2014/10/16

フクロウの鳴く夜  nature
台風一過。
澄み渡る秋空だ。
山には新雪が積もりまぶしい。

愛山渓 雲井ヶ原湿原にいる。
ゲートが締まる直前に最高のコンディションだった。

日が暮れ、あたりが真っ暗になる。
ここは街の光すら届かないので、月が昇るまでは原始の闇が体感できる場所だ。
しかし本当の闇は何も見えない闇ではない。
たくさんの星たちが、おぼろげに湿原のシルエットを写しだしている。
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【ノースフィールド】

ほんのすぐ近くでエゾシカが鳴いた。
いつもはいない誰かに「おまえは誰だ」と言っている。

正直なところ、ここから見る愛別岳は美しいがその頭上の東の星座は乏しく、心の中で「なんだかなぁ」とつぶやいていた。

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【サウスフィールド】

帰ってもいいかな。そんな気持ちが大きく膨らんだが月が昇るまであと数時間我慢しよう。
今回は季節も早いしダウンは上下ひとづつのみ。
終始、小刻みな運動をして体の体温を維持していた。

やがて東の空からオリオンが昇り始め、星が減り始めた。
月の出が近づく。
背後でフクロウが鳴き始めた。

「ホー・・・・・・・・・・ゴロスケ ホー・・・・」

するとエゾマツの林のほうからおもむろに月が出た。
見の前の湿原に針葉樹の影が伸びている。
真っ白に霜の降りた湿原は月灯かりでキラキラと輝き始め、
さっきまでうなだれていた僕はあきらかに興奮していた。
「静」から「動」へ、わずかな時間で大雪山は表情を変えた。
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びっしりと霜の降りたカメラでレンズ交換はできない。
しかし僕は夢中で、ひたすら撮り続けていた。

月が高く昇ったころ撮影を終え大きな息をした。
機材もザックも、そして僕も真っ白な霜に包まれ、
背後でフクロウがずっと鳴いていた。
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