SHAME シェイム  新作レビュー

★★★★★

依存症と一口に行っても多種多様だが、きちんと知っておきたいのは、これはちゃんとした「病気」である、ということである。

「依存症」とは、その刺激がないと、不快や不安定な精神的な状態になることを示すが、その刺激がアルコールであったり、薬物であったり、様々なものが「刺激」になり得る。

この映画の主人公は、セックス依存症である。依存する刺激が、「セックス」という道徳的なモラルが要するものだと、そこから生じる周りの偏見であったり、本人も自分自身への不徳な感情から、必要以上に苦しむケースが多い。

僕はセックス自体、不徳なものなどでは決してないと思うけれど、依存症になると、これはセックス依存に限ったことではないが、社会性や日常がその刺激がなくては保てない状況になってくると、事態は深刻である。

この映画の主人公は、同じように心に傷を持つ妹と同居することによって、自らの「苦しみ」が浮かび上がり、セックスでは決して埋まらない自らの心の隙間に気づく。同僚と普通の恋愛さえできず、妹までも追い詰めていく主人公は、実に辛いし、痛みが心に迫る。

そういう意味では、リアルな映画である。抑えた音楽もよく、新鋭スティーヴ・マックイーン(凄い名前だ。日本にも、小林正樹監督という、「切腹」などの監督と同姓同名のドキュメンタリー監督がいらっしゃるが・・・)監督の演出はシャープであり、長回しの多用が心の緊迫感を上手く表現している。リアルなセックスシーンも多いが、不思議と性的高揚感は全く感じない。

この辺り、監督さんのセンスと技量に、非常に才気を感じる。

主演のマイケル・ファスベンダーは「どこが見たぞ」と思っていたら、途中で「XMEN:ファーストジェネレーション」の若きマグニートーを演じていた人だ、と気付いた。あのときもアクション超大作ながら屈折した彼の演技が光っていたのを思い出した。

SHAMEとは「恥」という意味だが、自らの「心の闇」と向き合ったとき、人にとって浮かび上がる本当の「恥」とは何か?という深さを感じられる、なかなかの秀作である。
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