近況報告!  新作レビュー

先週のシネKINGは、特別番組があってお休みでした。

今週は、オンエアされます!

ワーナー・マイカルシネマズ防府から「ボルト」と「サマーウォーズ」をご紹介します!

前回の放送は、シネマスクエア7から「モンスターVSエイリアン」と「アマルフイ−女神の報酬」をお届けしました。うんちくは「ほたるの星」でした。

さて、先週、「月刊まるごと周南」の締め切り直前になって、風邪を引いてしまい、無理をして徹夜で原稿を書いていたら、治るどころかひどくなってしまいました。

何とか原稿を書き終えて出稿すると、今度は次の仕事の準備と番組の撮影が続き、まったく休めず、さらに風邪が悪化してしまいました。

そんな中、16日は「シネKING」の収録。19日は、山口朝日放送の別番組「GO!GO!サタデー」8/1午前10:30放送分に、マニイ大橋として出演することになって、九州・福岡でロケを行いました。「マリン・ワールド・海の中道」での、夜の水族館のレポートでした。

21、22日はNHKの番組に出るため、東京に出張。教育テレビの「福祉ネットワーク/子どもサポートネット」という番組で、27日午後8時からのオンエアです。

今回は、いつもの「ハートをつなごう」とはちょっと違って、東京の中学校での公開収録でした。「ウチの子どもは世界一!」というサブタイトルで、発達障害を持つ高校生の成長をとらえたドキュメンタリー映像を中学生たちが観たあと、僕と専門家の先生がコメントを言い、中学生たちと意見交換する、という内容です。

番組では紹介されませんが、収録のあとは、僕の講演もあって、熱く、熱く語ってきました!!

・・・でも、風邪はますます悪化。福岡ロケの辺りから、体力的にもきつくなってきて、東京では、収録以外はどこにも出ず、知人にも会わず、ひたすらホテルで大人しくしていました。飛行機での移動も、かなりキツかったです。

行きは、豪雨の中をヒヤヒヤしながら山口宇部空港まで車で移動しましたが、東京に着いてから、山口の豪雨による災害を知ってビックリ。

土砂災害の恐ろしさは、僕も記者時代に何度か現地取材をして、多少は知っているつもりです。お2人が亡くなった土砂災害の現場で、雨に打たれながら夢中で取材をして、何とも言えない思いが腹の底から湧きあがったことを、思い出しました。

亡くなられた方のご冥福を祈るしかありませんが、一部報道によると、被害があった場所は、危険個所として指摘もされていた、とのこと。

東京のホテルで見るテレビに映し出される風景は、見慣れた場所も出ていて、不思議な感覚でしたが、本当にどうにかならなかったのか・・・と思うばかりです。

東京から帰った翌日にこのブログを書いてますが、体調不良は、まだまだ続いています。明日はKビジョンの番組「あなたに会いたい」の収録なので、まだまだ休めそうにありません。

そんな中で頑張った3つの収録なので、皆さん、是非ご覧ください!!!

yabの番組は山口県内限定ですが、NHKは全国放送なので、よかったら是非、見てみて下さい。僕のコメントは反省しきりですが、ドキュメンタリーの部分は見応えがあります。

あと、新作レビューが貯まっています。「ハゲタカ」「スラムドッグ$ミリオネア」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「トランスフォーマー/リベンジ」「愛を読むひと」をまだ書いていません!!

新作DVDも「余命」「その日のまえに」などを観たのですが、こちらも近日、レビューを書きたい、と思っています。

近く更新します!!「スラムドッグ」のパワー、「愛を読むひと」の深さに、ちょっとクラクラしました。詳しくは、また書きます!!

観たい映画もたくさんあるのですが・・・。まずは、風邪を治します!!
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次世代に映画を伝える!  映画つれづれ

キネマ旬報の前号で、次世代を担う子どもたちに、どう「映画」を伝えていくべきか、という特集があって、その中の座談会の記事に、佐々部監督が、実際に子どもたちに対して映画づくりを指導している方々に交じって登場していました。

なかなか難しいテーマですが、佐々部監督は、気骨を持つことの大切さ、例えば横並びに「ROOKIES」を観るよりも、1人ぐらい、同じスポーツ物なら、俺は「三本木農業高校、馬術部」を観るよ、という中高生がいてもよいのでは、という趣旨のことを発言されていました。

「なるほど!」と思いました。気骨を持つこと、これはとっても大切なことだと思うのです。ウチの子どもたちも「ROOKIES」は観に行って「よかった、感動した」と言ってはいるけれど、もう少し成長して、同じ世代の友人と映画の話になったとき、一般的な見方とは違う見方をする友人と出会い、そこからまた違う少数意見を聞いて刺激を受けることは、いろいろな感性を身につけるためにも、本当に必要なことかもしれない、と思うのです。

これは映画に限ったことではなく、音楽や小説でも同じでしょうが、こうしたものの観方は、ひとつではないし、いろいろな観方、感じ方があって当然です。

それを雑誌やネットなどから教わることも大切だけど、同世代の親しい友人から感じると、また違うものの観方ができる、と思います。だから、映画を好きになってもらい、そして気骨を持ってもらう、これはとっても重要なことだなあ、と思いました。

それで思いだしたのが、僕が高校3年生のときの話です。当時、スティーブン・スピルバーグ監督の「E.T.」が大流行していました。「あの映画を観てない人は人であらず」みたいな雰囲気が漂っていました。

僕は、そんな風潮が何となくいやで、当時、小難しい映画が好きなフリをしていたこともあったのですが、とにかく「あれは観ない」と決めたのでした。友達からは「お前、映画ファンと言いながら、あれを観てないのは違うんじゃないか」と言われました。

まあ観てないので、作品の批判はしませんでしたが、「みんなが観なくなったら観る」と言っていました。でも、しばらくあの作品はビデオソフトにならず、「観たい!」と思ったときは観られなくて・・・結局、観たのは大学を卒業して間もないころではなかったと思います。

100人が100人、みんな同じ感想を持つ。こんな世の中にだけはなってほしくないな、とつくづく思います。そう言えば、社会に疑念を持ったり、人生に矛盾を感じたのも、映画が教科書でした。

小学生から高校生にかけて「砂の器」「青春の殺人者」「仁義なき戦い」「太陽を盗んだ男」などを観ながら、いろいろなことを教わったような気がします。多種多様でありながら、良質な映画が作られ、それを子どもたちが観ながら成長していけば、社会はもっと健全化していくのでしょう。

この「健全化」は、不良もあり、の健全化ですが。いろいろな人がいて、初めて社会は健全となる、と思うのです。多少、子どもには刺激的な作品でも、子どもはきちっとそのメッセージを汲み取れる、と僕は信じています。

キネ旬の紙面では、次世代へ良質な映画を残していくための取り組みのひとつとして、佐々部監督がご自身が感銘を受けた映画をサイトで紹介している、という発言がありました。これは、ナビタウンの中にある、コーナーです。↓

http://www.navitown.com/weekly/cinema/dvd/index.html

素晴らしい作品ばかりが紹介されているので、レンタルビデオ店などで借りられる際の参考にされるといいと思います。

最新号で紹介されている「仁義なき戦い/広島死闘編」の紹介記事を読んで、僕もシリーズ5部作を一気に観たくなりました・・・。

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追悼・・・  映画つれづれ

僕が自称研究生として入団させて頂いている、佐々部監督作品のエキストラ劇団「劇団厳流第二級」の団長さんであり、日ごろから大変お世話になっている同劇団副長さんの奥様、<カサブランカ礼子>さんが亡くなられた、との報せを受け、周南応援団の仲間たちと下関に向かい、お通夜と告別式に出席してきました。

いつだったか・・・下関で佐々部監督応援団勢ぞろいで飲んだ時、ボックスがぎゅうぎゅう詰めで、カウンターにいた僕がそこに冗談で無理に入ろうとしたら、みんな、大ブーイングで大笑いの嵐が起きて・・・そのとき、<カサブランカ礼子>さんがさり気なく寄って頂いて、小声で「大橋さん、ここに座れば・・・。こっちの方が楽しいでしょ」と言ってくれたことが、忘れられません。

気さくで、飾り気がなくて、気配りをされる、そんな<カサブランカ礼子>さん。

言葉も見つからず、ただただ、ご冥福を祈るしかないのですが、お通夜と告別式に集まった方々のお顔を拝見していて、映画を通して知り合った、大切な仲間たちの尊さや絆を感じずにはいられませんでした。

最近、一堂に集まる機会が少なかったのですが「こんなときに集まれるなんて、残念だね」と挨拶するのが悔しくて・・・。でも、こうしてみんなが集まれたのも、団長さんのさり気ない気配りだったのでしょう。

最後に副長さんの御許可も頂き、東京支部長の発案で、劇団員全員で「瀬戸の花嫁」を合唱し、見送りました。・・・そう、「四日間の奇蹟」で、石田ゆり子さん扮する真理子の結婚式のシーンで、団長さんと副長さんは仲人役を演じられ、この歌を歌ったのでした。

あのシーンは、いいシーンでした・・・。映画への想いは、イコール、人への想いでもあります。僕は、今までも、「映画」を通して、忘れ得ぬ人たちとの出会いを刻ませて頂き、そのお陰で、ちょっぴりですが、成長させて頂いたように思います。

その中には、<カサブランカ礼子>さんをはじめ、天に召された方々もいらっしゃいます。ともに映画仲間で、夢を語り合い、MOVIX周南誘致に奔走した、親友のKさん、佐々部監督との出会いを下さった、Mさん、山口放送の井上アナ、僕の父親的存在でもあった、脚本家の東條先生・・・。どのお方も、僕の心に、深く、深く刻まれています。

これからも、映画を愛し、応援し続けることが、皆さんへの、僕なりの恩返しになるのかな、と感じました。そして、劇団厳流第二級の自称研究生としては、早く研究生を脱皮し、<出演>できるように頑張らなくちゃ、と思う日々です。
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ターミネーター4  新作レビュー

観た日 6月某日 ★★★★

恐らく、ジェームズ・キャメロン監督からすれば、「ターミネーター」という作品は、第1作で終わっていたのだろう。それほどに、このシリーズの第1作は、完璧な構成と面白さを持った、SFパイオレンス・アクションの傑作だった。

しかし、低予算ながら世界中で大ヒットし、当時は人気が出かかっていたものの、筋肉ばかりが話題になって正直、演技も下手だったアーノルド・シュワルツェネッガー現カリフォルニア州知事を一躍スターダムに上げた作品だけに、ハリウッドは当然、パート2を求めてきたことは、僕でも容易に想像できる。

恐らくキャメロン監督も悩んだろう。大ヒットした作品のパート2だが、スターになったシュワちゃんを今更パート1と同じ悪役にはできない。

そこで、キャメロン監督は考えた。未来の救世主となる少年、ジョン・コナーとその母親を殺すため、別の新型ターミネーターをタイムスリップさせ、前作では悪役だった旧式ターミネーターを正義として戦わせる、というアイデアを。これはよかった。

「ターミネーター2」はパート1とは違った意味で、完璧な娯楽作品として傑作だった。パート1で提示された、核戦争が起きるはずの未来を変える、というテーマ性を打ち出し、反戦や核の恐ろしさを描いたことで物語に深みが出た。

ワイヤーを打ち消したり、それまで違和感があったCG合成を、実写の質感に合わせるという、今では主流になっているCG新技術がこの映画によって確立され、それを駆使したことで、これまでは考えられなかった派手なアクションや迫力あるシーンが可能になった。

キャメロン監督は、前作を一度解体し、世界感を繋ぎながらも、アクションと核戦争の脅威、という点から見た新しい世界を構築した。これは、サスペンス・ホラー映画の大傑作「エイリアン」の続編を撮る、という難しいアプローチに対して、母性VS母性のアクション、という新たな機軸で取り組み、前作とは違った意味でまたまた大傑作になった「エイリアン2」で見せたキャメロン監督の体験が生きたのだと思う。

「エイリアン」第1作でギーガーがデザインしたエイリアンはどう見ても、男性器のシンボルなのだが、これを「女性=母親」に変えて、子のエイリアンを守ろうとするエイリアン・クイーンと、同じく生き残った少女を救うため、ヒロインのリプリーがお互いの母性を賭けて戦う、という展開には驚いたし、シビレた。

さて、この「ターミネーター」のパート4だが、パート2で回避できたはずの「審判の日」が起きたあとの物語であり、パート3で出てきたジョン・コナーの恋人も登場していることから、ラスト近くで「審判の日」を迎えてしまった、ジョナサン・モストウ監督による第3作目の設定を踏襲しているようだ。

だが、女ターミネーターというアイデアと、チェイス・シーンなどはなかなかよくできていたパート3だが、正直、1作目と2作目の面白さには全く追いつけてない感があり、イマイチだった。

それは作り手も一緒の思いだったようで、設定は受け継いでいるものの、パート3の世界観や雰囲気はバッサリ切り捨ててある。その代わり、1と2でのエピソードやセリフを巧みに取り入れ、オマージュを捧げながら、とくに1作目に漂っていたダークな終末的な雰囲気を全編に漂わせて成功している。

この映画ではマーカスという半機械の人間が出てくるが、このマーカスの苦悩を描いたことで、このシリーズで描かれてきた「機械文明への警鐘」というシリーズ全体を貫く深いテーマがより明確となった。未来の話ではあるが、現実的な風景描写が戦争映画としての側面も濃く見せる。

また、この映画は主人公ジョン・コナーの成長物語でもあり、自身の父親でもあるまだ10代のカイルとの出会いが描かれるが、この辺りは1と2を観てないとサッパリ何のことか分からないだろう。

お話の展開はツッコミ所も多いのだが、いろんなターミネーターが出てくる楽しみもあるし、アクションのグレードはかなり高い。過去を抹殺するため、未来から刺客が訪れる、というタイムパラドックスの面白さを含めた過去作のシリーズの魅力には正直乏しいものの、これはこれでなかなかの見応えがあり、早く続きが観たい、と思わせてくれる。

映画雑誌によると、完成された作品群の続きを依頼されたマックG監督は、悩んでキャメロン監督に相談したのだそうだ。するとキャメロン監督は、上記の「エイリアン2」を引き受けた話をして、励ましたのだそうだ。

なかなかに深イイ話だが「前作がホラーなら、今度はアクションだ!」と取り組んだキャメロン監督に対して、「過去シリーズがアクションなら、今度は戦争映画だ!」と取り組んだマックG監督の意気込みは、しっかりと伝わる作品になっている。

そして、過去シリーズへのオマージュは、もちろん監督がこれまでの作品を好きなこともあるだろうが、励ましてくれたキャメロン監督への感謝と尊敬の表れなのだろう。

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スター・トレック  新作レビュー

スター・トレック
観た日 5月某日 ★★★★

いやあ…JJエイブラハムさん、やってくれました。

恐らく、日本ではSF物、宇宙物は一部を除いてなかなかヒットしないし、このシリーズも長くやってマンネリ気味だったから、厳しいだろうな、と思いつつも、テレビドラマ「LOST」や「クローバーフィールド/HAKAISHA」のエイブラハム監督が手がけ、本国での評判も上々と聞けば、SF者の僕としては、こりゃあ観に行かなきゃなるまい、と公開初日の初回、早速行ってきた。

どえらく面白い、一本である。スペースオペラ(最近はこういう言い方はしないか…)でこれほど血沸き、肉躍ったのは、久しぶりだ。

「スター・トレック」シリーズは全世界にトレッキーという熱狂的なファンがいるが、僕は正直、このシリーズを一応は観てはいるものの、そんなに熱心なファンではない。

テレビシリーズのオリジナルキャストが出演していた劇場版は全作観ていて、とくにエンタープライズ号のクルーたちが、未来を救うため、絶滅したクジラを求めて現代にタイムスリップする「スター・トレック4/故郷への長い道」は傑作だし、オリジナルキャスト版の最終作となった「スター・トレック6/未知の世界」は面白かった。

しかし、他の作品は、正直、駄作ではないか、と思えるものもあったし、キャストを一新した新シリーズは何作か観たがどうも乗れず、少し斜め見していたのは事実なのだ。

それが、この新作は、実に面白くてエキサイティング。テレビシリーズ、映画で展開してきたお話の以前、カーク船長の若かりし頃を描いたのが今回。いわゆる最近流行りの、昔の作品はそれとして、ひとまず置いて新たに生まれ変わらせる、というパターンだ。

シリーズのツボや約束事をしっかりと押さえながらも、物語展開の妙やスピーディーさ、SFXの凄さという点では、正直、このシリーズのこれまでの映画版を遥かに凌駕している。このパターンで成功したのは、最近では007シリーズの「カジノ・ロワイアル」だろう。あの作品も、ショーン・コネリーの傑作群はそれとして、見事に007が持つ本来の面白さを現代に蘇らせた傑作だった。

カークの父親が艦長を務める宇宙船が突然、謎の宇宙船に襲われ、その最中にカークが誕生する、というプロローグからして観客を引きつける。そこからカークがエンタープライズに乗るまでの話が展開していくが、おなじみのクルーやエピソードを交えながらも、初めてこのシリーズを観る人にも分かるようになっている。

成長物語としても、優れた戦争映画によく見られるひとつのシミュレーション映画としてもよくできていて、先が読めず、ハラハラドキドキさせてくれる。元祖スポックのレナード・ニモイが重要な役で出てくるのも嬉しい。

で、僕はオープニングからあのテーマ曲が出ないことに不満だったのだが、ラストに…。やられました。涙線大爆発。エンドロールで大号泣したのでした。

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お買いもの中毒な私!  新作レビュー

観た日 5月某日 ★★★

※少々、ネタバレ的な要素もあるので、御注意ください。

ライトなコメディなのだが、楽しめる要素がいっぱいで、最後まで飽きさせない。

お買いもの中毒からなかなか抜け出せないヒロインに、マネキンが買いものをするよう誘惑する、というシーンが笑える。

ここのVFXは実に見事で、こういう日常的なお話の中で、こんなところにさり気なく物凄い特撮技術を使うのは、さすがに「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「ナショナル・トレジャー」のジェリー・ブラッカイマーがプロデューサーだけある。

主演のアイラ・フィッシャーは、本当は33歳で落ち着いた感じの女優さんのはずだが、25歳のオキャン(死語ですな)なギャル(これも死語)を好演している。

まあ、予定調和で、観客の予想を裏切らないお話なのだが、ヒロインがカードローン地獄にはまっているのに、どこかとぼけながらも違う焦点で記事を書いていくうちに、経済社会の本質を突いていく金融ジャーナリストに成長していく、という展開はよく練ってあると思う。

そこに恋が絡んで、というのはいかにも、のアメリカンドリームなのだが、あまり目くじらを立てても仕方がないだろう。深くはないが、カード一枚あれば何でも買える、という経済優先の社会への皮肉も、一応は描いている。

ただし、僕も借金には苦労したどころか、かなり究極なところまで追い込まれた経験があるので言わせてもらうが、これほどの借金を背負ったにしては、ヒロインの意識は、余りにも甘すぎる。借金取りの男を、ただの意地悪に描いている点も、少々気になる。

結果的には、自分の弱さを克服していく、という展開ではあるのだが、そこも、ちょっと甘い。ただし、ラストの爽やかさでちょっと救われているかな。

それと、ヒロインの父親役で、ジョン・グッドマンが出ていてビックリ。久しぶり、グッドマンさん、という感じ。僕はこの役者さんが大好きなのだが、なかなかに軽くて笑わせてくれ、ちょっぴり渋さもあって、やっぱりいいなあ、と思ってしまった。


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真夏のオリオン  新作レビュー

観た日 5月某日 ★★★★

人間魚雷「回天」も出てくるが、描いているスタンスは「出口のない海」とは全く違う。

どちらも実話を元にしているが、「出口のない海」は「回天作戦」を真正面から描いているのに対して、この映画は「回天作戦」を物語の重要なモチーフとしながらも、潜水艦の艦長の生き方や作戦に焦点を当てている。

「出口のない海」は、甲子園の優勝投手であった普通の大学生の主人公が、海軍に志願し、人間魚雷「回天」の乗組員になる、という物語だった。

「出口…」には、潜水艦が爆雷にさらされるシーンはあるが、いわゆる戦闘シーンは一切ない。敵である「米軍」も出てこない。

そういう意味では、静かな「戦争映画」だった。普通の若者が、なぜ、「回天」に志願したのか?主人公たちは、決して、それを声高に叫んだりはしないが、恋人や家族との関わりの中で、揺れ動きながら、「死」を意識せざるを得ない状況に身を置き、それでも「夢」を追い続ける若者の心情を、様々な印象的な場面で繋ぎ、表現した秀作だった。

この「真夏のオリオン」のモデルになった艦長さんは、実際に、「回天作戦」を使わず、魚雷によって米巡洋艦「インディアナポリス」を沈めたのだという。

回天の乗組員は黄川田将也氏らが演じ、「回天作戦」を発動しない艦長に対して、懐疑心を抱く様子が描かれる。

僕は、この映画を観ていて、「出口のない海」で、香川照之さんが演じた、潜水艦の艦長さんをずーっと思い出していた。

あの艦長さんも、好きで「回天作戦」を発動した訳ではない、回天乗組員に対する想いが人一倍強いからこそ、作戦を発動したあとに複雑な表情を見せる。

香川さんを起用し、短いシーンの中にもその人間性を表現した演出をしたことで、この艦長の人物像が実に豊かになっていて、どういう人なのか、観客に十分に想像させてくれる人物として描かれていた。

こういうキャスティングや演出をすることで、恐らく脚本上には決して描かれてないはずの、キャラクターの豊かな人間性を表現することができる。

二時間しかない映画の中で、なかなか全ての「人間」を描くことは難しいが、これこそが、演出の「妙」であり、監督の「技」なのだろう。ちょっとした演出の工夫で、映画は観客に想像させる喚起を与え、豊かになるものなのだ。

さて、この「真夏のオリオン」だが、ステレオタイプの軍人を描かず、実話を元にしながら、潜水艦内の人間ドラマを描いた、という点では「出口…」とも共通する。

ただし、ドラマは潜水艦アクションの色合いを濃くしているので、単純に比較はできない。アクションは、かの名作「眼下の敵」を下敷きにしているのだが、潜水艦と巡洋艦の単純な追いかけっこには終わらず、なかなかにスリリングな作戦が展開されていて最後まで飽きさせない。

とくに後半のサスペンスはよくできている。わずかしか酸素が残ってない中、機体も壊れ、魚雷も残りが一発しかない中で、どう反転攻勢するのか。

ここは予想もしない展開で、ハリウッドの潜水艦映画にも負けない、なかなかの面白さである。玉木宏氏、吉田栄作氏ら出演陣も頑張っている。

個人的には、ヒロインのキャスティングがちょっとどうかな、と思う部分があるのだが、それは人それぞれだろう。

篠原哲雄監督の作品では「はつ恋」と並ぶ、印象に残った作品だった。

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やりとり、嬉しいです!!  映画つれづれ

またまた、僕のパソコンから変な禁則がかかっているのか、自分のブログにコメントができないので、記事でコメントを下さった方にお礼を書きます。

K−SASABEさま、マーズアタックさま、僕のブログで「勝手にやりとり」、メチャクチャ嬉しいです!!

どしどしやってください!!!

マーズアタックさま、「夕凪の街 桜の国」への素晴らしい批評眼、ありがとうございます!

藤村志保さん「カーテンコール」でも、素晴らしかったです。

「夕凪の街」と「桜の国」を繋ぐ、フジミの存在があるからこそ、原爆という宿命にも負けず、命を未来へと繋いでいく「家族」の姿を、観客は感じられる。

そのフジミ役を、静かで儚い中にも、子を想う、とてつもない強さも感じられるように演じた、藤村さんは、本当に凄い、と僕も思いました。

確かに、「ゴッドファーザー」にも通じる、日本ならではの家族の三代にわたる大河ドラマですね。改めてその深さに感動しました。

さて、「シネKING」ですが、視聴率もいいようで、視聴者の皆さんからも様々な御意見や励ましが寄せられているようです。

これからも、太い身を引き締めて頑張ります!

先々週はシネマスクエア7から「トランスフォーマー・リベンジ」と「劔岳 点の記」を紹介しました。

「うんちく」コーナーでは、「劔岳」の菊池プロデューサー、福澤美術監督、林ラインプロデューサーが、番組のためにわざわざビデオメッセージを作って頂き、その模様をご紹介しました。

これには、僕自身、物凄く感激しました。

「マニィさん、東京に来たら一杯やろう」「でも彼はすぐ寝るから」「いや、僕は遠慮しとく」というやりとりが、大爆笑物でした。

先週は、ワーナーマイカルシネマズ防府から「群青」「ごくせんTHEMOVIE」を紹介し、僕のヤンクミの物まねが好評?だったようです。「うんちく」は「二百三高地」でした。

今週は、MOVIX周南から、「MW」と「ノウイング」を紹介します。「うんちく」は、見てのお楽しみです!!
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ROOKIES  新作レビュー

観た日 5月某日 ★★

映画って、主人公たちに対する「対比」が必要ではないか、と思う。とくにスポーツ物の場合、そこを吹き飛ばすのはどうだろうか。

野球は、試合の相手があって成り立つ。相手を吹っ飛ばして、チーム内で泣いたり、ケガをしたりしても、何だか独り舞台のようだ・・・と思うのは、僕だけだろうか。

原作コミックでは、相手となった笹崎高校のドラマが、きちんと描かれている。

かつて自分が選手であり、挫折も味わったからこそ、笹崎の監督は管理野球を徹底している。かつて天狗だった川上投手を育てあげ、選手たちの苦悩も十分理解している。

その中で、破天荒だが、ひたすらに熱く、バカのように立ち向かう川藤監督、そしてニコガクナインに心動かされ、やがて熱く、戦っていくのだ。

この「対比」があってこそ、ニコガクのチーム内のドラマも生きると思う。だから、テレビのドラマを見てないと、何故彼らがそこまで「夢」に対してひたむきなのか、今一つ理解できない。

もちろん、この映画だけでもストーリーや背景は分かるように作られてはいるが、どうしてもドラマを見ないと補完できなくなっていのは、テレビドラマの映画化である以上は仕方ないだろう。

クライマックスでボロボロに泣く球児たちは感動的だが、こちらは感情移入して観ている訳で、状況的に、まだ試合は終わってないし、観ている方がハラハラしてしまう。これだと試合は中断してしまうし、もし打たれたらどうするのよ、と。

「映画の中の人物が泣いちゃあ、いけませんよ。見ている人は泣いてもいいけど」とは、降旗康男監督の言葉である。スクリーンの中で展開される感動的な物語や情緒に泣かされるならともかく、登場人物のストレートな「涙」に「泣く」のは、これは「映画に感動する」ということとは、ちょっと違うように思う。

散々いろいろ書いたが、作り手と演じている俳優さんたちの熱さと真摯さは、きちんと伝わる。

僕の息子たちがこのドラマの大ファンで、映画も初日に観に行って大感動していた。

僕も息子たちに付き合ってテレビシリーズは全話観ていて、そういう僕も、最後は、不覚にも涙が止まらなかった。

この映画を小中学生たちが観て感動するのは、いいと思う。スクリーンならではの迫力もある。ただし、こういう映画ばっかり、というのも、ちょっぴり困るような気がするのだ。

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マイマイ新子と千年の魔法  新作レビュー

観た日 5月某日 ★★★★★

恐らく日本一早いであろう、舞台となった山口県防府市での特別先行試写会で観賞させて頂いた。

アニメとしてのクオリティが、実に高い。

「千と千尋の神隠し」を想起させてくれたが、片淵須直監督は宮崎駿監督作品「魔女の宅急便」「名探偵ホームズ」で監督補をした方だった。

昭和30年の山口県防府市。1000年前の平安時代、このまちは、国衛と呼ばれていた。確かに大昔も人々の暮らしや営みがあったこのまちで、自由に生きる子どもたち。

かつて、僕たちが野や山で遊んだとき、田んぼや神社の境内の裏側に、とてつもない「何か」を感じる瞬間があった。

それは闇なのか、何か神秘的なものなのか、それは分からないけれど、そんなものを感じながら、子どもたちは日々を送っていたものだ。

そして家に帰れば、そんな「何か」を今に伝えてくれる、僕の家で言えば、祖母がいた。

「あの山には●●がおるから、行っちゃいかん」「あそこは昔、●●がおって、おばあちゃも、●●をしたもんじゃ」などなど。

そのおばあちゃんの存在もまた、神秘的だった。いつも着物を着ていて、顔はしわくちゃで、その存在感と怖さは独特で、あのころ、家族という日常の中に、神秘的なものが確かにいたのだ。

この映画は、そんな昔から続く神秘的な「何か」を感じながら、その「何か」が住む自然と一体となりながら、伸び伸びと遊び、友達同士の絆を紡いでいく、「子どもたちの姿」が生き生きと描かれる。

これが現代となり、子どもたちも文明に慣らされ、その「何か」も見えなくなり、いつしか「闇」の住民たちも病んでしまっている・・・そんな世界観をアニメーションとして見させてくれたのが、宮崎監督の「千と千尋の神隠し」だったように思う。

作品の世界観も違うので、比べようもないのだが、この映画は、不思議と「千と…」を連想させる。しかし、「崖の上のポニョ」もそうだったが、「千と…」以降、終末観的な物の見方に救いを求めているような宮崎監督の作品群に対し、この映画は、不思議な明るさに満ちている。

「となりのトトロ」に見られたように、かつての子どもたちは、神秘を力にしていた。恐らく日本中の子どもたちがそうだったであろうと思われる、かつての子どもたちの姿が、この映画にも、存在している。そういう意味では、宮崎監督のお弟子さんとも言える片淵監督が、この映画を作っていることはとっても興味深い。

映画は新子が友達のために、大人の世界、いわゆる「現実」に立ち向かうエピソードがクライマックスとなっていくが、それが「成長」になるのかどうか。そこは観客の想像に委ねるところだろうが、余韻を残すラストがまたいい。
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