スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ  新作レビュー

見た日/9月某日 ★★★★

いやあ、スゴイモノを見せてもらった・・・。試写だったが、ぜひ、お金を払ってもう一度観たい。

こんな映画の前では、お偉い映画評論家がいくら屁理屈をこねて批判しても、ヤフーレビューで2点代であっても、すべて「とんねるず」ならず、「メジャーリーグ2」の石橋貴明ふんするオカマ・インディアンがぶっ放すガトリング砲でガリガリと撃たれてしまうだろう。

はっきり言って、壮絶なまでのお馬鹿映画だが、本気で「マカロニ・ウエスタン」をやっていて、後半のアクションシーンなどは、本場(もちろんイタリア。ハリウッドぢゃない)をしのぐ迫力なのだ。

これまでも西部劇にオマージュを捧げた日本映画はあったが、これは本当に「マカロニ・ウエスタン」のコンセプト、すなわち「ハリウッドの西部劇を適当にパクって面白い西部劇を作っちゃえ!セリフは英語にしちゃえばアメリカでも公開できるし、ロケ地は適当に国内の荒地ならネバダに見えるだろう。ストーリーは遠い島国の映画をパクりゃあ、誰にも分かんないさ!」というノリを、日本映画界そのものがやったらどうなるか、というもの。

つまりは「スキヤキ・ウエスタン」といういちジャンルの確立、とも言えるものだ。

三池崇史監督の構図やアクションへのこだわりは今回、半端ではない。それでいて、三池監督の悪乗りというか、悪ふざけはこれまでの作品の中でも最高級ではないか。とくにタランティーノのパートは最高で、劇中のマニアックなセリフには、悪いが大笑いしましまった。

アニメ・パートは明らかに「キル・ビル」を意識していて、これはわざわざ出演してくれたタランティーノへの御礼のようにも見える。そして、三池監督の師匠、今村昌平監督が好きだったという格言を、わざわざ字幕で出すという技!今村監督への敬意もそこに見た。

そしてマニアックなのは、黒澤明監督の「用心棒」が勝手にイタリアで「荒野の用心棒」としてパクられて、今度は三池監督が日本製ウエスタンで「荒野の用心棒」を意図的確信犯で和風にパクって、またまた「○・○○○○○○」につなげる、というワケワカンナイ図式のリレー映画になっている様。マカロニ・ウェスタンが好きな映画ファンなら大爆笑だろう。

テレビドラマの映画化ばかり作っているお馬鹿な日本の多くの映画人に真剣白刃取りをしてほしいぐらいの、スパイスがピリリと効いた作品だ。

この映画の伊勢谷友介は本気でカッコいいし、木村佳乃も魅力的。主演の伊藤英明に至っては、かの海上保安官と同じ人とは思えないほどのガンマンぶりで、あっちの半分もヒットしないかもしれないが、こちらの方がノリもよく見えるし、断然カッコいい。携帯電話で甘っちょろい愛のセリフを吐く伊藤君より、木村佳乃に馬乗りされて、○○○○○(ここ18禁!)される伊藤君の方がイッコいいのだ。

あと、桃井かおりの存在感!

僕はドキュメンタリーの鬼才・原一男監督から直接「桃井かおりさんは、映画全体を破壊しかねないエネルギーを持った壮絶な女優」と伺ったことがあるが、この映画では、その言葉通り「ウコンの力」に負けない怪演を見せてくれる。

源氏、平家両方につくうち、人格分裂を起こしてしまう保安官役(これもスゴイ役だ)の香川照之氏がキネマ旬報で連載している「日本魅録」によると、とある俳優さんはこの作品を観て「何と言うか、人間が創ったとは思えない映画」と称したという。言いえて妙、なのだ。
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