千葉は津田沼駅前のパルコB館に入ってるテアトルシネパークで「かもめ食堂」を観る。
最初は、原作が群ようこなので観るかどうか迷っていた。以前、群ようこが書いた山川方夫の文庫の解説を読んだことがあったのだが、それは、山川方夫の作品に触れるフリをしながら、家庭を顧みなかった自分の父親の悪口を書きまくるだけのどうしようもないものだったので、それ以来、群ようこにはいけ好かないものを感じていた。
そんな群ようこの原作だから、もしかしたらテレビドラマでよくあるキャリアウーマン自己肯定&自己完結ドラマ、「私は色々迷ってこうこうこうしてきたけれどそれは間違いじゃなかった」的な内容なのかなと思っていたが、そんな自分の予想に反してなかなかにいい感じの映画だった。
フィンランドで、おにぎりをメインメニューとした食堂を開く日本人女性サチエ(小林聡美)のゆっくりと変わってゆく日常がストーリー。なかなか入らないお客もふとしたきっかけでポツポツと入り出す。ふらりとフィンランドにやって来たミドリ(片桐はいり)とマサコ(もたいまさこ)もふとした縁で店を手伝うようになる。ちょっとした事件も起こるが、大したことにもならずに淡々と、そしてゆるやかに進んでゆく。
もしかしたら気が狂っているのかと思わせるようなマサコのキャラクターが最後まではっきりしなかったが、うまくまとまった作品だと思う。エンディングで流れた井上陽水「クレイジーラブ」が意外にはまっていた。
それにしても、小林聡美、片桐はいり、もたいまさこと揃ったが、片桐はいりが室井滋だったら「やっぱり猫が好き」になるじゃないか。かもめも猫も魚を食うし。
映画の後半で、もたいまさこが道行くおじさんからふいに猫を渡されるシーンがあるけれど、あれは、「やっぱり猫が好き」に対するリスペクトだと思ったのは自分の考えすぎだろうか今日この頃。
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