クランクアップ!  映画つれづれ

11月に開催される周南映画祭の「映画製作プロジェクト」で製作している、長澤雅彦監督作品「レンタル彼氏」が無事、クランクアップしました!

このプロジェクト、映画を上映するだけでなく、もっともっと市民参加型の映画祭にしようと、昨年の周南映画祭でワークショップを開催してくださった長澤監督の御提案で発動しました。長澤監督以下、スタッフ、キャスト共に全員が地元の人々です。監督の指導の元、2月から準備を進め、ようやく撮影になりました。

そして、出演者は、全員が地元の高校生!

とくに、華陵高校舞台芸術部、桜ケ丘高校アーティストコース、新南陽高校演劇部の皆さんには多大なる尽力を頂きました。ありがとうございました!徳山高校の生徒さんにもご出演頂きました。

ある女子高校生が、誕生日のお祝いで、1日だけ親友の彼氏とデートするという、ちょっぴり切ないお話です。

全国でフィルムコミッションが立ちあがり、映画の誘致が進んでいますが、実際は不況などで地方ロケが減っているのも現状です。

そうした中、山口県において、プロの映画監督の指導と演出で、映画づくりに興味と情熱を持つ地元の人たちが集まって「映画づくり」をすることは、新たな「映画」の可能性を広げるとともに、地方の映画文化発信や向上にとっても、とてつもない大きな意味を持つ、と信じています。

「夜のピクニック」「天国はまだ遠く」などで知られる長澤監督が、徳山大学の教授に就任されて2年。こうした機会を与えて頂いた監督に心から感謝します!映像や演劇を志す大学生や高校生たちにとって、計り知れない刺激と影響を与えたと思います。

長澤監督も妥協を一切することなく、渾身の演出をされ、それに応えて、スタッフ、キャストも頑張りました。何より、現場で演じる高校生たちが、監督の演出で生き生きと成長していく姿は、何度も鳥肌が立ちました。彼ら、彼女たちのピュアな感性は素晴らしいものがありました。少しモニターで観ましたが、ゾワゾワするような「絵」が撮れています!

夏にはもう一本、大人が出演する短編を撮影し、映画祭では2本立てで公開する予定です。乞うご期待!!

この写真は、僕が撮ったスチールです。映画のスチールって、難しい…。

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近況報告です!  映画つれづれ

近況ですが、「HOME 愛しの座敷わらし」のキャンペーンで山口県を訪れた主演の水谷豊さんに「シネキング」でインタビューしました。

もう放送されましたが、山口県の皆様、ご覧いただけましたか?

映画は和泉聖治監督による、ホームドラマの秀作でした。同監督にとっては、こういうタッチは傑作「お日柄も良くご愁傷様」以来ではないでしょうか。水谷さんは帰り際、僕らスタッフ一人一人と握手をしてくださり、「ありがとうございました」と丁寧にお辞儀をされていました。そのお人柄に大感激!しました。

そして、番組のインタビューのため、ひと足早く香取慎吾さん主演「LOVE まさお君が行く!」と内野聖陽さん主演、橋本一監督の「臨場」を鑑賞しました。

「LOVE〜」では広島で大谷健太郎監督にインタビュー。「NANA」「ジーン・ワルツ」などの大谷監督、僕と同年代ですが、スタイリッシュで素敵な方でした。

映画はテレビのコーナーに出演することになったダメ犬と売れないお笑い芸人の交流を描いたもので、犬と人の、対等な人間関係が好ましく、犬をめぐる人々の気持ちが丁寧に描かれていて、気持ちのいい涙が出たいい映画でした。インタビューでは、作品づくりの貴重なお話が聞けたので、近々オンエアされますのでお楽しみに。

「臨場」では、近く出演俳優の方にインタビュー予定です。詳しいことが決まったらまた報告します。

この映画、「探偵はBARにいる」の橋本監督の新作です。テレビドラマの映画化作品でありながら、「映画」にしかできない表現に意欲的に挑戦している、東映らしい、重厚な力作でした。理不尽な犯罪が産む人の命を扱っていて、テーマは重いけれど現代的で、「今」の日本にとってはとても大切なテーマであり、一般公開されてからの反応が楽しみな作品です。インタビューも楽しみです。

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ミッション・インポッシブル:ゴースト・プロトコル  新作レビュー

★★★★

トム・クルーズ主演大ヒットシリーズの第4弾。第1作のブライアン・デ・パルマ、第2作のジョン・ウー、第3作のJJエイブラムスと、このシリーズ、実は監督の個性がそれぞれ色濃く出でいる。

シリーズ全体を見渡すと、どんな素材もそつなくこなすJJエイブラムス監督の3作目が一番フツーの映画だったが、1作目はデパルマ節が唸っていたし、2作目なんざ、誰がどこどう見てもジョン・ウー印大爆発の作品に仕上がっていた。僕はトムが一瞬、チョウ・ユンファに見えたぐらいだ。でも、ジョン・ウー好きにとっては、この作品は捨てがたい魅力をピカピカと放っている。

そう言う意味ではこのシリーズは、テレビドラマ「ミッション・インポッシブル」(邦題は「スパイ大作戦」)を原作としながらも、基本コンセプトを継承しながらかなり自由に大胆に、007シリーズとは違うアプローチの現代スパイアクションとして発展してきた。

このシリーズ、どの作品もアクションはスリリングだが、とは言っても香港でのジャッキー・チェン映画のように身体を張るそれではなく、「身体を張るそれ」のようにプロフェッショナルに見せてくれるハリウッド的な安全・安心なアクションの典型的なものではあるが、その最高峰として位置している、と言っていい。これは製作も兼ねているトム・クルーズの貪欲な製作意欲と志に負うところが大きいだろう。

で、この4作目だが、ブラッド・バード監督の個性が発揮されている。大傑作「アイアン・ジャイアント」などで知られるアニメ出身の監督らしく、空間の使い方が見事で、とくにクライマックスの立体駐車場でのシーンは珍しい「縦」を生かしたアクションとして語り継がれるだろう。

実は、全シリーズ中、最も原作の「スパイ大作戦」に近く、ハイテクスパイ武器がたくさん出てくるし、不可能を可能にするひとつひとつの作戦は、原作シリーズが持つ面白さに近いものがある。そのハイテク武器が今一つ機能しないのも御愛嬌で、ユーモアもちりばめられている。

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がんばっぺフラガール!〜フクシマに生きる。彼女たちの今〜  新作レビュー

★★★★★

東日本大震災で被災した、福島県のスパリゾートハワイアンズ。昨年、休業を余儀なくされ、その間、同施設のフラガールたちは映画「フラガール」で描かれたオープン時以来の全国キャラバンを展開した。

その、「フラガール」たちのキャラバンを描いたドキュメンタリー…のはずなのだが、この映画では、実はキャラバンを展開する「フラガール」たちの姿を、あまり描いていない。

小林正樹監督の興味は、実はそこにあまり向いてない。

もちろん、キャラバンの様子は描かれているのだけれど、そこは意外にサラっとしていて、恐らくテレビで放送されたドキュメンタリー番組の方がかなり詳しいだろうと思う。

この「映画」でまず描かれるのは、スパリゾートハワイアンズの深刻な被災状況から始まって、そこに勤める人たちの意外な前向きさ、そこへ避難してきた方々の厳しくも苦しい本音、そして従業員たちとの交流と感謝である。

小林監督の目は、フラガールよりも、ファイヤーダンサーズの男性ダンサーたちに向けられる。彼らは火を扱うため、消防法の関係でキャラバンでは踊ることはできない。妻や子もおり、背負っているものも大きい。休業中、裏方をやりながら先が読めない中、ただひたすら身体を鍛えるその姿が語りかけるものは悲壮感と強さが混じる。

そして、監督とフラガールたちのサブリーダーとの交流。彼女は福島第一原発のすぐそばに家がある。最初は距離があった監督と彼女は、ふとしたきっかけで距離感が縮まり、家族にも取材をする。この辺りがリアルに感じられるところがドキュメンタリーの面白さであり、優れた点だろう。

最初の一時帰宅で、バスの外で取材をする他の報道陣を横目に、監督は防護服を着て、彼女の家族とともに自宅周辺に入る。

このリアルさは凄い。

報道のカメラが一切入ってない時期だけに、映像で全てが語られる。あのとき、フクシマで何が起きたのか。記録としても貴重なものになるだろう。そして、ここで暮らしてきた一般の家族の想い。原発とは何なのか。なぜ、こうなったのか。怒りと憤りを感じる。

やがて映画は、彼女を含めたフラガールたちが、再開が決まったスパリゾートハワイアンズで、再び舞台に立つシーンがクライマックスとなる。このシーンは映画「フラガール」のカット割を踏襲しているが、あの映画とは違い、役者ではなく本物のフラガールたちの「本物」の迫力と、久しぶりに舞台に立てた喜びが画面にあふれていて、鳥肌が立つ。

しかし、大変なのはこれからだ。地震、津波、そして原発事故。フクシマの不安は、まだ現実の不安だが、そこから立ち上がる人々の「希望」を描いたことで、この映画は2011年に製作された、決して人々が記憶に留めておくべき一本になったと思う。

僕はこの映画の上映を山口県で企画する機会を与えられ、小林監督とのトークショーの司会もさせて頂いた。事前に現地を見ようと福島県を訪れ、いわき市役所の方に震災当時の色々な話も聞き、津波の被害があった被災地にも行った。

地震から約一年経過していたが、ガレキの山や津波の被害が最も大きい場所、仮設住宅などを実際に訪れ、様々なことを思った。いわき市は原発周辺の地域に住んでいた多くの方々が避難していた。仮設住宅のほとんどがこうした方たちの住居になっている。

いわきから福島第一原発までは40キロほどだが、「住んでいたところに比較的近い、海に近いところで暮らしたい」という思いがあって、いわき市へ避難されている方が多い、ということだった。

スパリゾートハワイアンズも訪れゆっくりて温泉にも浸かってきたが、帰るとき、美しい福島の海と夕焼けの空にも接して、何だか涙があふれてきた。この体験は、この映画とともに一生忘れないだろう。

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新作レビュー9連発!  新作レビュー

昨年から今年にかけて観た映画のレビューがまだまだたまっているので、それぞれ短めに書きます。まだレビューを書いてない作品はいっぱいありますが、まずはこれで御勘弁を。

◎ワイルド7
★★★
あの「ワイルド7」を映画化とは!小学生時代、原作に憧れた身としては心配と興奮が交錯。バイクアクション、頑張っている。物語展開も面白い。なかなか公道等でこれだけのアクションシーンを撮るのは大変だっただろう。ロケ地は小倉らしいが、これは、「おっぱいパレー」等で築かれた、羽住監督と北九州市との信頼関係に依るところが大きい。これは、地方の映画文化発展にもいい傾向だ。残念なのは、原作の設定を現代に置き換える作業に腐心しすぎたのか、「ワイルド7」がやや「マイルド7」になった点。後半、機動隊のぞんざいな扱われ方も含め、もう少しワイルドだぜえ、と行きたかったかな。

◎聯合艦隊司令長官 山本五十六
★★
「八日目の蝉」と同じ、成島出監督とは思えないなあ。役者さんたちは熱演なのだが、密室での会話劇が中心で、いくら史実を基調とした重厚な歴史劇と言っても、緩急のない演出はちょっと辛い。合間の特撮も、スケール感がないのはどうしてだろう。僕が現在最も評価している特撮の名手・沸田監督らしさがあまり感じられない仕上がりが少し残念。

◎マイウェイ 12000キロの真実
★★★★
韓国映画なので、日本軍の描き方に賛否両論あるのは仕方ないと思うが、戦闘シーンの迫力、命知らずの撮影は、かつての香港映画を思い出す。ノルマンディー上陸作戦は「プライベートライアン」での描写が最高とは思うが、ここにはハリウッド的な「きれいさ」は全くなく、壮絶な泥臭さが漂う。やはり、世界の映画界を見ても、韓国映画は勢いがある。突っ込み所は満載だし、主人公の心情の変化を描ききれてない部分はあるものの、戦争に翻弄される兵士たちの過酷な運命を描いたエネルギッシュな力作。

◎ALWAYS 三丁目の夕日 64
★★★
三丁目の住人たちによる、ノスタルジーと人情2作目までに使い果たした感があるかな。観ている間は涙が何度も何度もあふれたが、少し時間が経つとあまり印象が残っていないのは何故だろう。ベタに徹するのがこのシリーズのいいところだが、二作目と三作目は、一作目の指輪を巡るエピソードを超えてない。ちなみに、僕も64年生まれ。僕らは、テクノロジーの発展が一般の家庭生活に影響を及ぼしたことが肌身で実感できる世代なのね、としみじみ思う。3Dで観たが、東京タワーが飛び出すシーンは良かった。あと、涙が出ると3Dメガネが邪魔と言うことに初めて気づく。

◎ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
★★★★
「きみに読む物語」のスティーブン・ダルドリー監督の最新作。3・11同時多発テロで命を失った男が残したメッセージを、息子である少年が街を旅し、様々な人と出会いながら、見つけて行く。少年の繊細な気持ちが感じられる演出はさすがで、「リトル・ダンサー」以来、この監督さんの手腕は本当に見事。伝えられていく人の「想い」を描いた秀作。

◎キツツキと雨
★★★
いわゆる、映画製作の裏側を描いた、バックステージ物だ。不本意な題材の映画を押し付けられ、現場から逃げ出してしまうような若い監督と、映画に協力をするようになった木こりのお話。監督役の小栗旬氏、木こり役の役所広司氏ともに好演。最初は胡散臭く思っていた地元の木こりが、自分の息子と監督が同じ名前と知ってから親近感が湧き、次第に地元スタッフとして映画づくりにはまっていく様がおかしい。山口県での映画づくりをお手伝いするうちにはまって会社まで辞めてしまった僕に完全にダブって、映画館で大笑いしてしまった。ただ、劇中の映画を、ゾンビ映画にしなくても…と思ったのは正直な感想。

◎テルマエロマエ
★★★
おバカなお話を、大真面目に作っている点に好感。チネチッタスタジオを使った古代ローマのシーンなどは観るべきところ大いにあり。前半のギャグは笑わせてくれるし、後半の史劇と現代日本人が絡んでくる辺りもよく練られている。ただし、演出が少々テレビドラマ的で、せっかくのスケール感が惜しい点があったかも。

◎宇宙兄弟
★★★
この作品の森義隆監督の「ひゃくはち」は大傑作だ。高校野球を題材に、青春の躍動感と挫折感を鮮やかに表現した、エネルギッシュな秀作だった。その森監督の新作ということで期待して鑑賞。「宇宙」を表現した日本映画では最高位に位置するだろう。宇宙に挑む兄弟の描写は、「ひゃくはち」を彷彿とさせる。ただし、月での重力の描き方や外国人俳優の扱いにもう少し配慮すれば、もっと傑作になっただろうに、と思う。後半の展開は賛否両論あろうが、僕は好感が持てた。ただ、未完の原作人気漫画に振り回されて感は少しある。

◎幸せの教室
★★★
コメディなのか、恋愛映画なのか、中途半端な作品だが、日本と違って無試験で基本的に誰でも入れるアメリカの短大の教育システムはなかなか興味深い。ドラマを描くと言うより、学歴が理由でリストラされ、大学に入学した中年主人公の貴重な「経験」をライトタッチで描いた物語。その「経験」こそがこの映画の魅力であり、そこに余り複雑で深いものを求めてはいけない。そういう意味ではこの邦題「幸せの教室」は違うかも。

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