仕事を終え、そのまま電車を乗り継いで東京の上野へ。
上野広小路亭で行われる「落語立川流マゴデシ寄席」を見に行く。談笑師匠の総領弟子で、談志師匠からは孫弟子にあたる吉笑が立ち上げた会。
6時半の開場前から長蛇の列。
開場して入場して席に着く。追加の椅子を出すほどの満員。前回来た時も思ったが、もっと広い会場に移るべきなのでは。
6時45分頃に開口一番として立川談洲が上がる。
談笑の弟子。
噺は「たらちね」。
入って間もない前座なのに何かちゃんとしている。お笑い芸人でもやっていたのだろうか。談笑一門は総領弟子と二番目が優秀すぎるからか、三番目以降がなかなか安定しない。この人は残るかもしれない。
続いてかしめ。
こしら師匠の総領弟子。
噺は「のめる」。
立川流の落語会でこの噺を聞くのは初めてのような気がする。
色々な人に噺を教わっているらしいので、立川流の人達があまりやらないような噺を今後も仕入れてほしい。
続いてらく人。
志らく師匠の弟子。
この後に出る志らく一門のこしら、志ら乃同士は仲が悪い(と言われている)というまくらを振って持ち時間が短いのに「死神」に入る。短くまとめていた。
続いてこしら。
志ら乃師匠とのあれこれをまくらで喋った後、365日同じ、「江戸っ子は五月の鯉の吹き流し・・」と言ってから聞いたことのない噺に入る。途中で何と「死神」が出てくる。どうやら「死神」の続編を新作として作った様。まくらのお気楽な感じとは違って所々シリアスに演じたり、かと思えば思いがけない所で笑わせたりする。この人は落語がヘタだとか基本が出来ていないとか言われるが、人の心をつかむ術には長けている。
続いて志ら乃。
高座に上がるといきなり「江戸っ子は・・」と言うので皆爆笑。加えて、「それ俺の!」と、こしら師匠が袖から出て来るのでさらに爆笑。
こしら師匠とのあれこれを語る。周りが言うほど仲は悪くない感じ。でも、秀才型の志ら乃師匠が、天才型のこしら師匠を少し意識しているとは思う。
噺は聞いたことのない噺。蕎麦が出て来るが「時そば」でも「そば清」でもない。途中から、新作の「そばーん」であることを知る。おもしろい。蕎麦が食べたくなった。
続いて談吉。
志ら乃師匠がまくらで言っていた下ネタ過ぎる新作のさわりをやり、浪曲を一節。
それから師匠談志もやっていた志ん生作「夕立勘五郎」へ。
トリは吉笑。
「みんな身内ネタが多すぎ。もっと落語を信じて」と、言いつつも自身も身内ネタから新作「くじ悲喜」に入る。
何度か聞いている。人格を持ったくじ三枚のやり取りが楽しい。ガバッと抱きしめる所作が談笑師匠に似ていた。
まくらで、「今月誕生日なのに誰も何もしてくれない。でも、楽屋に戻ったらサプライズがあることを・・・」と言っていたら、噺を終えた途端、皆が「ハッピーバースデー」を歌いながらケーキだかお菓子だかを持って出て来た。
充実した落語会だった。
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