びっくり&感謝!  映画つれづれ

 本日(24日)、あるお方からの連絡で、佐々部監督の公式HPを覗いたら、ななな、何と、監督の「ほろ酔い日記」で、このブログのことをご紹介頂いていました!!!

 びっくり、そして感謝!!です。監督、本当にありがとうございました!

 早速、アクセス数がいつもより急増しました。もうすぐ1万アクセスにも手が届きそうです。本当に有り難い限りです。ご恩に応えるだめにも、これからもがんばって更新していくぞ!!と決意しました。

「映画って本当に素晴らしい!一本の映画で、人生だって変えられる」

「佐々部映画を見て心を暖かくしよう!人生の一歩が踏み出せる、それが佐々部映画だ!」

この2点が叫びたくて「意味もなく作品の中傷はしない」「映画のよさを伝える」ということをコンセプトに始めたブログです。原点に立ち戻って、これからも頑張ります。
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『私は貝になりたい』リメイク  映画つれづれ

 テレビドラマの名作「私は貝になりたい」が映画化されるそうだ。

 フランキー堺が演じた主人公を、SMAPの中居君が演じる、というのにも驚いたのが、もともとの脚本を担当した橋本忍氏が再び脚本を担当し、今回のリメイクにあたって新たなシーンを書き加えた、という情報にも驚いた。

 橋本氏、伺えば89歳という。映画界には90歳を超えてなお、現役で活躍していらっしゃる新藤兼人監督もおられるが、今なお仕事をされるお姿はすごい、の一言だ。

 「私は貝になりたい」はテレビドラマの傑作、というイメージが強いが、実は放送翌年、同じフランキー堺の主演で映画化もされている。この映画版は橋本氏自身の監督で、確か、橋本氏の初監督作だったはずだ。今回のリメイクで再び脚本を担当するということは、橋本氏自身にとっても、思い入れが深い作品なのだろう。

 橋本氏と言えば、「羅生門」「七人の侍」など、一連の黒澤明作品の名作の数々を手がけられたこともちろんだが、これまでの大手配給会社主導による映画製作に異を唱え、自ら橋本プロダクションを設立。「砂の器」をはじめ、数々の傑作を世に送り出したことは、日本映画史に残る快挙だと思う。

 もう「砂の器」に関しては言うことはないだろう。一年かけた撮影、緻密な脚本、手に汗握る物語展開、ハンセン氏病の描写に見られる社会性、これらをサスペンス映画の枠で見せてくれた、文字通りの傑作だった。本当にそれまでの日本の娯楽映画の流れを変えたと言っていい。僕は小学5年生のとき、この映画を映画館で見て、卒倒しそうなぐらい感動した。野村芳太郎監督の名前も、このとき心に刻まれた。あと、個人的には、橋本脚本では駄作扱いされること多い「日本沈没」「八甲田山」も好きな作品だ。

 で・・・、橋本氏の脚本・監督作品で忘れられないのは、わずか公開1週間で打ち切られた、タイトル通りの幻の作品で、東宝創立50周年記念映画と銘打たれた「幻の湖」だ。この映画、同じ東宝の「ノストラダムスの大予言」、東映の「北京原人」と並ぶ、珍品というか、カルト作品の金字塔とも言える作品だった。この映画、映画館では「砂の器」とは別の意味で、卒倒しそうになった。

 雄琴のソープ嬢のヒロインの飼い犬が殺され、琵琶湖周辺で犯人を追いかけるうち、舞台が宇宙や戦国時代に代わり、クライマックスは犯人との大マラソン大会になる、という物凄いお話だった。物語に何の関連性もなく、スペースシャトルや落ち武者が出てくる展開は、まさに橋本氏の内面世界で、深い哲学性はあったのだろうが、ぶっ飛び過ぎてついていけなかった。

 当時、僕は高校生だったが、島根県で撮影もあったらしく、同じクラスの友人が平家の武者の役柄でエキストラ出演していた。友人は「撮影中、何の映画がさっぱりわからなかった」と言っていたが、実際に見ても何の映画かわからない、という作品だった。

 これ以降、橋本氏の脚本作品は伊藤麻衣子主演の「愛の陽炎」「旅路−村でいちばんの首吊りの木」ていどで、第一線から姿を消した。

 「愛の陽炎」は、バイクを操るヒロインが愛した男に騙されたと思い込み、何と丑の刻参りで藁人形を五寸釘で打ち込み、恨みを晴らそうとするこれまたスゴイ映画で、ちょっと「幻の湖」テイストを思わせた。しかし、当時、僕は伊藤麻衣子の熱烈なファンでおっかけだったこともあって、この映画も忘れられない。彼女の魅力を上手く引き出した作品でもあり、ホラー映画のテイストを持ちながらも、切ない青春映画の佳作でもあった。

 さて、今回の「私は貝に・・・」のリメイクだが、久しぶりの橋本氏の仕事がこの名作の銀幕復活作にどう反映されているのか、今から楽しみだ。でも、中居君のキャスティングは、どうなのだろう。一度、所ジョージ氏でリメイクされていることを考えても、コメディテイストのある起用、ということで言えば、志村けんさんとかいいと思うのだが。
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追悼・熊井啓監督  映画つれづれ

 社会派監督として知られる、熊井啓監督が亡くなられました。

 「サンダカン八番娼館−望郷」「黒部の太陽」などで知られる熊井監督ですが、帝銀事件や下山事件、最近では松本サリン事件など、昭和の暗部とも言える事件を真正面から「映画」として描き、社会派で骨太な映画を作り続けてこられました。

 個人的には、リアルタイムで見た「海と毒薬」と「日本の黒い夏−冤罪」が忘れられません。確かに社会派な作風なのですが、現実の事件を扱っていても、決してドキュメンタリー調にこだわることなく、役者さんの「芝居」にこだわった作品づくりが印象に残っています。

 あくまで役者が演じる「映画」というフィクション性のある媒体によってその事件の本質に迫り、そこから何かをあぶり出し、観客に感じてもらおうという姿勢だったのでしょう。重いテーマであっても、そこには確かなエンタテイメント性がありました。

 「海と毒薬」での、奥田瑛二と渡辺謙が演じる若い医学生たちの倫理をめぐる葛藤は、理想と考え方が違う2人同士の葛藤でもあり、それは画面にとてつもない緊張感を生んでいました。「日本の黒い夏」でのややオーバーアクション気味だった北村有起哉扮する若い放送記者も、あえてその過剰とも取れる「演技」によって、日本の「報道」が持つ問題的な側面を浮かび上がらせていました。

 そういう意味では、「望郷」をはじめ、近作の「愛する」も、「ひかりごけ」も、役者さんの見事なお芝居が光っていました。そこには妥協を許さない脚本と演出が存在していたからこそ、なのでしょうが、今村昌平監督に続き、今また日本映画界は大きな星を失ったように思います。

 熊井監督のご冥福を心よりお祈り致します。
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プロジェクトBB  新作レビュー

見た日/5月某日 ★★★★

 僕が心から尊敬する、ジャッキー・チェン先生待望の新作。

 本来なら4月初旬公開作なのだが、僕が住むまちのシネコン(MOVIX周南)では全国公開より一ヶ月遅くの公開。でも、御大ジャッキーの作品でも、ハリウッドメジャーでない香港作品は全国の拡大公開にはなかなかならない。最初のラインナップに乗ってないと、あとから公開するのは難しい。とくにいろいろな映画が出てくるGWは大変だ。

 なのに、ここのシネコンは遅れてもきちんとかけてくれた。前作「香港国際警察」もそうだったのだが、これは正に、ここのスタッフの映画への愛の賜物。そのうえ、公開前にはロビーで過去のすべてのジャッキー映画のチラシを展示する企画展示までやってくれた。これは、ファンには涙物である。この姿勢は他の作品に現れていて、デンマークの話題の人形劇映画「ストリングス」も、全国公開よりやや遅れはしたが、かけてくれた。昨年も春の「ゆれる」を秋にかけてくれ、感動した。「面白い作品はできるだけかけたい」という、スタッフの皆さんの姿勢に感謝。

 さて、この「プロジェクトBB」。満足な肉体アクションができないハリウッドから前作「香港国際警察」で香港映画界にカムバックし、自身の傑作「ポリスストーリー」のセリフリメイク&バージョンアップに挑んだジャッキーだが、今作では「大福星」など、往年の香港映画が醸していた雰囲気を復活させ、軽快なアクション&コメディに、今どきのハートフルな話をミックスした、なかなかの佳作になっている。

 少年時代からジャッキーの親友(兄弟以上と本人も語っている)ユン・ピョウに、「MrBOO!」のマイケル・ホイという、かつての香港映画を支えてきた大スターとの共演もうれしい。相変わらず冴えわたるアクションも、新しいものに挑戦する、というより、かつてのジャッキー映画のアクションを踏襲、グレードアップさせる、という趣向のようで、室内でのアクションは「ポリス・ストーリー」的な作りで、前作で遣り残したことをやろうとしているようにも見える。

 アクションに限って言うと、ずっとジャッキー映画を見てきたファンにとっては物足りないところも少々あるが、初めて「香港の」ジャッキーを見る人にとっては新鮮であり、その過激さは新鮮だろう。とくに赤ちゃんを使ったシークエンスの数々はハラハラドキドキものだ。カーアクションのグレードは過去のジャッキー映画と比べても最高レベルだろう。ハリウッドでは不可能な、CGは一切使わない、肉体を極限まで駆使したアクションの数々。この醍醐味はやはりスクリーンで味わいたい。

 ストーリーは赤ちゃんを誘拐して起こるドタバタコメディと、ダメダメな人生を送る泥棒たちが赤ちゃんを通して自分を省みるハートフルな部分とのバランスがよく、香港映画らしいベタベタでテンション高めの連続展開ではあるが、2時間ちょっと、という長さを全く感じさせない。

 監督に前作と同様、若手のベニー・チャンを起用し、ジャッキーはアクション監督と自身の演技に集中しているのも成功の要因だろう。前作では部下を殺された上司役のジャッキーが、若い警官と一緒に犯人を追い詰める役柄だったが、今作でもジャッキーは若い泥棒のフリーパスとコンビを組む。年齢を重ね、昔ほどのアクションの切れがなくなったジャッキーが、後進を鍛えながら、あるていど見せ場を若手に委ねているのも前作からの傾向だが、これで最近、少々作品の質が落ちていたジャッキー映画の質が復活した。

 このあとは、ハリウッドに戻って「ラッシュアワー3」などに出演するらしいが、やはりジャッキーは過激でコメディフルな香港映画と、香港の雑多な町並みがよく似合う。

 この映画では「親子の絆」がひとつのテーマになっていて、ジャッキーはギャンブルに熱中しすぎて父親を悲しませる、という設定が出てくるが、聞けばジャッキー自身も若いころ、同じように賭け事に熱中し、実父に迷惑をかけた経験があるという。

 そんなジャッキー自身の思いが投影された作品でもあるのだろう。コメディ仕立てだが、おなじみのラストのNG集を見ていると、相変わらず命がけの撮影だったことがわかる。
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スパイダーマン3  新作レビュー

見た日/5月某日 ★★★

シリーズ3作目にして、テンションも下がらず、面白さをキープしている。

1作目から問いかけてきた「正義とは何か」というテーマが、より深く掘り下げられながら、テンポもアクションも特撮もレベルは最上級。原作コミックに出てくる悪役たちがどんどん出てくるが、映画で大切にしてきたピーターやMJ、ハリーら登場人物たちの感情もていねいに描かれる。

 酷評もあったので、ちょっと不安もあったが、そんなもの、ぶっ飛ばすぐらいの勢いが映画にあった。作品のまとまり的は「2」の方がよかったと思うが、現代の世相を反映したヒーロー物として、大変によくできている。

 このシリーズの成功は、監督にサム・ライミを起用したことが大きい。サム・ライミと言えば、自主映画のノリで撮った「死霊のはらわた」でデビュー以来、スピード感ある独特な映像で人々を魅了したきたが、最近はその映像美に加え、人間の心の「闇」をエンタテイメントで描くことではかなりの才を見せている。

 とくに単純な強盗計画がそれぞれの思惑の違いからあらぬ方向に展開していく「シンプル・プラン」や、人の心が見えるばかりに犯罪に巻き込まれていく女性を描いた「ギフト」などは秀作だ。中でもサム・ライミが描いてきた心の「闇」とアクション、ヒーロー物をミックスさせた「ダークマン」は大傑作だと思う。

 スパイダーマンシリーズの「1」は、「ダークマン」が大好きな身としては少々物足りなかったが、それでも特殊な力を手にした等身大の高校生、ピーターの戸惑いがよく表現されていたし、死んだ叔父の遺言「大きな力を手にしたものには、大きな責任が伴う」は、このシリーズを貫くキイワードにもなるのだが、この辺りはサム・ライミの味がよく出ている。

 続く「2」はサム・ライミテイスト爆発で、ヒーローと現実の厳しい生活との間で悩み、揺れるピーターの描写が秀逸だった。敵役たちとの対比もピーターの苦悩を浮かび上がらせ、アクション、特撮のバランスも非常によかった。

 今作は今や「スパイダーマン」がヒーローとして認知され、恋人との仲も順調なピーターが天狗になっちゃって、謎の生命体に取り付かれ、ブラックスパイダーマンとなって心の闇に支配される、という展開になるのだが、「2」で見せた「ヒーローとしての苦悩」を掘り下げながら、「1」で提示した「大きな力を手にしたものには大きな責任が伴う」というシリーズの根本ともいうべきテーマを扱い、一応、物語も完結させている。

 劇中、星条旗の前でカッコよくポーズを決めるスパイダーマンが出てくる。そしてこの映画のスパイダーマンは、ヒーローではあるが、本人の意思とは関係なく、実は災いの原因にもなっていたりする。この辺りに、サム・ライミのアメリカに対する、大きな力を手にしながら、その使い方を誤ってないか?という問いかけにも思える。

 このシリーズ、1作目公開直前に9・11が勃発し、一部、映像の変更を余儀なくされた、という経緯がある。スパイダーマンはアメリカ全体でも世界でもなく、あくまでニューヨークという街を守るローカル・ヒーローであり、そのことは映画でも強調されている。どちらかと言えば明るい「1」に比べ、「2」「3」はどこか暗さも漂う。劇中のピーター・パーカー=スパイダーマンが悩み、苦しみ、成長し、傷つきながらも正義を守ろうとする姿は、9・11という現実とリンクしているだろうし、スパイダーマンが事件後のニューヨーク市民を励ましているようにも見える。
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香港映画マイベスト!  マイベスト

 久しぶりに、「マイベスト」を・・・。今回は、香港映画マイベストテン!!

  香港といえば、その昔、香港の映画館で「酔拳2」を見た。当時、日本ではまだ珍しかった完全入れ替え制で、窓口ではタッチパネルのように各席が空席かどうか電光掲示で色分けしてあって、好きな席を選べるようにしていた。今なら日本でもよく見るが、当時、これにはビックリ。中に入ると、トイレがスクリーンの下にあって、映画が始まっても、みんなお構いなくスクリーン下のトイレに行く。そして、皆、よく笑うのにも驚いた。広東語と英語の2つの字幕が出るのも、香港の映画館ならではだった。今ではずいぶん様子は違うだろうが、10数年前の貴重な経験だった。

 さて、こうして香港映画のマイベストを並べると、見事に80年代の作品が並ぶ。このころ、香港映画には猥雑なパワーがあふれていて、ハリウッドや日本映画に似ていようが似ていまいが、とにかく面白いものを!という作り手の気迫に満ちていた。


 アクションなど、役者はけがして当たり前、的な命知らずのメチャクチャさで、どうしようもないぐらいつまらないストーリー展開なのに、「こんな作品に命を賭けるの?」的なギャップ感がたまらなかった。

 今の香港に、そのパワーがないのは残念だが。それでは行きましょう!!

1,「誰かがあなたを愛してる」(1988)

●「宋家の三姉妹」で知られる、メイベル・チャン監督のデビュー作。秋のニューヨークを舞台に、3人の香港人のすれ違いと恋模様を瑞々しく描く、ラブ・ストーリーの大傑作。とにかくこれが泣ける。チョウ・ユンファ、チェリー・チェンの演技もベスト。O・ヘンリーの短編を思わせる後半の展開はベタだが、全体的に演出も繊細で、異郷で暮らし、心細さを感じている男女同士が、惹かれあっているのに、心の何かが引っ掛かって踏み出せない切なさが胸に迫る。僕にとっては全てのラブ・ストーリー映画の中でもこれがベスト。余韻が残るラストがよく、テーマ曲も美しい。とくに恋に悩む女性の方、必見!です。

2,「狼〜男たちの挽歌・最終章」(1989)

●「男たちの挽歌」は衝撃だった。昔の日本の日活アクションに、フランスのフィルムノワールとサム・ペキンパー的な暴力描写のテイストをふりかけ、そこに深作欣二的な味付けをしながら、香港映画でしか成し得ない、ベタベタな展開を見せた大傑作だった。その後、ジョン・ウー監督はさらに進化を続け、この「狼」で頂点を見せる。スローモーションを多用した映像美、スタイリッシュなアクション、緊迫した物語展開、しかしながらそこに漂うユーモア・・・。香港時代の頂点と言っていいと思う。この映画がタランティーノら世界の映画人に与えた影響は大だと思うが、この作品が全米で評価され、ジョン・ウーがハリウッドに進出し、この「狼」テイストで傑作「フェイス/オフ」を生み出したことも記憶に鮮やか。この映画でもチョゥ・ユンファは実にカッコいい。

3,「ポリス・ストーリー香港国際警察」(1985)

●僕は、尊敬する人物は?と聞かれたら、迷わず「ジャッキー・チェンです」と答えている。そのぐらいジャッキーはすごい。命を賭けて、肉体をどうアクロバティックに動かし、フィルムに焼き付ければ、映画館で人は驚き、喜んでくれるのか。彼はその一点を長年考え続け、追及してきた。そういう意味では、バスター・キートンやチャップリンの後継者、と言ってもいいのではないか。ハリウッドで大成功しながらも、保険の契約やユニオンによる労働条件の制限など、制約が多く、生身での危険なアクションを嫌うハリウッドは水が合わないのか、近年、またまた香港で映画を作り続けているのも、ジャッキーらしい。ジャッキーの代表作と言えば巷では「プロジェクトA」シリーズだが、僕は「ポリス・ストーリー」シリーズが大好き。シャープなアクション、ヒロインのマギー・チャンの可愛さなど、このシリーズは魅力大。特にこの一作目は目玉が飛び出そうなアクションが続く、正に世界でも類を見ないアクション映画の金字塔と言っていい。車でスラム街のど真ん中を突っ切り、タイミングを図って人々がどんどん飛んで行く様は、人類が宇宙を飛ぶのと同じくらいすごい偉業だと思う。ジャッキーよ永遠なれ!!

4,「北京オペラブルース」(1986)

●「香港のスピルバーグ」と称される、ツイ・ハーク監督による大傑作。アメリカで修行したというだけあって、ツイ・ハーク監督の映画にはこれまでにないスピード感があり、ワイヤーアクションを取り入れたことでも革命的だ。この監督の作品は「天空の剣」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地大乱」から近年の「セブン・ソード」に至るまで、本当に面白いものが多いが、この北京オペラブルースは、彼の活劇にこだわる演出と人間ドラマが見事に融合している。辛亥革命後の中国を舞台に、それぞれが個性あふれる3人のヒロインの活躍を描く。「君の名は」を思わせる、すれ違いの連続がスリルと笑いを誘う。活劇も見事な快作!「誰かが・・・」のチェリー・チェンが可愛い。

5,「ポリス・ストーリー3」(1992)

●物語はちょっと殺伐としてはいるものの、アクションの質、という意味ではシリーズ最高峰。結婚、離婚を経て、この作品で復帰したミッシェル・キング姉さんが、ジャッキー顔負けの捨て身アクションを見せる!走っている汽車の上にバイクで飛び乗るなんざ、人類が宇宙を飛ぶのと同じくらいすごい偉業と思う。姉さんはこのあと007でミッシェル・ヨーとなり、ハリウッドデビュー。「SAYURI」「サンシャイン2057」となるものの、あちらでもアクションしてほしいな。

6,「香港国際警察」(2004)

●唯一の、21世紀に入っての作品。ジャッキーが3本もランク・インしたのは、何だかんだ言っても彼が香港映画を通して世界の映画界に果たしたものは大きい、と言えるかも。この映画は泣けるアクション!って言うのが強み。年齢を重ねたジャッキーが、若手に見せ場をあるていど譲ったのも特筆。随所随所に「ポリス・ストーリー」で披露したアクションへの再挑戦、グレードアップが見られ、彼の原点回帰とも言える作品。

7,「ドラゴンへの道」(1975)

●唯一の、70年代作品。ブルース・リーはやはり偉大。彼なくして、香港映画もジャッキーもなかった訳だから。香港時代の映画で、これが一番アクションの切れもよく、ストーリーも面白いのでは?ブルース・リーが主演、脚本、監督など5役を担当し、ローマロケなど話題も大きかった。ダブルヌンチャクは今見てもしびれる。ラスト、コロシアムでのチャック・ノリスとの死闘は今や伝説の決闘シーンだ。

8,「七小福」(1989)

●ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモハン・キンポーの少年時代を描いた異色の作品。彼らは同じ京劇学院の出身で、その学院での生活を描いた。これもジャッキー絡みではあるが、この映画はいわば香港版スタンド・バイ・ミー。子どもたちの悩みや憧れ、成長が見事に描かれた秀作。3人を演じる子役が今の彼らを彷彿とさせる顔立ちなのがすごい。

9,「今すぐ抱きしめたい」(1988)

●香港の大スター、アンディ・ラウ若き日の作品にして香港ニューウェーブの巨匠、ウォン・カーウァイの初期作。内容は若いチンピラを主人公にした、Vシネマのようなものなのだが、ハっとさせるショットが多く、このあとに続く「恋する惑星」「欲望の翼」につながる映像の冴えはこの段階で見える。評価はこのあとの作品の方が高いが、主人公に感情移入できるし、僕はこの映画が彼の監督作の中でいちばん好きだ。

10,「天山回廊」(1987)

●当時の中国・香港合作。ストーリーはないようなもので、シルクロードの観光映画のようなものだが、とにかくラスト近くのアクションがものすごい。街を燃やしまくり爆発しまくり、ついでに人間も燃えて燃やしてびゅんびゅん飛ばしてしまえ!!!という映画。これで死者は出てないのであろうか!?この映画の出来栄えこそ、人類が宇宙に行くのと同じくらいすごいことだと思う。


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古厩監督の新作が始動!  映画つれづれ

 青春映画の大傑作「ロボコン」の古厩智之監督の次回作がついに決定し、もうすぐクランク・インのようだ。

 タイトルは「奈緒子」。同名コミックの映画化で、日活配給。ヒロインを思い続け、陸上に情熱を打ち込む若者を描いた作品で、映画タイトルにもなっているヒロイン・奈緒子は上野樹里さんが演じる。

 前作「さよならみどりちゃん」から約2年ぶりだと思うが、長野の中学生たちを描いた「まぶだち」をはじめ、古厩監督の作品はどれも気負ったところがなく、等身大の若者たちの姿や言葉が、時に青春特有の「痛さ」も含めて繊細に描き出される。

 「ロボコン」は「セカチュー」の影に隠れがちだが、実は、長澤まさみさんが「女優」として開花した作品でもある。それまで脇で添え物的な役柄が多かった彼女が、初めて本格的に「演技」と「映画」に取り組んだ初主演映画であり、彼女自身、様々なインタビューで「この作品で演技する楽しさを知った、ひとつの転機となった作品」等々語っている。

 「ロボコン」は、ロボットコンテストという、いわゆる競技物を扱っていながら、熱血的な要素は意図的に省かれ、落ちこぼれロボット部員たちの活躍が、ゆるゆると描かれる。でも、等身大でちょっと中途半端な高専生たちが、仲間たちとコンテストに挑む中で、ちょっとずつだが、大切な何かに気づいていく。この過程が、熱血とは程遠いのだが、いい雰囲気で胸に迫る。

 3分ノンストップでカメラを回した競技の場面は結構スリリング。競技シーンは実際に出演者たちがロボットを動かして競技をしており、ある種ドキュメンタリー的な要素も味わえる。

 この作品は、山口県徳山市(現・周南市)で全編ロケをしており、当時、地元新聞社で記者をしていた僕にとっても忘れられない映画だ。公開前から何度も記事を書いたし、ロケではエキストラとして出演もした。公開時は市民応援組織の立ち上げに参加し、事務局を担当させてもらった。

 これが初めて出会った「映画」の現場で、ここでくすぶった「映画への想い」はその直後に出会った「チルソクの夏」で爆発。ついに2年後の会社退職まで至るわけだ。

 だから、今度の「奈緒子」で陸上部員を演じるヒロインが、「チルソクの夏」で陸上部員を好演した上野樹里さんというのも感慨ひとしおだ。「さよならみどりちゃん」もいい映画だったが、ある意味“熱血的”な原作コミックを、ゆるゆるの魅力あふれる監督がどう料理するのか楽しみ。東宝のメジャーでも自分のスタイルを崩さなかった古厩監督だから心配はないだろうが、上野さんとの化学反応もどうなるか、期待は高まるばかりだ。
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注目の『夕凪の街 桜の国』  佐々部監督の世界

 長年愛読している映画専門誌・キネマ旬報で、気がついたことがある。かなりの秀作になると、その映画が公開される数ヶ月前から、評論家や批評家も我慢できなくなるのか、特集などで取り上げられるかなり前の段階から、巻末の「執筆者紹介」欄でその号の執筆者が書く短文のところを初め、さまざまな小さいコラムで取り上げられることが多い。

 そういう意味で、佐々部監督のこの夏公開の期待作「夕凪の街 桜の国」も、そういう傾向がないか、と毎号楽しみにしていたのだが、あった、ありました、キネマ旬報5月上旬号に!

 巻末の執筆者紹介のミニコラムで、某批評家が「麻生久美子、田中麗奈を筆頭に(略)印象深い作品」と絶賛していたほか、目次のところで編集部員が1本作品を取り上げて紹介する「編集部発 これすごく面白かった」では、「『夕凪の街 桜の国』ではすべてが美しい」「多くの人に観てもらいたい一本」とまたまた絶賛していた。

 う、うれしい!7月の公開まで、この調子で盛り上がってほしい。多分同誌では今後も特集なども続くと思うし、次号は撮影現場ルポが載るらしいが、引き続き注目していきたい。
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『三本木農業高校、馬術部』クランク・イン!  佐々部監督の世界

  佐々部監督の次回作「三本木農業高校、馬術部〜さんのうばじゅつぶ」が無事、クランク・インしたとのこと。連日、スポーツ紙などでも報道もされ、注目度も大きいようでうれしい。実際の高校が映画タイトルになるのは珍しいということだが、盲目の馬、タカラコスモスを世話した馬術部員の女子高校生との交流を、実話を元に描くということだ。

 先日、たまたまテレビを見ていたら、ワイドショーでこの映画の撮影の模様を取り上げていた。それも撮影の様子やキャストインタビューだけでなく、元の話になったテレビドキュメンタリーのダイジェスト版を放送してくれる力の入れようで、モデルになった方のインタビューまであった。

 ただし、チラチラと佐々部監督は姿は画面に映っているのに、テロップもなかったのにはちょっとムッとした。そりゃあ、長渕剛の娘が映画デビュー、というのが話題の第一というのは分かるし、その局の系列局が作ったドキュメンタリー番組が映画になるという事情も分かるが、映画は監督のものなのだから、映画の話題にまとめている以上は、きちんと監督に敬意を表してほしい。

 それはさておき、この映画にも協力プロデューサーとしてクレジットされ、佐々部監督とはコンビで映画を作り続けているUプロデューサーに伺ったところ、この作品は女子高校生の話というだけあって、かなり「チルソクの夏」的な要素もある、とのこと。

 監督が久しぶりに手がける青春群像劇ということで、どんな風に仕上がるか楽しみ。「結婚しようよ」からの佐々部組常連(になりそうな)松方弘樹さんが校長役、佐々部映画初登板の柳葉敏郎さんが馬術部の顧問役というから、期待も持てそう。テレビを見る限りでは、主人公を演じる長渕文音さんも、面長でスラッとしていて、何となくチルソクのヒロイン・郁子を思わせてくれるところがあって、監督が好きそうなキリッとした清潔なヒロインを演じてくれそうだ。
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バッテリー  新作レビュー

見た日/4月某日 ★★★

 こんなに野球が盛んなのに、意外と日本には「野球映画」のいいものが少ない。

 ずいぶん前の「野球狂の詩」も「ドカベン」も、岡本喜八監督の異色作「ダイマナイトどんどん」も、正直、野球のシーンはヘトヘトのトホホのホだった。

 そんな中でおっと思ったのは、真田広之がヤクルトスワローズの選手を演じたフジテレビ+東宝の「ヒーローインタビュー」で、映画自体はヘロヘロなところもあったが、試合シーンは結構頑張っていた。あと、途中からバースが出た時点で映画自体が破綻し、荒唐無稽に落ちぶれたものの、「ミスタールーキー」の試合シーン(とくに前半)もリアルだった。

 意外だったのは実写版「タッチ」で、この高校野球のシーンはよかった。野球シーンよりも、長澤まさみちゃん演じる南が球場に駆けつける走りの方が不自然なくらい、試合のシーンはきちんとしていた。原作のテイストを損なわない、犬堂一心監督の瑞々しい演出もよかった。

 さて、前置きが長くなったが、この「バッテリー」である。ずっと見たかったのだが、公開終了週にやっと見られた。滝田洋二郎監督はなかなか手堅いというか、娯楽映画を撮れる名手だなあ、と感心した。子役の使い方も上手だし、最後まで楽しめた。

 野球映画としても合格、どころか、この映画、もしかしたら日本の野球映画で初めて「野球」というスポーツの本質をついたものかもしれない。野球は、1人では勝てないスポーツだ。いくら天才的な投手がいても、打者が打てなければ勝てない。逆に天才的な打者1人がいても、投手が打たれれば試合には負けるし、大量得点はできない。

 しかし、チームワークがこれほど大切なスポーツにも関わらず、基本的には野球は「投手対打者」という、個人的な対決が機軸になっている。ここがまた、野球というスポーツの妙なのだが、この映画、この「妙」を実にうまく突いている。

 主人公・巧は中学生にして天才投手。だが、彼には身体の弱い弟がいて、母親からあまり愛情を注がれていない。彼は転校して豪という気の合うキャッチャーと出会うが、学校の野球部は監督が徹底した管理をしていて、自己主張する巧は先輩から嫌われている。そんな中、上級生の巧へのいじめが発覚し、野球部は大会出場を辞退してしまう。巧を育て、上級生に試合の場を確保したいと願う監督は、ライバル中学の四番打者と巧の対決を演出するが、大切なときに巧と豪の間に亀裂が入って・・・というのが物語の大体だ。

 主人公の天才投手、と設定したことで、野球の「チームワーク」と「個人競技」という両方の魅力と危うさが描かれ、それが中学生という発展途上の思春期ゆえに揺れる登場人物たちの成長物語にうまくつながっている。主人公の父親が語る、「野球はチームメイトにがんばってほしい、と思う祈りのスポーツ」という意味合いのセリフもよく、主人公の弟のエピソードもなかなか泣かせる。

 定番と言えば定番の展開なのだが、子役たちと大人の俳優のバランスもいい。この辺りも、滝田監督の手堅い演出が光る。中学野球の映画と言えば、あの不朽の名作「キャプテン」が実写映画化されたらしい。監督がアクション映画で定評の室賀厚と聞いてビックリだが、漫画「キャプテン」は、野球のゲームそのものが即ドラマの展開であり、それこそがこの漫画の魅力である。その魅力を映画でどこまで引き出しているのか、こちらも楽しみである。

 
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