2014/12/12

絆    nature
あのおじさんに会ってから、僕の直感が目覚め始めた。
あの高台でタンチョウの家族に出会ったあと、彼らの目の高さで湿原を感じようとウロウロした。
釧路湿原を一望する他の高台へ移ると夕焼けが始まった。
釧路の街が遠くに見え、もう一方は果てしない原野。
かつてこの場所が海だったことを想像すると、広く浅い海という猟場が見えてきて、物凄く芳醇な風景になった。

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かなり遠くからタンチョウの鳴き声が聞こえる。
その空気感がたまらない。
強い光に全てのものがコントラストを消し、輪郭を失った町も湿原も声もが融けていった。
数枚だけ写真を撮って、あとはこの空気を楽しんだ。

夜になって湿原に降りる。
大きく曲がりくねるミズナラやハンノキ。
川の流れが音を立てる。
  『チョプッ』  『チャプン・・』
それと文字では表せない、ゆったりとした川そのものが持つ流れの音。
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なんとも言えない雰囲気に、あの家族はきっとあの場所でいる。 
そう確信し、ぼくも少しの眠りについた。

翌朝、まだ真っ暗のうちにあの高台に立つ。
ゆっくりと空の色が変わり、霜に覆われた湿原が目を覚ます。
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「いた。」 
やはり一度は飛び去ったものの、ここをねぐらにしていた。

夜が明けきると彼らは食事を始めた。
良く観察をしてみると、かなり優れた猟場であることがわかった。
見えるかどうかほどの薄氷が半分ほど沼に張っていて、その境目に魚がいっぱいいた。
遠くから見ても魚が跳ねているのが良く見える。
この猟場を家族だけで占有するにはそれだけの力が備わっており、珍しく幼鳥が2羽育っているのだ。

しばらく見ていると、オジロワシの波状攻撃にさらされていた。
家族が採った魚を力ずくで奪おうとしている。
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何時間も何時間も続く執拗な攻撃に、家族は一丸となって立ち向かっていた。
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親鳥も幼鳥も大きな羽を広げて飛び上がり、果敢にオジロワシを跳ね除けた。
やがて諦めたオジロワシは消えていった。

「本能的にすべての力を合わせて生きてゆく」 

その家族の力強い絆は、こうして書いている今もあの一角で繰り返されているだろう。
誰も見ていない原野で、人の為でもなく、ただ自分たち家族の為だけに生きている風景が今なおあることになにかココロがほっとして、僕はその場を立ち去った。
僕の顔はきっと微笑んでたに違いない。

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