしょ濡れとなった。凄い迫力である。寒さか武者震いか震えが止まらない。
これは長い時間を耐えられないぞ。
用意した銘刀「華厳」硬調の先に4号の道糸仕掛けを結んだ。
鮎オモリをかませてドバを房掛けに「えいっ」振り込んだ。
「……。」流れが速く仕掛けが沈む前に足元に戻ってしまった。
それならばと、鮎オモリを2個追加した。
「よし!」ようやく仕掛けは水中に入った。それにしても寒い。カッパはもとより持っているものを全て着込んでいるが震えが止まらない。竿も小刻みに震えている。

「グッ、ククッ」その瞬間が来ました。反射的に手首を曲げて合わせました。

『ドン、ドン、ドン、ドン』

今まで味わったことのない重い躍動感が伝わって来ました。竿先が水面に着きそうなほどの力強い引きです。懸命に堪えるのがやっとです。長い時間を感じました。
そして、そいつは大岩魚は水面に顔を出しました。
「!」
その異様な姿に青ざめた。首を傾げた。
「何でこんな山奥にヤマメがいるんだ?」そいつは敵意剥き出しの顔をしていた。
しかも…。小さい。私が求めているのはコイツじゃない。

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「ふぅ〜。」ため息をついて仕切りなおしだ。餌を付け替え再び滝壺に投入した。小刻みに震える竿が微妙な誘いをしている筈だ。静かな長い時間が流れた。

そして遂に…。

それはまさしく黄金に輝く、(あらら)大蛇であった。(あれ〜)慌てて糸を切ろうとしたが、こんな時に限ってハサミが見つからない。恐ろしい顔をして大蛇は近づいて来る。危うし!
そいつは私をジーッと睨みつけている。今にも飛びかかってきそうである。
一か八か覚悟を決めて対決を挑んだ。
次の瞬間、大蛇は黄金の岩魚に姿を変えた。

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その時遠くにメロディーが聞こえた。
「朝か、起きよう。」夢から覚めたのであった。今朝は寒い朝でした。

はい、これは夢物語です。(*^_^*)
しかし、しっかりと黄金の岩魚の画像が残っていたのでした。
秩父のホルモン亭「ばりんち」に飾ってあるよ。

黄金の岩魚★ブログセンター
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