古厩監督の新作が始動!  映画つれづれ

 青春映画の大傑作「ロボコン」の古厩智之監督の次回作がついに決定し、もうすぐクランク・インのようだ。

 タイトルは「奈緒子」。同名コミックの映画化で、日活配給。ヒロインを思い続け、陸上に情熱を打ち込む若者を描いた作品で、映画タイトルにもなっているヒロイン・奈緒子は上野樹里さんが演じる。

 前作「さよならみどりちゃん」から約2年ぶりだと思うが、長野の中学生たちを描いた「まぶだち」をはじめ、古厩監督の作品はどれも気負ったところがなく、等身大の若者たちの姿や言葉が、時に青春特有の「痛さ」も含めて繊細に描き出される。

 「ロボコン」は「セカチュー」の影に隠れがちだが、実は、長澤まさみさんが「女優」として開花した作品でもある。それまで脇で添え物的な役柄が多かった彼女が、初めて本格的に「演技」と「映画」に取り組んだ初主演映画であり、彼女自身、様々なインタビューで「この作品で演技する楽しさを知った、ひとつの転機となった作品」等々語っている。

 「ロボコン」は、ロボットコンテストという、いわゆる競技物を扱っていながら、熱血的な要素は意図的に省かれ、落ちこぼれロボット部員たちの活躍が、ゆるゆると描かれる。でも、等身大でちょっと中途半端な高専生たちが、仲間たちとコンテストに挑む中で、ちょっとずつだが、大切な何かに気づいていく。この過程が、熱血とは程遠いのだが、いい雰囲気で胸に迫る。

 3分ノンストップでカメラを回した競技の場面は結構スリリング。競技シーンは実際に出演者たちがロボットを動かして競技をしており、ある種ドキュメンタリー的な要素も味わえる。

 この作品は、山口県徳山市(現・周南市)で全編ロケをしており、当時、地元新聞社で記者をしていた僕にとっても忘れられない映画だ。公開前から何度も記事を書いたし、ロケではエキストラとして出演もした。公開時は市民応援組織の立ち上げに参加し、事務局を担当させてもらった。

 これが初めて出会った「映画」の現場で、ここでくすぶった「映画への想い」はその直後に出会った「チルソクの夏」で爆発。ついに2年後の会社退職まで至るわけだ。

 だから、今度の「奈緒子」で陸上部員を演じるヒロインが、「チルソクの夏」で陸上部員を好演した上野樹里さんというのも感慨ひとしおだ。「さよならみどりちゃん」もいい映画だったが、ある意味“熱血的”な原作コミックを、ゆるゆるの魅力あふれる監督がどう料理するのか楽しみ。東宝のメジャーでも自分のスタイルを崩さなかった古厩監督だから心配はないだろうが、上野さんとの化学反応もどうなるか、期待は高まるばかりだ。
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