レッドクリフ part1  新作レビュー

見た日11月某日 ★★★

「三国志」の映画化作品としては、最も分かりやすく、よくできた映画だろう。有名なエピソードを、独自の視点も入れながら紹介している。

僕は昔、高校生たちに頼まれて、「三国志」の演劇の脚本を書いたことがあるが、それは「桃園の誓い」から「三顧の礼」「赤壁の戦い」を経て、孔明のラストを描いた「五丈原」までを15分で描く、というムチャクチャなもので、何とかまとめた覚えがある。

次元は違うが、今回の「レッドクリフ」はそれに近いものはある。深い感情描写は置いておいて、とりあえず人物紹介をしたら、あとは表面的に進む、紙芝居的なところは、やはりいがめない。

しかし、そこは活劇を作らせれば世界一のジョン・ウー監督。冒頭の趙雲子竜が劉備の赤子を助けながら敵陣を突破するシーンから、アクションは超弩級の迫力で、クライマックスの戦いのシーンも見事。何より関羽らの豪傑たちがイメージ通りなのが嬉しい。金城武の孔明もスマートで聡明さがよく出ている。

ただ、これは「part1」と歌っているように、肝心の「赤壁の戦い」の前段を描いたのに過ぎないので、お楽しみのクライマックスは来年4月公開の「part2」まで待ってね、という、ヘビの生殺し状態だ。

そもそも、配給会社は「part1」なんて、付けてなかった。夏ごろの情報には、確かに前後篇ある、というものはなかったように思う。当初、2部作であることを隠して公開しようとしたのだろうか。恐らく試写会などでの意見で、「part1」と付けたのだろう。

それだけに、「え?続きがあるんだ」とは思ったけれど、実際に見ると「赤壁の戦い」の戦いの主要は、ほとんど次にあるようで、壮大な予告編を見せられた、という向きもないでもない。でも、戦闘シーンの美しさ、迫力は必見だし、大ヒットしているのも頷ける。

あと、多くの方が指摘しているように、「七人の侍」のオマージュは、確かに感じた。戦いを前にして、将軍たちが揃い、その陣を整えていく様は、正に「七人の侍」の前半の様。それなら「七人の侍」のように、休憩時間を挟んでもいいから、二部作一気に見せてほしかったなあ、という感じもある。

ジョン・ウー監督はサム・ペキンパー監督や深作欣二監督に影響を受けたことを公言しているが、その影響を昇華させた、スローモーションの多用とハトの登場は今回も健在で、ハトに至っては、過去のどのジョン・ウー作品より重要な役割を担っていて驚いた。

「三国志」は大好きだし、本来なら★4つをあげたいが、来年まで待ち切れないので、★は3つにしておこう。


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