映画遺産!  マイベスト

遅ればせながら、昨年末にキネマ旬報から出た、キネ旬ムック「オールタイム・ベスト映画遺産200」(日本映画篇)を買いました。

様々な映画人や文化人、読者が選ぶオールタイムベストテンが紹介されていて、我らが佐々部監督も、寄稿されています。

監督が選ばれた10本は、「祭りの準備」「砂の器」「キューポラのある街」「幸福の黄色いハンカチ」「七人の侍」「東京物語」「旅の重さ」「仁義なき戦い」「赤い殺意」「ホタル」でした。どれも傑作ばかり!

監督の作品を観ていると、頷ける作品ばかりです。こうした作品を観ながら、監督は映画を学び、いろいろなものを感じ取られたのだろうなあ、と感じました。

この本では、読者が選んだベスト200に「チルソクの夏」「夕凪の街 桜の国」が入っていて、文化人・映画人の方も、この2作品を選ばれた方がいらっしゃいました!

とくに、フランス文学者の野崎歓さんという方は、「チルソク」を大きく紹介。「題材と、場所と、出演者のフレッシュネスが見事な一致を観た『チルソクの夏』のような作品が、“珠玉の”という形容にふさわしい」と大絶賛していらっしゃいました。う、嬉しい・・・。

さて、僕のオールタイムベストテンですが、以前書いたので、また書きますね。

★日本映画
@「チルソクの夏」
A「砂の器」
B「仁義なき戦い」
C「夕凪の街 桜の国」
D「太陽を盗んだ男」
E「ルパン三世 カリオストロの城」
F「ゴジラ」(1954)
G「キャバレー日記」
H「夢」
I「星空のむこうの国」

★外国映画
@「誰かがあなたを愛してる」
A「ニュー・シネマ・パラダイス」
B「スタンド・バイ・ミー」
C「ライフ・イズ・ビューティフル」
D「ジョーズ」
E「フィールド・オブ・ドリームス」
F「燃えよドラゴン」
G「殺人の追憶」
H「ブレード・ランナー」
I「ダークナイト」

…こうやって改めて見ると、いずれも2位までは不動ですが、3位以下は、そのときそのときの心境によって違うなあ、と改めて思いました。

そこで、「僕の人生に影響を与えた映画ベストテン」を記したいと思います。影響度の強さから1位、2位と繰り下がります。

@「チルソクの夏」
※この映画がなかったら、今の僕はなかった。
A「野獣死すべし」
※高校生のとき、この映画で人生観が変わった、ような気がした。
B「キングコング対ゴジラ」
※生まれて初めて映画館で観た映画です。
C「ロミオとジュリエット」
※叔父さんに連れられて行った記憶が…。僕の目覚め。
D「伊豆の踊り子」
※百恵ちゃんバージョン。初めて自分の意志で映画館に行った映画。
 小学生でした。ませていたもんだ。
E「砂の器」
※忘れもしない。小5のとき。日本映画に目覚めた瞬間でした。
F「ジョーズ」
※これで洋画に目覚めました。これも小5のときでした。
G「出口のない海」
※この映画のお手伝いがしたい!と会社を辞めてしまいました。
H「ロボコン」
※この映画で、初めて撮影の現場というものを体験させて頂きました。
 キャンペーンイベントの司会をしたことも思い出です。
I「ほたるの星」
※素敵な仲間たちと出会えた作品。公開時のキャンペーンのお手伝いは、
 貴重な経験となりました。


2

マイケル・ジャクソン THIS IS IT  新作レビュー

★★★★

単なるリハーサル映像を編集したものかと思いきや、完璧主義とも言えるマイケル・ジャクソンが、来たるべきコンサートに向けてどう準備をしていったのか。

その過程を、バックダンサーやバックミュージシャンたちの証言も混ぜながら、ステージ上の歌、ダンスをしっかりと聴かせ、見せてくれる。

マイケルの動き、歌声は往年のキレそのまま。

ただし、リハーサルなので場当たり的なところもあるし、歌は100%の発声ではないところもある。だが、それだけに、デュエットで「ノドを大切にしたい」とあまり本気ではなかったマイケルが、相手の若手シンガーの気迫に押され、ついつい本気モードで歌いあげるシーンは見応えがある。

そして、女性ギタリストのソロがマイケルの指示で生き生きとなるシーンもいい。共演者たちはみな、幼い頃からマイケルにあこがれ、その夢をかなえた若者たち。彼と同じステージに立てる、その喜びがスクリーンいっぱいに広がり、こちらに伝わってくる。

映画ではコンサートで使用するはずだったいくつかの映像もしっかりと完成させて披露。この映像パートも見事で、とくに「スリラー」はかのビデオクリップとはまた違う味わいを持っていて楽しめる。

コンサート全体のテーマは「地球を救おう」というもので、映画を観ると、マイケル自身がこのテーマにこだわっていたことが分かる。

マイケル・ジャクソンはもちろんスーパースターなのだが、その彼が独善的に決してならず、ときに優しく、ときに厳しく、仲間たちと共にステージを作り上げていく様は感動的。

それだけに「本番」のコンサートが見られなかったのは残念だが、彼が急逝したからこそ、この稀有なミュージック・ドキュメンタリー映画が完成したのも事実で、皮肉なことではある。

1

4万アクセス突破!!  映画つれづれ

1月も後半になりましたが、皆様、あけましておめでとうございます!!

仕事の多忙さや、個人的に落ち込んだことも色々あって、更新をさぼってしまい、本当に申し訳ございませんでした!

お陰さまで、元気になって、またまた前向きになりました。今年もこの「マニィ大橋の映画日記」をよろしくお願い致します。

書きたいこと、ご報告したいことはたくさんありますが、取り急ぎ、昨年秋から貯まりまくっている新作レビューを更新していこうと思います。

全部で15本はあるかしら? まずは一本ずつ、書いていきます。

それから、しばらくの間に、総アクセス数が40000を超えました!!!これも、皆様方のお陰です。

落ち込んだ時、このブログを見ると、がんばってきたんだなあ、と思うと同時に、見て下さっている皆様方の存在に励まされます。

これからも、頑張ります。感謝、感謝・・・・感謝です!!!!
3

私の中のあなた  新作レビュー

私の中のあなた
★★★★★

いわゆる難病物なのだけれど、この映画がいいのは、重い病気になった長女に対する家族それぞれの想いが丁寧に描かれていくところにある。

・・・だが、昨今の日本映画のように、その想いをダラダラと台詞で喋ったりはしない。背景や気持ちを説明するセリフはもちろんあるが、過剰な表現はない。

ドラマ部分の間に、印象的なモンタージュ・シーンが繰り返し入る。でも、そこが見事なのだ。例えば、病気の長女を想うものの、あまり自分のことを理解してもらえない発達障がいを抱える長男が、ただ街をさすらうシーンがある。

音楽が流れる中、セリフもなく、その長男は街をさすらうのだが、その長男の表情で、観客は全ての感情が理解できるのである。

僕自身、発達障がいの当事者でもあるので、この長男の気持ちは分かる。自分自身が成長するためには、両親の理解とサポートが第一ではあるが、最愛の姉のため、自分どころではない両親の想いが痛いほどわかるだけに、この気持ちは辛い。

しっかりとした芝居の合間に、そんなそれぞれの家族が思い悩む象徴的なシーンが効果を上げていて、この映画は、苦しむ家族1人1人が置かれた状況にそれぞれ感情移入できる。

そして、徹底したリアルさ。日々、病気に衰えながらも、懸命に家族に何かを伝えようとする長女役は見事。髪の毛が抜け落ちた娘のため、さり気なく坊主頭になるキャメロン・ディアス、仕事をこなしながら、家族を気にかける父親、みな、徹底した役づくりをしている様が伝わる。

物語の核は、姉のために臓器等を提供するために生まれてきた妹が、今後、臓器や血液などを提供しない決意をして弁護士を通し、両親を訴える、というところにある。

だが、映画は弁護士でもある母親と娘の法廷シーンもありはするものの、その「骨肉の争い」はあえて重要視せず、それぞれの「病気の家族」を守るため、自分の在り方を求めていく様をじっくり描く。

その果てに、病気でやがてこの世を去っていく長女の想いが明らかとなり、残された母と娘がそこから導き出した結論を知ったとき、不思議とさわやかな気持ちになるのだ。

1


MW
★★★

これも、手塚治虫先生のコミックの映画化作品。生誕80周年記念作品である。

長年のファンからすると、よくぞ「MW」を映画化したなあ、と思う。手塚先生の作品のうち、70年代に、問題作とも言える社会派作品が集中している。

手塚先生は、巨匠なんだけれども、物凄い嫉妬の固まりみたいなところがあって、そのときそのとき人気の若手やブームに執念を燃やし、生涯、新しい作品を生みだした。それこそが、実は手塚先生の真の偉大さでもある、と僕は思う。

「ザ・クレーター」「きりひと賛歌」などは、劇画ブームへの真っ向からの挑戦だし、SFマガジンに連載された「鳥人大系」は、当時流行した「猿の惑星」へのアンチテーゼだなあ、とも思う。

当時の作品群を見ると、かなり荒廃的なものもあって、手塚先生も晩年に否定的な見解を示した作品もあるが、そこからはベトナム戦争や70年代安保、公害問題などの影響も強く見える。

最新の時代性を切り取りながら、問題意識の高い物語性をコミックの世界で生み出した、この1点から見ても、やはり手塚治虫は凄かった、と思う。

こうした手塚先生の大人向けコミックは、晩年近くになって、「陽だまりの樹」「アドルフに告ぐ」という、これまたとてつもない傑作へと昇華する。

「MW」は、そんな70年代の手塚先生の作品の中でも、とびきり刺激的な作品である。今読むとストーリーはかなり荒削りだが、一気に読ませるその手腕はさすが。悪人を主人公にしたピカレスク・ロマンとしても、かなりの傑作だ。

今回の映画化作品は、さすがに原作が持っていた70年代のかわいた時代性を感じることはできないが、上手く現代的に仕上げていて、とくに前半はタイでのアクションもよくできていて、娯楽映画としてはなかなかの仕上がりになっている。

刑事役の石橋凌さんは相変わらずの存在感で、映画をきっちり引き締めてくれる。

主演の玉木宏も原作にほれ込んでいるのか、なかなかの熱演であり、徹底した悪のヒーローぶりが様になっている。

ただし、中盤から後半の展開が少々甘いのが気になるところ。そして、原作で描かれていた、秘密を共有する主人公と牧師の関係性が、映画ではごっそり抜けおちているため、物語の説得性に欠けているのが実に惜しい。

原作未読でこの映画を観た方に、「実はあの2人、原作では●●なんですよ」と言うと、皆さん、納得される。どうしてその設定を無くしたのか。思わせぶりなところはあるが、それを自主規制したのだとしたら、そんなの、映画というメディアの意味はない、と僕は個人的には思う。

そんな「自主規制」と最も遠いメディアが映画であるはずではないか。気がつけば、この映画も大手テレビ局主導の大作だった。こんなところにも、テレビ局至上主義の日本映画の弊害が出ている。

原作物の映画化でも、映画という表現方法は小説ともマンガとも違うのだから、物語を変えることは「アリ」とは思う。だが、原作の「精神」を変えると、そこはもう原作とは別物になってしまう。

そこそこ面白いだけに「手塚治虫原作」の文字が、ちょっと虚しい。

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ATOM
★★★

手塚治虫先生生誕80周年記念映画と聞いて驚いた。

手塚先生は確か60歳で亡くなられたはずだから、もう20年も経つんだ、という感じである。

手塚先生が亡くなったとき、朝日新聞が素敵なコラムを載せていた。

アメリカでは、電車やバスに乗っていても、誰ひとり、マンガを読んでいない。何故か? それは、アメリカには、手塚治虫がいなかったからだ、という趣旨だったように思う。

日本でマンガという文化を築いた手塚先生は、アニメーションではアメリカのウォルト・ディズニーを尊敬し、生涯追いかけた、とも言われる。

ある専門家によると、アトムのデザインは、ミッキーマウスの影響、という指摘もある。

その専門家の指摘だが、アトムにあってミッキーにないもの、それは「自己犠牲」の精神という。

確かに、アトムは自分を生んでくれた人間に対して犠牲を払う精神を常に持っている。その典型的な場面が、テレビ版の伝説となった、地球を救うために太陽に突っ込んでいく、あの最終回だろう。

その全編に漂う物悲しさは、戦後間もなく誕生した物語故かもしれないが、アトムが背負っているのは、アトムが、テンマ博士が失くした子どもの身代わりという宿命である。成長しない息子に嫌気がさして捨てられた、という宿命こそが、その物語の真骨頂でもあると思う。

アトムは、人間である父親に捨てられても、人間のために戦う。それは、ロボットが人間に奉仕するという三原則を守るため、だけではない。常に悩みながらも、人のために戦うのは、実は、アトムそのものが、人になりたいからではないか、とも深読みできる。

アトムは、人になるため、人であろうとしているのだ。この設定は、手塚先生が幼い頃から親しんだという、ピノキオの影響が見られると思う。

その辺りは原作の「アトム今昔物語」を読むとかなり痛烈に感じるが、手塚先生の作品群は、常に人間の心の深さや矛盾を追求していて、読むたびに新たな感動がある。

で、この「鉄腕アトム」のハリウッド版である。オリジナルに敬意を表していて、ストーリーやテーマ性は、原作を踏襲している。息子の真氏が、脚本に参加もしているらしい。

のっぺらぼうのアトムをはじめ、トイ・ストーリーのようなキャラクターに多少の違和感はあるが、楽しめる作りになっている。手塚マンガおなじみのヒョウタンツギもヒゲオヤジも、ハム・エッグも登場する。ランプが出ないのが、ちょっと残念。

アメリカのアニメに憧れた手塚先生の日本製アニメが、ハリウッドのスタッフたちによって映画化されるとは、時代も進化したものである。

ただ、このハリウッド版は、原作とひとつだけ、強烈に違う点がある。それは、テンマ博士が悪人ではない、という点である。

この一点で、父親に裏切られる、という原作の重要な要素が変わってしまったのは事実である。この変更で、親代わりとなるはずのお茶の水博士の役どころが、何となく中途半端にもなってしまった。

その分、「父と子」というテーマ性が浮かび上がってはきたが、原作が持っていた人になりたが、成り切れないロボット、という深いものは乏しくなってしまったようにも思う。

だからと言って、つまらないことはない。感動もできるし、エンタテイメントに徹した、堂々たるアニメ映画である。ちなみに、日本語版のアトムの声は上戸彩だが、実にこれがいい。彩ちゃん、達者である。

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