大決戦!超ウルトラ8兄弟  新作レビュー

見た日/9月某日 ★★★★★

まずはこんな至福の映画を作って頂いた、八木毅監督らスタッフ、キャストの方々に、生粋の“ウルトラ者”の一人として、僕はお礼が言いたい。

この映画、本当に「ウルトラマン」及び、ウルトラシリーズへの“愛”に満ち溢れている。

長年にわたって、子どもたちに愛されてきた“ウルトラマン”たち。そんなウルトラマンたちが、自分を支えてきてくれたかつての子どもたち、そして現在の子どもたちに、この作品を通し、世代を超えて感謝を捧げてくれている、そんな感じがしたのは僕だけだろうか。

思えば、円谷プロダクションが辿ってきた道は、平坦ではない。タイにおける著作権を巡る裁判の問題や経営難など、思うように作品を作り続ける状態ではなかったと推察される。

それでも円谷プロは、平成になってからも「ティガ」「ダイナ」「ガイア」と素晴らしい作品を発表し続け、怪獣を殺すことに疑問を投げかけた「コスモス」を経て、人とウルトラマンの関係性にひとつの答えを出した「ネクサス」と発展、進化を遂げ、原点回帰の「マックス」から、ついに昭和と平成の“ウルトラ”がミックスした奇跡の「メビウス」に至るなど、創作への意欲はずっと衰えることはなかった。

その中でいつも思うことは、どの作品にも作り手の「愛」が感じられたことだ。そこには、玩具の売り上げを優先したり、子どもやその親の購買意欲を刺激するような作品づくりはあまりなかった、と僕は思う。それは別の特撮シリーズに比べると少し不器用だけど、人の手による温もりが作品から感じられた。

常に「ウルトラ」には、手づくりの特撮とともに、人が人を想う大切さが描かれた。とくに最近のもの、特に平成ウルトラマン三部作以降は「なぜ、ウルトラマンは人を守るのか」「そもそもウルトラマンとは何なのか」という問いかけが常にあり、そこには「人が本来持つ光、つまりは愛、それこそがウルトラマンである」という明確な主張があった。

ドラマもそれを体言していて、先日急逝された原田昌樹監督によるティガの作品「ウルトラの星」「もっと高く!」をはじめとして、平成ウルトラマン以降のテレビシリーズ、映画作品はどれもヒューマニズムにあふれた傑作揃いだった。

そして、この作品である。平成ウルトラマンと昭和のウルトラマンという、本来なら共存するはずのない世界観を、脚本の長谷川圭一はパラレルワールドという設定を使って上手に処理した。

無理矢理で強引な設定にするのでは?とちょっぴり心配していたが、昭和のウルトラマンの流れを汲んだメビウスを狂言回しにすることで、その点を見事にクリアしている。

ストーリーの中心を平成ウルトラマン三部作の主人公である、ダイゴ、我夢、アスカに絞ったのは大正解。この3人が別世界ではウルトラマンではなく、平凡な社会人である、と設定したことで、それぞれが「自分がウルトラマンであることを自覚していく」という興味深い物語となり、やがてそれが3人が「失った夢を取り戻す」ことになる、という見事な展開だった。

これなら見応えもあるし、展開自体は難解でもないため、子どもたちにも十分メッセージは伝わるだろう。

より深いファンの方なら、それぞれのエピソードが各テレビシリーズに応じている点も注目で、ダイナでは悲しいラストを迎えたはずのアスカとリョウがハッピーになる様は感動的だった。

そして、昭和のウルトラマンたちも意気な設定がしてあって、かつてのストーリーを熟知している人が見れば、これはかなりの涙物だ。

もちろん、そんな深いファンでなくても楽しめるのだが、かつてのウルトラの常連俳優たちが多数カメオ出演しているのも、ファンとしては嬉しかった。

これも「円谷プロ」で助監督、監督としてのキャリアを積み、誰よりも“ウルトラ”を愛している八木監督だからこそ、だろう。外部で監督として活躍しながら“ウルトラ”を愛してきた小中和哉監督の前作「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」も素晴らしかったが、ウルトラを知り尽くした八木監督の演出は素直で好感が持てた。

いろいろ書いたが、作り手たちの「ウルトラマン」への「愛」、そしてウルトラマンを支え、愛してきた全ての子どもたち(昔、今を含めて)への「愛」に満ちた、お祭りのような映画であり、40年以上にわたって「ウルトラ」が子どもたちに伝えてきたメッセージの、集大成のような作品だった。

ああ、僕も「ウルトラの星」に行きたい!!乗り物は、アートデッセイ号がいいかな…。
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2008/10/19  20:43

 

ヒーロー物の映画しか見てないんじゃないのといわれそうですが、そうです。  「ウルトラマン」の放送が始まったその日から始まるこの映画、 手がこんでいていろんな遊びがたのしい。それがノスタルジーに浸らせて 




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