SUPER8 スーパー8  新作レビュー

★★★

ちまたでは「グーニーズ」+「E.T.」なんて言われているらしいこの作品。

少年たちの物語にクリーチャー(怪物)や米軍の陰謀が絡んでくる、小さい町を舞台にした大規模な話なのだが、確かにスティープン・スピルバーグ監督の影響を受けて育ったJJエイブラムス監督が、スピルパーグ当人の製作というブランドを得て、スピルバーグ作品(製作作品も含む)へのオマージュを捧げまくった、ということは言えるだろう。

ただし、細かい点、たとえばクリーチャーの造形や徹底した迫力の列車事故のシーンなどに、これまでの作品でも見せてきたエイブラムス監督のこだわりぶりを見ることができる。

1979年。8ミリ映画(これがゾンビ映画なのだ)を撮影中の中学生たちが、線路そばの廃墟でロケ中、謎の列車事故に巻き込まれる。中学生たちは逃げるが、そのまま回っているスーパーエイトの8ミリカメラには、ある何かが映っていて…。

映像に映っている「何か」の正体をめぐって、まちが大騒ぎになり、子どもたちが巻き込まれていく。

子どもたちの冒険譚にSFスペクタルの要素を入れているが、映画の芯は少年期の「初恋」にあり、そこを軸に友情や親子の絆が描かれていく。

ストーリーテリングはさすがで飽きさせないのだが、出てくる少年たちのキャラクターはどこか類型的で、様々なエピソードが絡んできてもなかなかテンポ感が出ないまま物語が進行していき、全体的にはどこか大味な印象になった気もする。

ヒロイン役のエル・ファニングが魅力的。お姉さんはダコタ・ファニング。幼い中にもドキっとする艶やかな表情を見せていて、この映画の大きな魅力のひとつになっている。

映画にあこがれ、少年時代、8ミリ映画の製作に取り組んだ人は多いはず。僕も若干思い出があり、少年時代にスピルバーグ映画に魅せられたので、「わかるわかる」という感じでスクリーンを見つめていた。

ちなみに、日本ではコダックの「スーパーエイト」ではなく、富士フィルムの「フジカシングルエイト」が一般的だったはずである。

可笑しかったのは、少年たちが全員で「マイ・シャローナ」をうたうシーン。

1979年、僕は中学3年生だったが、この歌が大好きでよく大声で歌っていたのだ。で、友達からこの歌の歌詞がかなりHであることを聞かされ、それから聴いたり歌うたびに、妙に興奮したことを思い出した。

あのシーンで、生意気で頭の中は映画と女の子のことはかなかったあのころのことを思い出したのだった。

それから…俳優の少年少女たちが実際に撮影した、という8ミリ映画が流れるが、これはなかなかのできあがり。
4


高倉健さんって・・・本当にすごい、と思う。

その佇まいは、正に自然体で、どんな役を演じても、独特な存在感と魅力を放つ。

こんな俳優さんは過去も現在もほかにいない。

「自然な佇まい」という意味では近いのは故・笠智衆さんかな、と思うが、「静」な笠さんとはまた違い、「静」だけでなく、「動」も秀逸な表現を魅せてくれる。

それで、ベスト・オブ・高倉健さん映画は何だろう?と考える。

僕的には、山田洋次監督作品「幸福の黄色いハンカチ」と「遥かなる山の呼び声」が双璧。この2本は何度観てもさまざまな発見があり、今、思い出しても心に染みる。

このほかにも、東映時代後半に犯人役として強烈な印象を残した和製パニック映画の大傑作「新幹線大爆破」や東映退社後、任侠映画のイメージを見事に脱却したアクション映画の秀作「君よ憤怒の河を渉れ」などがすぐに思い浮かぶが、降旗康男監督とコンビを組んだ作品群はとくに忘れがたい。

その中で、比較的近作の「鉄道員(ぽっぽや)」や「駅 STATION」「居酒屋兆治」「あ・うん」などの作品が思い浮かび、とくに「鉄道員(ぽっぽや)」は僕的に思い入れが深いが、僕が個人的に大好きなのが、1978年公開の「冬の華」だ。

この作品、健さんが演じているのは寡黙で誠実なヤクザなのだが、東映退社以来のヤクザ役。前年が「幸福の黄色いハンカチ」と「八甲田山」で、そのあとが「野性の証明」「動乱」「遥かなる山の呼び声」だから、すでに新たな魅力が大爆発していた健さんだが、新網走番外地シリーズで組んだ降旗監督が、倉本聰脚本で、古巣の東映でありながら、かつてのヤクザ役とはまた違う健さんの魅力を引き出そうと取り組んだ作品ではないか、と思う。

組織を裏切った男を刺殺し、服役して出所した男。男は、美しい高校生に成長した殺した男の娘を陰から支えていた。任侠を重んじる男の生き方が時代に合わなくなったとき、男は再び修羅場に向かう…。

健さんに陰ながら支えられる池上季実子が美しく、どんだけお嬢さんなのよ!とツッコミたくなるほどのお嬢様ぶりを見せるのだが、彼女に対する贖罪の気持ちを心に秘め、その不器用さから、すれ違う健さんの姿がたまらない。

彼女がよく通うというクラシック音楽専門の喫茶店を訪れる健さん。場違いな雰囲気に戸惑いながら、そこで、ひとときの安らぎを感じていく。彼女と顔を合わせ、彼女も自分が慕う「おじさま」に違いない、と思いながらも言いだせず…健さんは会釈だけして、店を出ていく…もう、思い出しただけでも、心が熱くなる。

映画の中で、出所した健さんが親分から年齢を聞かれて46歳と答えるシーンがあるのだが、僕の今の年齢である。何と、この映画の健さんに比べて自分は幼稚なのだろう、と思ってしまう。
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