必死剣鳥刺し  新作レビュー

★★★★★

いやあ・・・。
平山秀幸監督、やってくれました。
同じ原作者の「たそがれ清兵衛」に匹敵する、傑作だと思う。

「たそがれ」は、武士道の厳しさに「情」の部分が加味された傑作だが、この作品は物語が少々ストイックすぎるものの、僕はそこが大好きで、前半から中盤にかけて、主人公が段々厳しい様に追いやられるところがよかった。

脚本の構成から各シーンの俳優さんの演技、秘術に至るまで、かなり緻密に計算したうえで丁寧に演出し、作りこんでいることが伝わる。

最初に主人公が藩主の側室を城内で殺害するのだが、それがまったくのおとがめなしで、自宅での幽閉という裁きという展開。ここで、側室役の関めぐみさんに注目。テレビなどできれいな人だとは思っていたが、このキャスティングは意外だった。

それから、映画は過去にさかのぼり、側室の藩政への介入が明らかとなり、主人公の生きざまが語られていく。

ここで、登場人物たちの様がじっくり語られてはいくが、主人公がなぜ、側室を殺害したのか、その動機は、あえてはっきりとは描いてない。

観客に想像させるのびしろを与えながら、静かに物語が進行し、評判のすさまじい殺陣に結び付く構成がいい。

殺陣のシーンは短いが、かなり計算されていて、リアルで楽しめる。僕は「痛み」を感じられる映画は傑作、というのが持論だが、何よりこの映画の殺陣は「痛み」が感じられた。

職人たちが懸命に創り上げた日本映画の醍醐味が味わえる、という点では、過日の「孤高のメス」とも相通じる。

気がつけば、両方とも東映の製作・配給だ。東映さん、テレビ局にご機嫌を取ることをスッパリやめて、大人のための映画づくりにシフトしたように思えるが、この姿勢はまったくもって正しい、と思う。

豊川悦司氏、今年は「今度は愛妻家」に続いての頑張り。最近いいなあ、と思っているが、映画で輝いているからこそ、テレビの電話会社での軽いノリの演技はどうかなあ・・・と個人的に思ってしまうのでした。
4




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