チーム・バチスタの栄光  新作レビュー

見た日/2月某日 ★★★

この作品、まず観ようと決めたのは、中村義洋監督の新作だから。

中村監督の前作「アヒルと鴨のコインロッカー」は、近くDVD・ビデオレビューでじっくり取り上げたいと思うが、この監督さん、「ルート225」(これも面白い!)もそうだったが、テンポ感やユーモアの描き方、トリッキーな見せ方がなかなか秀逸で、今、注目される監督の一人だと思う。

雑誌などの情報によると、監督には自主映画時代からの盟友の脚本家がいるものの、今回は脚本やキャスティングなど、ある程度出来上がってから、監督の手腕を買われての登板だっらしい。

そういう意味では、これまでの作品に比べると“中村色”は若干薄いものの、会話や物語の中にさりげなく挿入するユーモアの巧さやキャラクターの描き分け方、後半のトリックが明らかになる展開部などは、中村監督の手腕を見せてくれる。

原作は未読だが、かなり膨大な原作なのだろうから、当然映画ではそのエッセンスを凝縮しているだろうし、その点、原作ファンは消化不良な点があるかもしれないが、僕は一本の映画としてとてもよくできているし、面白いと思った。

お話を病院内に統一し、あまり広げないのも物語全体を締めていてよかった。探偵役の阿部寛、竹内結子はこれまでのキャラクターの範囲内ではあるが、2人が持つ魅力が十分に出ていて安心して見られる。

手術シーンもきちんと見せていて、これはテレビではなかなか難しいだろうから、映画ならではの醍醐味も味わえる。犯人探しの見せ方も映画的に工夫していて、興味をそそる。

ナチュラルなものの見方をする竹内結子扮する精神科医が、事件を通してちょっぴり成長する様が物語のいいエッセンスにもなっていて、阿部寛扮する強烈なキャラクターの役人との対比もあって、描かれているテーマは重いものの、見たあとの感じは意外と心地よい。

竹内結子は、本当にいい映画俳優になったと思う。もうテレビドラマなどには出ずに、映画一本で頑張ってほしい。ただし、同じような役柄ではなく、「サイドカーに犬」のように、もっともっと演技の引き出しは多い女優さんだとは思うので、いろいろな竹内結子が観てみたい、と思う。

さて、7人のチームバチスタや病院長などのキャラクターはもう少し説明と掘り下げが欲しいところだが、説明過多になる恐れもあるのだろう、そこはキャスティングの妙で上手く切り抜けている。

7人の専門医や看護師たちはよ〜く吟味してキャスティングされている。中でも天才外科医役の吉川晃司がいい雰囲気を出している。久し振りの映画出演だが、彼はスクリーンがよく似合う。「シャタラー」なんてトンデモ映画もあったが大森一樹監督のセンスが抜群だった「すかんぴんウォーク」が懐かしい。


★4つか3つか悩んだが、後半の展開に性急さを感じてしまい、ちょっと物足りなかったのと、どうしても中村監督の前作に比べてしまうので★3つ。でも、最近の一連のテレビ局が絡んだ大作娯楽日本映画群の中では、抜群に面白かった。
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佐々部監督の舞台演出が決定!  映画つれづれ

佐々部清監督が、御自身のhpでも述べられていますが、監督初の舞台演出となる「黒部の太陽」が、10月に大阪の梅田芸術劇場で上演されることが決まったようです!

http://www.sasabe.net/hidiary/hidiary.cgi

2月18日のスポーツ報知がスクープしたようです。

http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20080218-OHT1T00056.htm

「黒部の太陽」と言えば、先日急逝された熊井啓監督の代表作のひとつであり、故・石原裕次郎氏自ら製作・主演した、1968年の映画です。

製作は石原プロと三船プロで、当時、所属の映画会社以外は出られないという五社協定がありながら、石原裕次郎氏と三船敏郎氏が自ら製作する、という形で当時、不可能だった共演を実現したことでも知られる作品です。

クライマックスの大水が流出するシーンでは、濁流に飲み込まれた裕次郎氏が骨折をしたことでも有名で、その大迫力シーンは日本映画史に残る場面と言われています。

残念ながら、裕次郎さんの遺志らしく、石原プロはこの作品をとっても大切にしていて、ビデオなどの映像ソフト化はしていません。

僕は当時4歳なのでもちろん未見ですが、実は「見た」と思い込んでいて、調べてみたら公開の翌年、同じタイトルで日本テレビでテレビドラマ化されていました。テレビ版も裕次郎氏が同じ役で出演していて、だから「見た」と思っていたようです。

テレビ版は演出が何と、鈴木清順監督。映画版が熊井監督で、テレビドラマ版が鈴木監督とは、日活つながりなのでしょうが、何と贅沢なのでしょう。当時、ドラマ版で映画版の場面がインサートされ、問題になったそうです。

恐らく僕が見たのは再放送なのでしょう。結構、面白かった記憶があります。水のシーンはかすかに記憶があるのですが、それはテレビドラマ用に改めて撮影したのか、それとも映画版を流用したのでしょうか?

とにもかくにも、この「幻の映画」を、舞台として復活させ、それも我らが佐々部監督が舞台初演出に挑戦する…映画ファンにとって、佐々部ファンにとって、夢のような企画です。

記事などから見るに、映画監督である佐々部監督の演出らしく、ただ単に黒部ダム建設に携わった男たちを描くのではなく、映画「黒部の太陽」製作に賭けた男たちも同時に描くとのこと。水のシーンは2万リットルもの水を舞台に放出するというから、映画以上のスケールの大きな舞台になりそうです。

いやあ、10月が本当に楽しみ!今から大阪に行くため、お金を貯めよう!と思うおたっきーでした。
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