阪急電車〜片道15分の奇跡  新作レビュー

★★★★

素敵な映画。

いくつもの物語がやがてひとつにまとまる映画は昔から古今東西にあるが、この作品は世代や環境が違ういくつもの人たちのエピソードを描き、やがてその人間模様が絡んで行く。

登場人物たちの共通点は阪急電車のある沿線(片道15分)を利用していること。登場人物たちが出会う舞台を電車にしたことで物語は横に広がる。で、沿線の各駅の近くの大学や住宅、アパートなどがそれぞれの物語の核になることで、物語は縦に広がる。ということで、ストーリーが立体的に繋がる、という効果がいい方に出た。

複数のエピソードが絡む群像劇は整理整頓が難しく感情移入できない映画作品も多いが、この映画は成功している。

部下にフィアンセを取られて復讐しようとするヒロイン、彼氏のDV(身近な人による暴力)に悩む女子大生、息子夫婦と上手くいってない孫娘を連れた老女、いやいや大阪のオバハン仲間に高い食事に誘われ出かけてしまう気弱な主婦、軍事オタクの大学生とその同級生で流行に鈍感な女子大生、純粋な彼氏に心ひかれながら大学受験に悩む女子高校生、いじめに悩んでいる女子小学生…こういう人たちが電車や駅での「出会い」によって、少しだが成長していく。

人はどこかしら弱さや痛みを抱えているもの。ふとした街中での「出会い」が、そこをちょっぴり癒してくれる…しかし、他人に無関心な現実では難しいことかも。これは実はありそうで、ありえないファンタジーなのかもしれない。でも、電車や街で出会った、見て見ぬふりはできないような他人の「人生」に出会ったとき、そこに関わる勇気や優しさは、今の時代だからこそ、必要なものだろう。
2



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ




AutoPage最新お知らせ