新宿シネマカリテに「ザ・メタルイヤーズ」を見に行く。
1987年あたりのロサンゼルスメタルシーンを追ったドキュメント。この前、渋谷ヒューマックスで見た「ザ・デクライン」の続編。そっちはパンクでこちらはメタル。
「パンクは好きだけどメタルはなあ・・」
と、思いながら見たらオープニング曲がモーターヘッドだったので好印象で見始めることが出来た。
でも、モーターヘッドは自分の中ではハードロック。メタルではない。キッスも出て来るが、キッスも自分の中ではハードロック。ハードロックが衰退してパンクが出て来て、パンクが衰退してまたハードロックが盛り上がってきた時に、「ハードロック」では古いから「ヘヴィメタル」という言い方になったと広瀬和生氏が言っていたので、ハードロックもメタルも同じなのかもしれないが、個人的にはちょっと違う。でもまあそれは個人的な分類なので映画には関係ない。
このドキュメントもライブシーンとインタビューで構成される。ほとんどのインタビューは普通に行われているが、キッスのポール・スタンレーは、ベッドの上で下着姿の女性達をはべらせながらインタビューに応えるというファンの夢を壊さない演出をしていた。この、イメージを守る姿勢がパンクとメタルの違いなのかなとも思う。
インタビューに応えるミュージシャンは皆成功について語っている。成功したい、金が欲しい、女にモテたいと率直に答える人が多い。このあたりもパンクとの違いが見える。予想では全員がそう答えるだろうと思っていたが、それだけじゃないと言う人も思ったよりいたのが意外だった。音もファッションも売れる為の手段で、「25歳までに売れなかったら辞める」というように上手く見切りをつけられる人が多いとも思っていたが、ノーフューチャーというか、「これしかない」と思っている人も多かった。でも不安も付きまとうようで、「45歳になって何も達成出来ていない自分を考えると・・」という発言もあった。丁度45歳の自分はドキッとした。
もちろんすべての発言が本音かどうかは分からない。でも、思ったよりそれだけではないのではないかと自分は感じることが出来た。
そして、思ったよりカッコイイ人が少ない。結構ブサイクもいる。スタイルも良くない。エアロスミスのスティーブン・タイラーもよくよく見れば二枚目ではない。若い時から小太りのオジー・オズボーンはしかたないけど、もう少し痩せたらどうかねと言いたくなる人もいた。
ロックの場合、成功に付きまとうのがドラッグとアルコール。そこから生還できた人は皆やめろと言う。でも、この関係はこの先も付きまとうだろう。
「忠告しても聞き入れない者とは関係を断つ」
と言い切るキッスのジーン・シモンズのクールな姿勢がカッコイイ。
個人的に「ザ・メタルイヤーズ」はあまり楽しめないかなと思っていたが、編集の上手さも手伝ってなかなかに楽しかった。
そして次は、またパンクに戻る「ザ・デクライン」シリーズ第3作「ザ・デクラインV」。
さてどうなるか。
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