昨今、世の中の動きが実に目まぐるしい。この記事を首を長くして待っている方々もいらっしゃるようなので、息抜きを兼ねて、久しぶりにミニ講座をアップする。
さて今日は、推量「〜だろう」に当たる形をご紹介する。
標準語では「할 것이다」であるが、済州島方言では「ㅎ・ㄹ거라」である。
「用言語幹+未来連体形 ㄹ/을+名詞 거 +終止形語尾 라」という構成である。したがって、標準語の「할 것이다」とまったく同じである。「거」を「것」としてもいいのだが、「것」と発音している例を耳にしたことがないので、このようにしておく。未来連体形「ㄹ/을」に続く「거」は、済州島方言では濃音でも激音でも発音されうるが、私が見るに[꺼]と濃音で発音されることが多いように見受けられる。
また、「라」は標準語の「다」に当たる語尾で、慶尚道方言や、古くは中世朝鮮語でも使われている。
例 中世語:그 아히 그리 ㅎ・리라
慶尚道:가아가 그리 할기라
標準語:그 아이가 그렇게 할것이다
終止形語尾を「우다(標 ㅂ니다)、여(標 야)」などに替えることもできる。以下に例を示す。
가이 경 ㅎ・ㄹ거라 標 그 아이 그렇게 할것이다 / 할거야
야이 영은 아니ㅎ・ㄹ거라 / 아냘거라 標:이 아이 이렇게는 안할것이다 / 안할거야
*否定「아니」と語幹「ㅎ・」の連続「아니ㅎ・」が縮まって、「아냐」と発音されることが多い
시방 집이 가도 아무도 엇일거우다 標:지금 집에 가도 아무도 없을겁니다
내일은 아마 날씨가 좋을거우다 標:내일은 아마 날씨가 좋을겁니다
저 사름 내 일름 잘 몰를거여 標:저 사람 내 이름 잘 모를거야
過去形「〜しただろう」は過去形接辞「앗/엇/엿/(体言+)랏」に「을거+終止形語尾」を付ける。現在進行形「〜しているだろう」は進行形接辞「암ㅅ/엄ㅅ/염ㅅ」に「을거+終止形語尾」を付ける。ただし、済州島方言では「ㅅ+으」の「스」音は「시」音に変化(前母音化)するので、実際の発音は[아슬]や[암슬]ではなく、[아실]や[암실]と発音される。以下を参照されたい。
이젠 도새기 잡앗일거여/ 시방 잡암실거여 標:이젠 돼지 잡았을거야/ 지금 잡고있을거야
막 공부햇일거우다/ 햄실거우다 標:열심히 공부했을겁니다/하고있을겁니다
배가 하도 고프난 밥 먹엇일거라/먹엄실거라 標:배가 너무 고파서 밥 먹었을거야/먹고있을거야
이건 할마님네 구덕이랏일거여 標:이건 할머니의 바구니였을거야
副詞「아마(おそらく)」はこの推量形とセットで使われる。
아지방 오늘은 이디 아니올거라 標:아저씨/아주버니 오늘은 여기 안 올거야
次回も用言に関して取り上げる予定である。また時間ができた折にアップするので乞うご期待を。

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