アカデミー&アカデミー&そして・・・  映画つれづれ

アカデミー賞が発表されました。

イラク戦争を描いた「ハート・ロッカー」が主要部門独占、とのこと。

キャサリン・ビグロー監督は、対抗馬と目された「アバター」のジェームズ・キャメロン監督の元奥さんということで、対決が話題になっていました。

従来5作品だった作品賞ノミネートが、昨年、興行的にも評価的にも高かった「ダークナイト」が入ってなかったという批判もあって、今年は10部門に増えたのだとか。

それで、娯楽性も高い「アバター」が獲るのでは、という予測もありましたが、結果的には芸術性の高い作品が選ばれたようです。

アメリカでは、ベトナム戦争のあと、兵士の内面を描いたり、批判的な作品が続き「ディアハンター」や、恐ろしくも素晴らしい「フルメタルジャケット」などの傑作が生まれましたが、最近、イラク戦争をめぐって、また内省的な映画が作られています。

こんなところに、ハリウッドの懐の深さも感じたりします。

…と言っても、「ハート・ロッカー」は未見なので、作品については言えませんが。「アバター」は3Dで観ました。キャメロン節健在で、嬉しくなりましたが、感想はまた書きます。

さて、日本アカデミー賞ですが、「沈まぬ太陽」が作品賞&主演男優賞。あとは主要6部門で「劔岳 点の記」が受賞したようです。

今年は仕事が忙しく、テレビ中継も見ていません。日本アカデミー賞に対しては、僕の感想やスタンスはこれまでも何度もこのプログで書いてきました。↓

http://white.ap.teacup.com/applet/otacky/msgsearch?0str=%82%A0&skey=%93%FA%96%7B%83A%83J%83f%83%7E%81%5B%8F%DC&inside=1&x=27&y=10

今年の結果を見ても「やっぱり」とは思いました。ニュースによると、鳩山首相が出てきて、作品を観てないのに「沈まぬ太陽」にコメントした、ということですが、これは一体何なのでしょうか。

どんなに忙しくても、その場に出てくるなら映画は観てほしいなあ、と思います。

素直に、作品賞は「劔岳」に獲ってほしかったなあ、と思いました。

・・・・で、今年度は総括もしてなかったので、ここで独断と偏見で選ぶ、「2009年度マニィ・ムービー・アワード」の発表です!!

●作品賞/「劔岳 点の記」(木村大作監督)
●監督賞/片淵素直(マイマイ新子と千年の魔法)
●脚本賞/君塚良一(誰も守ってくれない)
●音楽賞/藤原いくろう(ヤッターマン)
●アニメ賞/サマーウォーズ(細田守監督)
●主演男優賞/松田優作(SOUL RED)浅野忠信(劔岳 点の記)
●主演女優賞/綾瀬はるか(おっぱいバレー)
●助演男優賞/三浦友和(沈まぬ太陽)
●助演女優賞/深田恭子(ヤッターマン)
●外国映画賞/母なる証明

・・・・以上です!!

作品賞は、今年度はこれでしょう。

木村監督には仕事で取材もさせて頂きました。その情熱と映画への想いが、きちんとスクリーンで結実していました。

監督賞は悩みましたが、アニメ映画の秀作で、僕も少しですが関わらさせて頂いた「マイマイ新子」の片淵監督。技術的にも素晴らしく、練りこんだ脚本、無駄のない演出、これざ日本のアニメ映画の質の高さを感じさせます。

片淵監督からは直接、この映画への想いを伺いましたが、この作品には監督の映画への想いがいっぱい詰まっていて、いつまでも心に残る、深い深い作品になっています。

そうするとアニメ賞も「マイマイ」なのでしょうが、アニメならではの世界観という意味と、ワクワクする物語という、エンタテイメントとしてかなりの良質ということで、「サマーウォーズ」に。この作品も「マイマイ」も、マッドハウスの製作。ここの会社、質の高いアニメを作っています。

音楽賞の藤原いくろうさんは、佐々部監督作品「カーテンコール」の音楽を担当された方。従来の「ヤッターマン」の音楽の世界観を壊すことなく、既存のメロデイーを上手に現代風にアレンジしながらも、藤原さんらしいメロディアスな音楽もきちんとあって、そのプロフェッショナルなお仕事に感動しました。

松田優作さんは、ドキュメンタリーでも、スクリーンに登場すると、やっぱり映えます。自然体な存在感が素晴らしかった浅野さんとダブル受賞。

フカキョンは僕の趣味。綾瀬さんは、等身大の20代女性の悩みや戸惑いが伝わってきて、素晴らしい。三浦さんは、その存在感に文句なし。
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宇宙戦艦ヤマト 復活篇  新作レビュー

★★

僕は、いわゆる「ヤマト」世代なので、youtubeなどでヤマト発進のシーンなんかを見ているだけで、涙腺がゆるんでしまう。

そんな僕だが、どうもこの「復活篇」は、享受できなかった。ごめんなさい、である。

絵柄が違う、云々は関係ない。キャラクターデザインが変わろうとも、古代進は古代進であり、真田さんは真田さんである。

むしろ、リ・イマジネーションが流行している現代にあって、「新しいヤマトを作ろう」という意気込みは、ファンの人々からも歓迎されるべき、だと思う。

だが…今回の復活篇は…正直、お話のつじつまにかなりの無理があり、一貫性がない。娘を救出に向かった古代進の行動は????だし、後半はストーリーが完全に破綻する。

ヤマトを支持してくれた星が、敵役の異星人連合の攻撃にさらされながらも、ヤマトは政治的な判断からその攻撃に立ち向かえず、古代艦長が悩む、というシーンが出てきて、「えらい政治的なお話やなあ」と思っていたら、何と、原案は石原慎太郎東京都知事!…凄い。

まあ、この辺りは面白かったのだが、リアルで一貫するならまだしも、ご都合でコロコロ設定や物語が変わるので、スクリーンの前でしばし呆然としてしまう。

あと、スケジュールも大変だったのだろうが、作画に一貫性がなく、場面によってキャラクターの顔が違ったり、動画のクオリティがとんでもなく低いシーンがある。ただし、ヤマト発進や戦闘シーンなどはとんでもなくクオリティが高く、ここは興奮する。メカニック描写も新時代のヤマト、という感じでなかなか。

石原都知事の名前がスクリーンいっぱいに大写しになって、さらにでかい字体で原作者でもある監督の名前が出てきたときには、思わずのけぞったが、いい意味でも悪い意味でも、この原作者の方のプライベート・フィルムになってしまったのだろう。

恐らく、これは推察だが、僕が熱狂した最初の「ヤマト」は、この原作者が描いた暴走がちな想いや物語を、松本零士さんや豊田有恒さんら才能豊かなスタッフたちがバランスよく調整し、それぞれの個性を発揮したからこそ、あの傑作に成りえたのだろう。

いろいろ書いたが、久しぶりにスクリーンで「ヤマト」を見られたこと、は素直に嬉しかったし、原作者・監督に感謝したい気持ちである。紆余曲折がありながら、ヤマト復活にこぎつけ、東宝配給という、バリバリのメジャー劇場用作品にまで持って行ったのだから、それは凄まじい執念であり、素直に凄い!!と思う。

12月には、いよいよ実写版も登場する。テレビで今年の元旦に流れた予告編を見る限りには、かなりの期待が持てそうだ。監督は、僕と同い年の山崎貴監督。ヤマト世代であり、スター・ウォーズで映画への道を志した山崎監督だけに、その手腕に期待したい。
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母なる証明  新作レビュー

★★★★★

昨年、どうしてもこの映画が観たかったのだが、年末に、僕の地元の「テアトル徳山」さんが上映してくれた。ヨ!毎日興業!偉い!!

いやあ…ポン・ジュノ監督、凄いよ、あなたは…。本当に30代なの?

日本映画の野村芳太郎監督作品などに影響を受けた、というポン・ジュノ監督だが、確かに映画全体の流れにメリハリがあって、じっくりと役者の演技をとらえていく、という点ではかつての日本映画が持っていた緊張感や濃密なドラマ性が伺える。

全編にわたる緊張感が心地よいとさえ感じられた傑作「殺人の追憶」や、怪獣映画というジャンルを借りて、家族の絆やアメリカと韓国の関係にも言及した「グエムル」など、これまでも唸らせてくれた同監督だが、今回の作品も、極上のエンタテイメントでありながら、様々な問題提起をしてくれる。

その行動がややエキセントリックに見える母親だが、やみくもに息子のために突っ走るその姿は、痛くて、切なくて、怖い。

僕は、「痛さ」を感じられる映画は傑作、と思っているが、この映画は痛さのオンパレード。登場人物たちが感じる身体の痛み、そして心の痛みが、ストレートに、時には間接的に、スクリーンからビンビン伝わってくる。

そして、物語の巧さ。ひとつひとつのサスペンスがヒリリと効きながら、伏線が張り巡らされ、やがてそれがひとつひとつ明らかになっていく。ミステリー映画としても一級品である。

母親役の女優さん、息子役のウォンビンをはじめ、出てくる俳優さんがみんなリアル。韓国の現実的な問題や社会性もきちんと織り込んである。

「殺人の追憶」ほどの奥行きは感じなかったが、「グエムル」を経て、これはまたポン・ジュノ監督はまたとんでもない境地に行き着いたものである。

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