今週のシネKING!  映画つれづれ

9月2日放送の「シネKING」では、「探偵はBARにいる」「大鹿村騒動記」「デンデラ」を御紹介!!

今回は、何と、「探偵はBARにいる」主演の大泉洋さんが御出演!!私が、インタビューしております!!かなり濃い収録でしたが、どう編集されているのだろう…。ディレクターは「かなり面白いですよ」と言ってましたが…。

収録のため、事前に「探偵はBARにいる」鑑賞させていただきました!いやあ、面白かった!新しい日本のハードボイルド映画の誕生です!かつての東映プログラムピクチャーの匂いを漂わせながら、サスペンスとしても見応えのある作品でした。是非、シリーズ化してほしいものです。また、しっかりとしたレビューはしたいと思います。

大泉さん、とっても素敵な方でした。山口県の方、是非、ご覧ください!!
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大鹿村騒動記  新作レビュー

★★★★★

原田芳雄さん主演作にして遺作。出張先の名古屋でようやく鑑賞できた。

よくできた、大人のためのコメディーである。

テンガロンハットがよく似合う、ちょっと武骨だけれど気が良い、長野県の大鹿村で食堂を営む初老の男、風祭善が主人公。彼が営む食堂が「ディアイーター」というのが笑える。看板の文字は、どう見ても「ディアハンター」の日本版ポスターのロゴそのままだ。

彼は300年続く村の伝統文化、大鹿歌舞伎の看板俳優でもあり、心から歌舞伎を愛している。そんな村に、18年前にかけおちした善の妻と、善の幼馴染が帰ってきて、妻は認知症らしく、駆け落ちしたことすらおぼえてなくて…という物語だ。

ほのぼのとした三角関係に、村の人々のエピソードが絡んでいき、そんなドタバタ話が源氏の天下を悲しみ、ある衝撃的な行動を起こす平家の生き残りを描く大鹿歌舞伎の演目とリンクしていく。

性同一性障害や老いの問題などもさりげなく入れながら、短い上映時間ながら人間模様がしっかり描かれる見事な脚本は、「Wの悲劇」などの名脚本家、荒井晴彦氏と坂本順治監督の共作。このお2人、確か「KT」の脚本をめぐって以来、激しく対立していたはず、と認識していたが、原田さんの遺作で再び共闘してこんなに素晴らしい脚本を練ったなんて、ドラマチックで映画ファンとしては嬉しすぎる話である。

この映画に出てくる村人たちは、様々なことに翻弄され、さまざまな問題も抱えながら、時には対立するものの、やがて、芝居によって再生していくのである。その芝居である歌舞伎を、原田さんは「芸能の原点」と感じ、自らこの映画の企画を立てたという。

「演じる」ことによって、その芝居の世界を感じることでそれぞれが成長し、何かを乗り越えていくという物語を、すでにこのとき病気と闘っていた原田さんを中心に、実に芸達者で個性的な俳優たちが集まり、楽しそうに演じた、という事実そのものが、この映画を魅力的にしている。

原田さんがアップになる印象的なシーンがあるのだが、そこに僕は「竜馬暗殺」以来、失わない色気を感じてゾクゾクした。

近く、山口県のシネマスクエア7でも上映予定があるので、未見の方は是非、鑑賞してほしい。
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ロック 〜わんこの島  新作レビュー

★★

三宅島の大噴火によって、島からの退避を余儀なくされた民宿の若夫婦とその息子、そして犬のロックの運命を描く。

噴火によって引き離されたロックと主人公家族との再会をクライマックスにせず、過酷な避難生活を送る家族の日常や想いを丁寧に描いている点は好感が持てる。

民宿経営者を演じる佐藤隆太氏は熱い中にも繊細な表現をしているし、妻役の麻生久美子さんは辛い中にも明るさを失わない“お母ちゃん”をこれまでにない感じで好演している。ロックの母親犬を世話する祖母役の倍賞美津子さんも映画を貫くテーマである「生命の大切さ」を象徴する存在として重みを感じさせる。

ただし、シーンとシーンの繋ぎに少年のナレーションを逐一入れていて、これはもう感性の問題とは思うが、僕は少し苦痛だった。どうして主人公たちの心情や物語の流れを説明するのだろうか?

映画は、大きな画面をゆっくり味わうものなのだから、いちいち細かく説明しなくても、画面の隅々から感じ取ることができる、と僕は思う。説明的なナレーションが必要な映画ももちろんあるとは思うが、今回の場合は、内容を考えても、もう少し作り他の方々は映像の可能性を信じてもいいのでは…と思ってしまった。

それから、映画の中でロックの飼い主である少年は、ある重要な選択と決意をする。ここは感動的で、僕も納得なのだが、映画の後半、この場面からの繋がりを考えると、僕は大いに???となってしまった。

ネタバレになるので詳しくは書かないが、作り手はこういう展開を主人公たちの傲慢に映るとは思わなかったのだろうか。いろいろな感じ方はあっていいし、ここを褒めている方もいるので僕の感性なのだろうが、気になってしまった。

それから音楽。同じモチーフが何度も登場するのはよいとしても、同じ演奏、もしかしたら違う演奏なのかもしれないが、同じような演奏に聞こえるモチーフが繰り返し出てくると、そこは感動の押し売りのように感じてしまう。

何回も放送するテレビドラマの場合、できあがっている曲から曲を選ぶ「選曲」という作業が必要だが、2時間の「映画」の場合は違う。「ファーストシーンからラストカットに至るまで、計算しながらじっくりと作曲ができ、各場面ごとに監督と話し合いながら音楽をつけることができる。これが映画音楽の醍醐味ですね」とは、僕が直接伺った、たくさんの映画音楽を担当されている、ある作曲家の方の言葉だ。

でも、時折、同じモチーフの繰り返しであまり工夫を感じられない作品に出会うこともある。

この作品は、とても丁寧に作られている感じを受けるだけに、こうした印象を持ったのは少し残念だったかもしれない。
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