日本映画は好調?  映画つれづれ

先日、何気なくテレビでTBS系の「サンデーモーニング」を見ていたら、昨年、日本映画の興行収入が21年ぶりに外国映画の興行収入を超えたことを特集していた。

映画は普通、興行収入が10億円を上回ると大ヒット、とされるらしい。キネマ旬報2月上旬決算号によると、興行収入50億円を超えた昨年の日本映画は「ゲド戦記」(76億5千万円)、「LIMIT OF LOVE 海猿」(71億円)、「the有頂天ホテル」(60億8千万円)、「デスノートthe Last name」(55億円)「日本沈没」(53億4千万円)「男たちの大和/YAMATO」(51億円)と6本もあった。ちなみに一昨年、50億円を越えた映画は「ハウルの動く城」(196億円)1本だったという。

以上の6本はすべてテレビ局が製作委員会に入った東宝、東映などのメジャー配給だったが、インディペンデント系配給会社の作品も、「フラガール」が14億円を記録したり、かなり好調だったようだ。

「サンデーモーニング」の特集は、整理するとこういうことだ。こうした日本映画の好調は、@減り続けていた映画館人口がシネコンの登場で回復し、中高年世代を中心に再び映画が人気になっていること、A日本映画の内容が充実し、良質な作品が作られてきたこと、Bその一方でハリウッドで利益最優先の製作体制にほころびが出始め、ソフトを日本などアジアの作品に求めるなど、作品の質が落ちてきたこと−などを挙げ、最後は世界におけるアメリカ優先主義自体に陰りが出ている、というアメリカ経済そのものの問題に言及していた。

まあ、おおむねその通りだろう。この数年、シネコンが急増し、観客動員は増える傾向にある中、劇場の現場ではソフトを求める傾向が強まり、日本映画の製作本数が増えているのではないだろうか。もちろんハリウッドの衰退傾向も原因のひとつだろうが、製作本数はそんなに減っている訳でもない。ビデオ屋さんに行けば、やたら劇場未公開の洋画の新作がたくさん出る状態にもなっている。

日本人が見る映画なのだから、日本の俳優による日本語の映画で面白いものが出れば、そこに観客が集まるのはしごく当然のことだと思う。経済の原則ではあるが、需要が高まった結果、そこに、売れる商品としてヒットする映画が出てきた、ということだろう。

でも、ここにも問題はある。その結果、日本映画は年間400本以上に及ぶという。劇場公開を待って公開されない映画もたくさんあるらしい。東京の単館映画館のレイトショーで1週間だけ公開し、わずかの期間でDVDになるときに「劇場公開作品」と銘打ってレンタルされる、あこぎな作品も結構多い。

興行収入が50億円を超えた映画の中にも、まるでテレビドラマのような説明過多な、わかりやすい映画が多いことも気になる。映画とは劇場でじっくり鑑賞し、作り手のメッセージや思いを受け手がさまざまな感性で受け取るものである、と僕は思う。テロップやナレーションで全てを説明するのはテレビドラマで十分だし、映画というものは、基本的に映像で表現するものだと思う。

僕が敬愛する佐々部監督は「作り手の志は必ずスクリーンに映る」と言われた。そういう意味では、「志」が感じられない作品が大ヒットしている現状は、手放しで喜んでいいものではないだろう。もちろん、映画そのものが好調なのは喜ばしいし、そういう娯楽作品ももちろん必要だ。「LIMIT OF LOVE海猿」などはベタベタではあるが、ハリウッド映画のような構図を目指した作品として僕は好感を持った。

だからこそ、作品が雑にならないよう、良質でじっくり見られる作品もどんどん作られるようにならないと、日本映画は数年後にはダメになってしまい、映画界そのものもダメになって、また映画館に閑古鳥が生まれることにならないか、と危惧するのだ。ハリウッドに期待が持てない今、日本の映画人の方々には是非、がんばってほしい。
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