第3回周南映画祭!!  映画つれづれ

僕が実行委員会副委員長を務めさせて頂いている、「第3回周南映画祭〜絆〜」の概要が決定しました!

まだ、詳細はこれから発表するところもありますが…。

日にちは11月26日と、27日。場所はテアトル徳山、テアトル徳山T、シネマヌーヴェル。上映作品は「蘇える優作〜『探偵物語』特別篇」「三本木農業高校、馬術部」「アジョシ」「未来を生きる君たちへ」「ショージとタカオ」「英国王のスピーチ」「香港国際警察」「愛染かつら(総集編)」そして、「シークレット作品」(題名は後日発表)です!!

ゲストは佐々部清監督、女優の松田美由紀さん、脚本家の丸山昇一さん、歌手の川嶋あいさん、長澤雅彦監督と、豪華な顔ぶれ!!

「蘇える優作…」はテレビドラマ「探偵物語」を再編集した1998年公開作品で、今回、フィルムは「ない」ということだったのですが、この映画祭のためにセントラルアーツの黒澤満社長を初め、関係各位の皆様方の御尽力で奇跡的にフィルムがみつかりました!!幻とも言うべき、35ミリフィルムでの上映が実現します!!

そして、そのトークゲストが、松田美由紀さん、丸山昇一さん…何と言うことでしょうか。全国の優作ファンの皆様…お待ちしております!

そして、第一回以来の佐々部監督も御来場!!佐々部監督には実行委員会の顧問的な立場に立って頂いていますが、今回も、貴重なトークが聞かれそうです。

川嶋あいさんは、チャリティライブを開いて下さいます。

長澤監督には、ワークショップをお願いしました!現役の映画監督による、貴重な機会になりそうです!!これも、凄いものになりそうです。

これから詳細が決まり次第、どしどし発表していきますが、乞うご期待!!です。
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『日輪の遺産』レビュー  新作レビュー

映画は何のために観るのか?なんて考えるときがある。

かの偉大なる映画評論家・淀川長治氏が「映画こそは大衆の娯楽なのです。そして私たちはその大衆のなかにこそ生きているのです。自分だけがわかるというようなこうまいな映画でもやっぱり大衆とともにこそ(映画)は見るべきです」と至言を残しているけれど、確かに、大衆の中に生き、大衆が求める娯楽だからこそ、そこに真実があり、そこから生きる勇気や気づきのようなものを得ることがあるのだろう。

今、映画は一般料金1800円で、各種サービスを適用すると1000円前後になるが、1000円ちょっとで日常生活では知り得ない世界を知り、そこから「頑張る」勇気や生きるうえでのヒントのような与えてくれる、こんないい「娯楽」はない、と心から思う。

この「日輪の遺産」は、現代ではなかなかあり得ない人の生き方と言うか、なかなか今の日常では触れることが少なくなった人々の想いに触れられる作品だった。でも、その“想い”は、実は僕たちの人生にとって、一番大切なものだったりする。だから新たな発見に驚き、涙し、心が震えるのだと思う。

僕は「ゴールデンスランバー」などで堺雅人氏は細かい感情表現が自然にできる俳優さんだなあ、とは思っていたが、この作品を観てさらにビックリ。

当然、俳優さんは撮影前に脚本を読み込んでから現場で演技するのだから、物語の展開は分かっているはずなのだが、この映画の堺さんは、と言うか堺さん扮する真柴少佐は、どう見ても映画の中で起こる様々な出来事に出会ったときの様が、とってもナチュナルなのだ。まさに真柴少佐が驚愕し、苦悩し、決断する様子が、映画の中の出来事に初めて接し、揺れ動く我々観客の想いとリンクしていく。

これは俳優さんたちの感情を大切にした佐々部監督の演出の妙だろうが、それに応えた堺さんの表現力は驚嘆に値するものだった。こういう感じは、最近の日本映画ではなかなか出会えるものではない、と思う。

そして、堺さんと福士誠治氏、中村獅童氏のトライアングルの妙。マッカーサーから日本軍が奪ったという莫大な財宝隠匿の命を受け、真柴少佐と行動を共にする小泉中尉、望月曹長もまた自らの感情が激しく揺れ動き、気持ちが変化していく。

どんな題材でも、人の様を丁寧に描いている点は佐々部監督の作品に一貫していることだが、この3人をステレオタイプの軍人として描いていないのがいい。戦時下の軍人でありながら、現代を生きる我々と同じ人間として感情移入できるのに、それでいて“戦時下の帝国陸軍の軍人”に見えるから凄い。

映画を通して成長を見せる小泉中尉を鮮やかに演じた福士さん、武骨な中に細やかな優しさを表わした中村さんの存在感も印象に残る。とくに福士さんは、クライマックスであの!ジョン・サヴェージを相手に、素晴らしいシーンがあるのだが、佐々部監督の作品をずっと観てきた我々としては「あの『チルソクの夏』の宅島先輩が…」と思うと、感慨も深い。

この3人に、ユースケ・サンタマリア氏扮する教師が引率する女子学生たちが絡んでいく。財宝の隠匿作業に関わる少女たちの行動と決意が、本当の意味での「遺産」となり、我々日本人が伝えていくべき大切なものを表現していくのだが、この少女たちの行動を直接「絵」として見せない展開で描き切った演出は見事で鮮やかだ。

この展開、脚本、演出だったからこそ、少女たちの想いを踏みにじらず、残していこうという真柴、小泉、望月の気持ちが鮮明となり、教師の行動が鮮烈に心に残ったのだ。佐々部監督も雑誌のインタビュー等で触れているが、もし、ここを描いていたら確かに「ひめゆりの塔」になっていた。そうなると、恐らく見事にバランスは崩れていた、と思う。

この点ひとつ取っても、説明過多にならず、緊張感と情緒のバランスが取れた、物語や展開の余白を感じさせながら、様々な想いや感情を観客に起こさせる、堂々の「映画」になっていた。

複雑な展開を見せる原作を、当時を孫たちに語る、生き残った少女の久枝の回想に絞ったのは大正解だったと思う。このプロローグから戦時下の真柴の物語となり、さらにマッカーサーの通訳という狂言回しを加えることで、物語が分かりやすくなり、様々な人の想いや顛末が映画を観ていくうちに染みていく作りになった。

そして展開されるエピローグは、異論を挟む人もおろうが、「大切なものを伝えていく」という意味ではこの映画で最も重要なシーンであり、決してファンタジーではない“リアル”として伝わって来る。

だからこそ、実際の戦争体験を持つ八千草薫さんをキャスティングしたのだろう。説得力があるし、その想いを受ける麻生久美子さん、塩谷瞬さんも好演している。

東日本大震災の発生以来、日本全体が勇気を持って立ち上がるべき今だからこそ、この映画が2011年に公開された意義は大きい。

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今週のシネKING!  映画つれづれ

9月2日放送の「シネKING」では、「探偵はBARにいる」「大鹿村騒動記」「デンデラ」を御紹介!!

今回は、何と、「探偵はBARにいる」主演の大泉洋さんが御出演!!私が、インタビューしております!!かなり濃い収録でしたが、どう編集されているのだろう…。ディレクターは「かなり面白いですよ」と言ってましたが…。

収録のため、事前に「探偵はBARにいる」鑑賞させていただきました!いやあ、面白かった!新しい日本のハードボイルド映画の誕生です!かつての東映プログラムピクチャーの匂いを漂わせながら、サスペンスとしても見応えのある作品でした。是非、シリーズ化してほしいものです。また、しっかりとしたレビューはしたいと思います。

大泉さん、とっても素敵な方でした。山口県の方、是非、ご覧ください!!
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大鹿村騒動記  新作レビュー

★★★★★

原田芳雄さん主演作にして遺作。出張先の名古屋でようやく鑑賞できた。

よくできた、大人のためのコメディーである。

テンガロンハットがよく似合う、ちょっと武骨だけれど気が良い、長野県の大鹿村で食堂を営む初老の男、風祭善が主人公。彼が営む食堂が「ディアイーター」というのが笑える。看板の文字は、どう見ても「ディアハンター」の日本版ポスターのロゴそのままだ。

彼は300年続く村の伝統文化、大鹿歌舞伎の看板俳優でもあり、心から歌舞伎を愛している。そんな村に、18年前にかけおちした善の妻と、善の幼馴染が帰ってきて、妻は認知症らしく、駆け落ちしたことすらおぼえてなくて…という物語だ。

ほのぼのとした三角関係に、村の人々のエピソードが絡んでいき、そんなドタバタ話が源氏の天下を悲しみ、ある衝撃的な行動を起こす平家の生き残りを描く大鹿歌舞伎の演目とリンクしていく。

性同一性障害や老いの問題などもさりげなく入れながら、短い上映時間ながら人間模様がしっかり描かれる見事な脚本は、「Wの悲劇」などの名脚本家、荒井晴彦氏と坂本順治監督の共作。このお2人、確か「KT」の脚本をめぐって以来、激しく対立していたはず、と認識していたが、原田さんの遺作で再び共闘してこんなに素晴らしい脚本を練ったなんて、ドラマチックで映画ファンとしては嬉しすぎる話である。

この映画に出てくる村人たちは、様々なことに翻弄され、さまざまな問題も抱えながら、時には対立するものの、やがて、芝居によって再生していくのである。その芝居である歌舞伎を、原田さんは「芸能の原点」と感じ、自らこの映画の企画を立てたという。

「演じる」ことによって、その芝居の世界を感じることでそれぞれが成長し、何かを乗り越えていくという物語を、すでにこのとき病気と闘っていた原田さんを中心に、実に芸達者で個性的な俳優たちが集まり、楽しそうに演じた、という事実そのものが、この映画を魅力的にしている。

原田さんがアップになる印象的なシーンがあるのだが、そこに僕は「竜馬暗殺」以来、失わない色気を感じてゾクゾクした。

近く、山口県のシネマスクエア7でも上映予定があるので、未見の方は是非、鑑賞してほしい。
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ロック 〜わんこの島  新作レビュー

★★

三宅島の大噴火によって、島からの退避を余儀なくされた民宿の若夫婦とその息子、そして犬のロックの運命を描く。

噴火によって引き離されたロックと主人公家族との再会をクライマックスにせず、過酷な避難生活を送る家族の日常や想いを丁寧に描いている点は好感が持てる。

民宿経営者を演じる佐藤隆太氏は熱い中にも繊細な表現をしているし、妻役の麻生久美子さんは辛い中にも明るさを失わない“お母ちゃん”をこれまでにない感じで好演している。ロックの母親犬を世話する祖母役の倍賞美津子さんも映画を貫くテーマである「生命の大切さ」を象徴する存在として重みを感じさせる。

ただし、シーンとシーンの繋ぎに少年のナレーションを逐一入れていて、これはもう感性の問題とは思うが、僕は少し苦痛だった。どうして主人公たちの心情や物語の流れを説明するのだろうか?

映画は、大きな画面をゆっくり味わうものなのだから、いちいち細かく説明しなくても、画面の隅々から感じ取ることができる、と僕は思う。説明的なナレーションが必要な映画ももちろんあるとは思うが、今回の場合は、内容を考えても、もう少し作り他の方々は映像の可能性を信じてもいいのでは…と思ってしまった。

それから、映画の中でロックの飼い主である少年は、ある重要な選択と決意をする。ここは感動的で、僕も納得なのだが、映画の後半、この場面からの繋がりを考えると、僕は大いに???となってしまった。

ネタバレになるので詳しくは書かないが、作り手はこういう展開を主人公たちの傲慢に映るとは思わなかったのだろうか。いろいろな感じ方はあっていいし、ここを褒めている方もいるので僕の感性なのだろうが、気になってしまった。

それから音楽。同じモチーフが何度も登場するのはよいとしても、同じ演奏、もしかしたら違う演奏なのかもしれないが、同じような演奏に聞こえるモチーフが繰り返し出てくると、そこは感動の押し売りのように感じてしまう。

何回も放送するテレビドラマの場合、できあがっている曲から曲を選ぶ「選曲」という作業が必要だが、2時間の「映画」の場合は違う。「ファーストシーンからラストカットに至るまで、計算しながらじっくりと作曲ができ、各場面ごとに監督と話し合いながら音楽をつけることができる。これが映画音楽の醍醐味ですね」とは、僕が直接伺った、たくさんの映画音楽を担当されている、ある作曲家の方の言葉だ。

でも、時折、同じモチーフの繰り返しであまり工夫を感じられない作品に出会うこともある。

この作品は、とても丁寧に作られている感じを受けるだけに、こうした印象を持ったのは少し残念だったかもしれない。
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