ブルークリスマス  名作・傑作を語ろう!

 岡本喜八監督というと、「独立愚連隊」や「日本の一番長い日」など、傑作はいくつもあります。この映画は岡本作品としては世評的には決して高くない作品ですが、この映画も「野獣死すべし」と同様、高校生のときに観た、忘れられない映画です。

 当時、僕はSF小説に凝っていて、映画もSF物が大好きでしたが、派手なスペースオペラよりは身近な社会にSF的な驚異がある、というような設定の小説が大好きで、この作品は正に当時の僕のSFマインドをくすぐり、満足させてくれた作品です。

 ある日、日本各地にUFOが出現し、それを見た人間の血は青くなってしまう。宇宙人の驚異を感じた政府は、青い血の人間の粛清を始める…。

 青い血云々はともかくとして、異端を政府が巧妙に排除する、という描写が現実的で、SFを借りて政治支配の恐怖を描いたポリティカルサスペンスとしても1級品になっています。岡本監督が一貫して描いてきた権力への懐疑心がこの映画でも明快に語られます。

 劇中、大滝秀治扮する政府の高官が、青い血の粛清に反対し、デモ行進する学生たちを見て「若者たちは何も政府が発信してないのに敏感にこちら側の動きを察知する」というようなセリフを言うシーンがあって、公開時、ここに唸った覚えがあります。

 いい、悪いは別として、政治や世の中の動きに若者は自然と察知し、敏感である…。当時、「俺はこれでいいのか」と思ったのですが、今やそんな敏感さを、若者は失ってしまったというか、放棄してしまったような感さえある現在、この映画も隔世の感があります。

 物語の大筋は粛清する側の自衛隊員の勝野洋と、青い血になってしまった恋人の竹下景子との悲恋なのですが、仲代達矢の演技もなかなか鮮烈で、できれば現代にもう一度見たい作品です。
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