007/カジノ・ロワイアル  新作レビュー

見た日/12月某日 ★★★★

 気がつけば、これが100本目の投稿になる。2月のブログ開始以来、100本も記事を書いたのね。うおー、ビックリ、である。正直、ほかの方のブログにそんなにトラックバックもしてないし、コメントもしてないのに関わらず、毎日20〜30ていどのアクセスをいただき、気がつけば総アクセス数も5000を超えた。本当にありがたいことである。読んで下さっていらっしゃる方に、心から感謝したい。ありがとうございます。

 実はこの数年、仕事の忙しさを口実に映画館で見る映画の本数が激減し(昔は年間200本は見ていたというのに、最近はせいぜい月一本の年間10本ていどだった)、あとは全てビデオレンタルという体たらくだったので、昨年「もっと映画に近づくために」独立したこともあって、「今年は劇場に通う!」と決め、「ブログを始めれば見ない訳にはいかないだろう」と軽い気持ちで始めたのが、このブログである。

 最初は「記録代わり」の軽い気持ちだったのだが、日々アクセス数が増えるのを見て、「映画の楽しさを伝えたい」とちょっぴり本気モードにもなり、ネットのエチケットやマナーを気にしながらも、何とか続けている。それでも、フリーになったはずなのに、なかなか映画館に通う時間が作り出せない。

 「年間100本」という目標を立てたが、現在、映画館で見た映画は12月を迎えて50数本。何とか60本は達成しよう、と思う今日このごろ。で、今年は「映画は映画館でしかその魅力は味わえない」ということを実感した一年でもあった。映画は、映画館で集中して見る、ことを考慮して作られているので、テレビサイズでは当然、鑑賞したときの感情も変わってくる。そういう意味では、今年、どうしても劇場で見たい作品をたくさん見逃したのは残念だった。このあたりは近く、総括したいと思ってます。

 さてさて、前置きが長すぎた。この投稿は、映画つれづれできなく、007シリーズ最新作のレビューである。

 この映画も、映画館でぜひ見てほしい。こういうアクション映画は絶対テレビサイズでは心底楽しめない。

 何かの映画雑誌に「シリーズ21作にして最高傑作」とあったが、僕もそう思う。明らかにこれまでの007シリーズとは違う。舞台設定は現代にしているものの、今回はイアン・フレミングのジェームズ・ボンドシリーズ第一作を原作に、生身のスパイが悩み、苦しみながら活躍するスパイアクションの傑作に仕上がっている。僕は大学時代に原作シリーズを何作か読んだだけだが、原作小説は本格的なスパイ物なので、そういう意味では今回は原作にもっとも近い007、と言えるかもしれない。

 でも、そこはこのシリーズを30年作り続けてきた英イオンプロ。映画シリーズが作り上げてきたムーディーな007のイメージや荒唐無稽な敵の設定、かなり非現実的な特殊兵器などをかなぐり捨ててはいるが、オープニングのアニメ、世界のリゾート地を舞台にしたゴージャス感、歌舞伎のような、おなじみの決めゼリフ、テーマ曲は健在。とくに決めゼリフの使い方は、きちんと今回のボンドの役どころ、成長に合わせた使い方で、往年のファンなら拍手喝采である。

 正直、近年の007シリーズ(と言うより、僕はロジャー・ムーア以降の作品群/吹き替え、合成感バッチリのアクションには何度映画館で落涙したか)はスパイ物というよりちょっとお金をかけてはいるものの、ゆるーいアクション大作という感じで全然面白くなかったのだが、今回の作品は文句なしの面白さ!腕は立つが無鉄砲な主人公新米スパイの危なかっしさ、配置バランスも絶妙なCGに頼らないアクション、カジノで展開される敵との心理戦、誰が敵で、誰が味方かわからないストーリーテリングの妙…。すべて一級品だ。

 今年見たM:iVとの共通点もあったが、多分、あっちのシリーズは007を反面教師にしながら成熟したのだろうが、こっちの本家もあっちの良さを吸収しながら、ここに来て決定版を出してきたことに驚く。今年みたアクション映画では一番面白かった。
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武士の一分  新作レビュー

見た日/11月某日(試写会場にて) ★★★

 隙のない、計算され尽くしたプロの技が楽しめる。セットの出来、バランスの取れた脚本、役者たちの演技など、まさに完璧だ。

 山田洋次監督は、今では珍しい日本中誰もが知っている、木村拓哉という大スターを得て、彼を中心に、舞台のような映画を構築した、と思う。時勢はそのままに、役者の感情や役作りを大切にしながら、ひとつひとつのカットを丁寧に撮る。そういう意味では、この映画はスター映画なのだと思う。もし主役がキムタクではなかったら、多分、山田監督はセット中心の舞台のような映画にはせず、前二作のような作りにしたのではないか、と思う。

 聞けば、「殺意」や「蛍」に関するユーモアあふれるせりふは、木村拓哉の現場でのアドリブということだが、彼のテレビなどで見せる豊かな感性に、山田流の“映画的演出”が加わって、彼はこの映画独特の、自然流な存在感を見せてくれる。笹野高志や桃井かおり、山田組常連の赤塚昌人などベテラン勢もキムタクを上手く引き立てる。ヒロイン役の壇れいも露出度が少ないこともあってか、とっても新鮮だ。

 物語は正にシンプル・イズ・ベスト。さすがに山田監督は観客を楽しませる、という商業映画の基本を知り尽くしている。これまでの時代劇三部作のうちの二作「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」から分かりにくさ、無駄な部分を完全に排除し、スターを見にくる若い客から時代劇を見にくる熟年ファンまで、全てを網羅する映画を作り上げた、と言える。

 セリフや立ち振る舞いから物語性の「深さ」も感じられるだけに、ロケ部分が少ないだけに感じられる多少のシーンの違和感や、シンプル過ぎるがゆえに感じるかもしれない「今ひとつ感」をねじ伏せる力を持っている。

 ただし、凄いとは思うが、これは感性の問題であり、僕自身はこのシンプルなお話に“完全には乗れなかった”ので星は3つ。個人的には、この三部作では「隠し剣 鬼の爪」が一番好きだ。ストイックなキムタクもよいが、友情と藩との忠誠の間で揺れ動き、最後に爆発する永瀬正敏の方が感情移入できる。でも、これはあくまでも個人的な意見。

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