平生町の『回天』レプリカ  映画ゆかりの山口の場所を訪ねて

 この新カテゴリーでは、山口県の中で、映画ゆかりの地をいろいろと紹介していきたいと思います。

 まずは、MOVIX周南では11月末までの公開が決まった「出口のない海」から。この映画、人間魚雷「回天」が題材ですが、「回天」の基地は、山口県の周南市大津島、光市の光井港、平生町の阿多田半島、大分県の大神にありました。

 そこで隊員たちは厳しい訓練を積み、潜水艦に「回天」を積み込んで出撃して行ったわけです。現在、大津島には千点もの遺品、資料を収蔵した「回天記念館」と、「発射訓練基地跡地」が今も残り、映画のラストシーンの舞台にもなって多くの方が訪れています。

 原作を読むと、主人公並木のモデルは出撃後、生き残って光基地に帰り、終戦直前の訓練で亡くなった東大法学部から学徒出陣された和田稔さんと思われ、映画でも主要な舞台は光基地となっています。

 残念ながら、今の光基地跡地は「回天の碑」があるだけで、企業用地の一部となって当時の面影は何もありません。映画の「光基地」は下関市の海岸で撮影されています。残念ながら光では撮影していませんが、「山口から出撃した若者たちは山口の海で撮影を」という作り手の想いが感じられます。

 「回天」の主要な資料、遺品などは大津島に集約されています。だから、映画で生き残った伊藤整備兵は、光基地の跡地ではなく、並木ら、英霊たちの遺影や資料、写真が今も残り、多くの人に伝えている大津島に渡って並木のボールを海に投げ入れたのかもしれません。

 ちなみに、佐々部監督はこの映画を撮影するにあたり、大津島の回天記念館を何度も訪ね、実際に戦死していった回天烈士たちの遺書、遺品を目にして、「彼らの思いを伝えれば、きちんと『伝わる』映画になる」と思われたそうで、その言葉を実際に「並木の遺書」として使っています。映画に重みが出たのは、そういう作り手の志があった訳です。

 写真は、平生町の阿多田交流館前に展示してある、映画で実際に使った原寸大のレプリカです。実際の回天と同様鉄製で、このタイプは映画で実際にスクリューや舵を動かし、訓練シーンなどで使用されたものです。

 阿多田交流館は平生基地があった場所近くにあり、ここでも回天の資料や遺品の一部を展示し、現在は「出口のない海」の資料、パネルも展示しています。このレプリカは地元徳山のプラントメーカーが「回天で出撃していった若者たちを思い」作ったものです。ベニヤ板で作ろうと思えば作れたはずですが、本物の鉄製レプリカにこだわったのは、その質感を含め、役者さんたちの演技にリアル感を出すためだったようです。

 実はそのメーカーは、社長さんに強烈な戦争体験があり、回天記念館前のレプリカ製作も担当したのです。ですから、並々ならぬ想いが、このレプリカに込められています。レプリカは2基作られ、もう1基は11月初め、周南市の徳山港に置かれるようです。回天ゆかりのメーカーに発注したスタッフの想いも、並々ならぬものがあったようです。

 平生基地は映画には出てきませんが、阿多田交流館は周囲に海や自然もあって、回天記念館とはまた違う趣もあって、とってもいいところです。クリックすると元のサイズで表示します

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