RAIWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語  新作レビュー

★★★

サブタイトルで映画の内容が分かってしまうのだが、最初に観始めてから「いつ、サブタイトルのようになるのかなあ」と思いながら観ていた。

この映画が成功しているのは、主人公が夢に向かって踏み出すまでを、くどいぐらいに丁寧に描いている前半にあると思う。

いつの間にか、日々の仕事に追われ、妻や娘の気持ちを理解できなくなって、母親の病気に「仕方ない」と思うまでになってしまった中年サラリーマンの姿は、恐らくこの映画を観る主人公の同世代にとっては、たまらないものがあると思う。

その主人公があることをきっかけに、子どものころの「夢」と向き合い、家族との絆を取り戻していく訳だが、この辺りから物語の展開は凡庸になっていくものの、前半の厳しさの中で登場人物たちをしっかり紹介しているからこそ、後半の何気ないシーンの積み重ねが、しっかりハートウォーミングなエピソードとなって心に響く。

中井貴一は好演しているし、高島礼子の艶っぽい奥さんもいい。舞台となった出雲の風景も美しく、そこを走る電車の姿も風情がある。

僕は40歳で会社をやめ、「自分が生まれ育った山口県で、映画に関係した仕事がしたい」と自分で事務所を作って独立した。だからこそ、この主人公の気持ちはよく分かる。

「右向け右!」で「面白いなあ」と思った錦織良成監督だが、故郷の島根県で撮影した、地方発全国発信の先駆けとなった「白い船」で評判になった。

この映画も島根県ロケだが、錦織監督の故郷への想いと映画に対する誠実さが現れた作品だと思う。

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