新作レビュー9連発!  新作レビュー

新作レビューがたまってしまって・・・。一気に9連発です。

◇ゴールデンスランバー
★★★★
伊坂幸太郎の小説を、中村義洋監督が映画化。中村監督にとって、伊坂小説の映画化は3本目。傑作「アヒルと鴨とコインロッカー」と同じ香りが漂うこの映画、展開が読めず、登場人物も魅力的。首相暗殺犯に仕立てられた主人公の逃走劇だが、青春物語の要素も強く、出演陣も好演している。脚本、絵づくり、演出もしっかりしていて、かなりの映画的興奮を呼び起こしてくれる。

◇アバター
★★★★
当初、バカにしていました。すんません!!でも、子どもにせがまれて3Dで観て、ビックリ!!!ジェームズ・キャメロン監督、あんたは偉い!!3D映画の本格化による映画のアトラクション化については、いろいろ異論もあるけれど、そのエポックメイキングとなる作品が、この「アバター」で本当によかった、と思う。

「飛び出す」こけおどし的な効果より、3Dの効果を活かした奥行きのある画面、見事なまでのクリーチャーやメカのデザイン、よく練られたストーリー、視覚効果を伴うスリルある描写など、完璧である。

恐らく、これから玉石混ざり合った3D映画がいっぱい出てくるだろうが、「アバター」が基準になることで、あるていどのレベルを保つのでは、という期待もある。

…だけど、映画館が単純な娯楽を求める、アトラクションの場にならないよう、僕たち観客もしっかりしていかないといけない、と思う。

◇インビクタス~負けざる者たち
★★★
クリント・イーストウッド監督の新作。「チェンジリング」「グラン・トリノ」がよかったので、期待して観た。ラグビーワールドカップでの南アフリカの活躍を軸に、アパルトヘイト(人種隔離政策)を経て、就任したばかりのマンデラ大統領の苦悩と、スポーツを利用して白人と黒人との融和を図ろうとする姿を描く。

ストレートなスポーツ物として、とってもよく出来ている。スタジアムでの観客の様子、ラグビーの試合のシーンなど、正に実際のワールドカップ、である。凄い。マンデラを演じるモーガン・フリーマンも堂々としていて、マンデラの優しさ、したたかさ、そして偉大さが伝わる。

マット・デイモン扮する主人公が、マンデラが長年投獄されていた島に趣き、その労働の様子を思い描くモンタージュ・シーンなど、短いが効果的で、胸が熱くなる。

でも、ちょっと物足りなさ感も感じてしまった。マンデラとラグビーチームをつなぐ線は十分描かれているのだが、そこにもう少し「何か」がほしい、と感じてしまった。これはあくまで個人的な感想なのだけれど…。

◇交渉人 THE MOVIE
★★
テレビドラマの映画化だけれど、「ゴールデンスランバー」と比べると、ああ、これはいわゆる「映画」ではないな、と思ってしまう。

いろいろな要素を詰め込み、楽しんでもらう、というのはアリだけれど、それを詰め込みすぎると、荒唐無稽となって、リアリティのかけらもなくなり、観客は興味を持続することができなくなってしまう。

「ゴールデンスランバー」が、物語の背景をあえて全て語らず、主人公の逃走劇に搾り、そこは匂わせ、観客に想像する余地を与えているのに比べ、この映画はまるでスーパーマーケットの安売りのように、全ての情報がガンガン開示されていく。

これがテレビドラマなら、荒唐無稽なお話でもお茶の間で気軽に楽しめるのだが、2時間、暗闇で大スクリーンを集中して観る「映画」だと、そうは行かない。

この映画の作り手は、そんなことはあまり考えていないように思える。何かの資料によると、この作品はテレビドラマのように楽しめる映画を目指した、なんてことも書かれていた。

かつてのプログラム・ピクチャー全盛時代を考えれば、こうした映画も大いにアリとは思うけれど、テレビ局主導の映画が全盛の今、テレビドラマの映画化作品の質が、こういうものばかりだと、ちょっときついな、と思ってしまう。

テレビ局が主導の映画が悪いとは思わない。昨年、フジテレビは「アマルフィ」というイベント的な映画を作りながらも、「劍岳 点の記」に出資し、「誰も守ってくれない」という秀作も産み出した。

テレビ局が主導することで、話題性があり、面白い作品がどんどん生まれれば、観客にとってもいいことなのだ。だけど、良くも悪くも「テレビ局」が主導することで、最初にテレビありきでないとなかなか企画が通らず、ドラマ性や社会性の高い企画が通らないこともまた事実のようだ。

気軽に見られるテレビドラマ感覚の映画が増えてしまうと、結局は質の低下を招いてしまい、観客から飽きられるのでは、と思ってしまうし、実際にそういうことも一部、起きているように思う。

で、この作品だが、あり得ない!とツッコミながら、最後の最後まで楽しませてくれる。米倉涼子さんの美しさは必見。いろいろなシーンで、かつてのこの手の映画への敬意も感じられる。

◇サヨナライツカ
★★
中山美穂演じるヒロインは魅力的なのだけれど、なぜ2人が恋に落ちたのか、今一つしっくりと感じられないから、そのあとの展開でヒロインの気持ちが主人公に傾いても、しっかり感情移入はできない。この映画を観ていて「愛を読むひと」を思い出した。物語がちょっと似ているのだ。2本を比べて「物語」を語ることがいかに難しいか痛感した。25年後、主人公の老けメイクがちょっとひどい。ヒロインはそのままに、別の俳優が演じるなど、何か工夫はできなかったのだろうか。やはり、映画には細かいリアリティが必要なのだ、と思う。ラスト近くには、ちょっとホロリと来たけれど。

◇NINE
★★★
ものすごく期待して観に行った。女優たちの存在感、踊りのゴージャスさは圧巻。映画監督の苦悩や葛藤を描きながら、それを取り巻く女たちの心の思いが、歌と踊りで表現されていく。幻想的で深いフェリーニの「8 2/1」をミュージカルにした、と思うとちょっと物足りないが、2時間しっかり楽しめる。

◇シャーロック・ホームズ
★★★
ガイ・リッチー監督のホームズ、どんなに斬新かと思いきや、意外とストレートな推理物で、ホームズファンも納得の仕上がりでは。決してわかりやすい作りではなく、物語世界に浸るまで時間はかかるが、19世紀のロンドンの雰囲気やロバート・ダウニー・ジュニア、ジュード・ロウらの熱演、存在感で最後まで見せてくれる。

◇ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ
★★★
テレビシリーズは観てないけれど、そこそこ楽しめた。スリリングな展開で、謎解きもよく練られている。ただし、マネーゲームに参加する登場人物たちの人間性を試す、という展開なら、その背景も語ってほしいと思うのだけど、そこを語るとすこし軽めのこの作品の魅力が失われるのだろう。これもテレビドラマも映画化。ドラマを観てない人にはキツイかもしれないところもある。

◇おとうと
★★★
山田洋次監督、安定しています。吉永小百合さんも魅力的。平凡なホームドラマを、きちんと見せてくれ、そこに社会的な問題を入れてくるのは、正に山田監督の真骨頂。

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