改造車で湾岸道路をレースする「湾岸ミッドナイト」というマンガがある。主人公のアキオが乗る車は「悪魔のZ」と呼ばれるフェアレディZ。ライバルの達也が乗るのは「ブラックバード」と呼ばれるポルシェ911。アキオに想いを寄せるモデルのレイナが乗るのはスカイラインGT−R32。
この3人を中心に色々な車がレースに絡んでくる。レースのやり取りだけでなく、それぞれの人間模様や心理なども描かれていてなかなかにおもしろい。GT−Rに乗っていた弟がコミックスを買っていたので実家にいた頃によく読んでいた。
そのZにレースを挑んでくる車に何度かマツダのロータリーエンジン車(RX−7)が出て来る。ロータリーエンジンは、それまでのシリンダー内でピストンを上下させて動力を伝えるレシプロエンジンとは違う特殊な構造で、色々と優れている部分もあるけれど、レースで勝つ為には不利な部分もある。実際にはトータルバランスが優れているGT−Rが断然有利。GT−R乗っとけば間違いない。でも、そうじゃない。自分がコレと思えない車では命を乗せて走れない。ロータリーエンジン車に乗る男達は美学を優先する。美学では勝てないけれどそれを手放せない。
自分が再度ヤマハギターをメインギターにしてからこのマンガを読んだら、そんなロータリーエンジン車に乗る男達にとても共感するようになった。
5、6年Kヤイリを使っていて何の不満もないし、これが生涯のメインギターだくらいに思っていたが、ふとヤマハを弾きたくなり、何年も弾いていなかったヤマハを引っ張り出して弾いていたらまたメインギターにしてしまった。その理由はと考えても「コレだ」と思ったからとしか言えない。抽象的な表現になってしまうが、やや低い所からズクンと切りこんでゆく感じが良い。色々な人が弾くマーチンやギブソンの音を聴いて「良い」とは思うが、「コレだ」と思い、「自分も欲しい」と思ったことは一度もない。マーチンやギブソンにしておけば間違いはないのだろうが、魅かれないギターには興味がない。程度の良いマーチンやギブソンを5000円で買わないかと言われても断るが、「コレだ」と思えるヤマハFGに出会ったらまた買ってしまうかもしれない。
国産ギターを馬鹿にするマーチン偏愛馬鹿や、弾いてどうこうよりも高いギターを持っているステイタスが上に来ている連中には一生分からないだろうし、分かってもらわなくて結構だ。