漫才ギャング  新作レビュー

★★★★

この映画が面白いのは、ほとんどのシーンを「漫才」のスタイルと「アクション」で構成しているところにある。

画面に登場するのはひとつのシーンに2人、または3人。物語を展開しながらも、全編、漫才で言うボケとツッコミの喋りが展開される。

主人公は売れていない若手芸人。ある日突然、相方から借金を理由にコンビ解消を言い渡され、ヤケになって酒を飲んで失敗し、留置場へ。そこで出会った不良の男に天性のツッコミの才能を感じ、コンビ結成を持ちかける。

「会話」で笑わせるのが漫才だが、漫才の起源を辿ると、1人の語りに合わせて舞いを舞う芸に由来するという。キャラクターが違う2人(乃至3人)の会話が呼応するところから生まれる“間”や“ズレ”から、ある種の“面白味”“可笑しさ”が生まれる訳であり、その独特のリズム感や起伏に富んだ“笑い”の質という点では、1人が様々な人物を演じる話芸を突き詰めた落語とはまた違った魅力があると思う。

人間同士の丁々発止や“リズム”という意味では、漫才もまたアクションに通じるところがある。この映画で「漫才」と「アクション」を結びつけた品川ヒロシ監督の判断は正しいと思うし、そこにセンスの良さを感じる。

全編を漫才とアクションで展開することで、映画のテンポは加速し、疾走感が生まれている。アクションシーンは手持ちカメラを使ってコマ落ちにして、細かくカット割りするなど効果的な演出を展開。そんな中で主人公と恋人のシーンはじっくりと固定カメラの長回しで撮るなど、こちらも“リズム”を意識していて、バランスもいい。しっかり笑えて泣ける、エンターテインメントな作品になっている。

セリフのテンポや間、言い回しは、かなりのこだわりがあったのだろう。それぞれのシーンにそれぞれの“ネタ”的な起承転結とオチまがあって、実は計算されている。“お笑い”を学び、自ら芸人として下積みから成功までを経験した品川監督だからこそ、の作品であろう。

ボクサーがボクシング映画を上手に撮れるとは限らないが、前作「ドロップ」で映像のリズム感をしっかり体得したのか、様々な意味で前作よりスケールアップしていると思う。

品川監督は「シネKING」にも出演いただいたが、かなりの映画好きで、最近よかった作品は?と聞いて返ってきた答えが「ゾンビランド」と「キック・アス」と聞いて納得。どちらも“リズム感”と“疾走感”あふれる映画だった。

あと、品川監督は高杉晋作が大好きで、何度も山口県を訪れているという。「いつか高杉晋作を主人公にした映画を撮ってみたいですね」とのこと。何か、新しい形の幕末映画が期待できそう。

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