9月九日 午前5時30分 予定通り京都のバス停に降り立った。
そして これもまた阿吽の呼吸とでも言おうか、同行するセナちゃんの「おはようございます」の声。フムフム これは良い傾向。なかなかのスタートではないか!
前日の午後1時14分発のレインボーと 11時45分の 京都行き夜行バス。どちらも時間をたっぷり使って 準備し、余裕の旅のはずだった。
ところが そこはそれ、私たちの旅でして。アクシデントの方が 私たちを放さない。どうぞ 笑ってやって下され!!
アクシデント 1 セナちゃんと合流して すんなり駅に向かうはずだった。
が・トラトラの異様な様子。 「どうしたの?」 「カバンが無い」「えぇっ?!」 やがて運転手もやって来て探すが・・・。
しかし 探すといっても たかがバスのトランク。限られたスペースで カバンの逃げ場はない。
じつは 松江の駅で乗り込むとき 「バスの中は通路が狭いですので、カバンはトランクに積みましょうか?」と声を掛けられ 一旦は「大丈夫でしょう」といったのだが、それでも「ほんとに狭いですよ」と言われ 積んでもらうことにしたのだった。
「運転手さんが 積んでやると言われたから 私はそのまま乗ったんですよ」と トラトラ。
「あぁそうですかぁ そうでしたよねぇ」と 慌てふためく運転手。
そんな二人のやり取りを呆然と 見ているわけには行かない。6時10分過ぎの新幹線に乗らなければならない。
神奈川県の大磯町で行われる 全女大会に参加しなければならなかったのだ。9時半からの代表者会議には 何が何でも間に合わなければならない。
それを告げると 運転手は更に 困惑した様子。
「とにかく 松江のあの場所に カバンが残ってるかどうか 確かめてもらったら? 夜中のことだし、ひょっとしたら そのまま有るかも知れんし。もし 無くても中身はたいしたものじゃないし・・・。」
あきらめムードで 電話をしてもらうと、有ったのでしたぁ! 運転手の電話のやり取りに 思わず3人は拍手!
「さすが まだまだ田舎だよねぇ?」 「でもやっぱ 夜中だったから良かったんじゃない?」
受け取り方法と、住所 名前 携帯の番号などを告げて 駅に向かったのだった。
何度も頭を下げていた運転手は きっとしかられるだろうなぁと 話ながら・・・。
そしてその後は 順調に、乗り継ぎ 乗り継ぎで 会場の 大磯プリンスホテルに到着し、全ての日程をこなしたのだった。
トラトラは ホテルまで行かず、一人 中華街を歩くのだと 大磯駅で別れた。
今回の大会参加を決めた日から トラトラはほぼ毎日のように ネットで観光スポットを検索し、プリントアウトしていたのだから 自信たっぷりに 出かけていった。
しかも こんなアクシデントを予期するはずもないのに、貴重品は カーリー手持ちのカバンに。自作の中華街の試料は ちゃんと自分のショルダーバッグに 入れていたのでした。
ここまでで アクシデント1は 終わりだろうと お思いでしょう。が・しかし ここからもすごいんです。
会議が終わって 部屋に入ると、やはり 靴下の替えが欲しくなった。それくらいなら ホテルの売店に有りはしないかと。
少し休んだら 売店をのぞいてみようと 話していたところに トラトラが帰ってきて。
「荷物をここまで持って来てくれると 電話が有ったよ。7時頃になるらしいわ・・・!」
「すごぉい! さすが 本土だぁ・・・!」信じられない思いだったのだが、確かに6時過ぎ 私たちの手元に カバンは帰ってきたのでしたぁ。
しかも 生ヤツハシの付録付きで・・・!
荷物のたどった経過は よく分からないけれど、必要な時間までに 手元に届いたのだから 終わってしまえば 道中の荷物は軽かったし。ドキドキさせてもらったし。お菓子までもらって。
なんて・まぁ、主人思いのカバンでしたこと!!
アクシデント 2 荷物が届いたということは、お風呂にも 入れるって事で。
セナちゃんと トラトラは 温泉に行くといったけれど、カーリーは部屋のお風呂に入ることにした。
ビジネスホテルと違って お風呂と トイレは別になっていたし。洗い場の付いたお風呂だったから ゆったりできると 思ったのだった。
二人が出て行く前に 中の様子を教えてもらい、自信を持って いざ お風呂に。
シャンプとリンスには 点字が付けてあると聞いていた。それも確認して。 さぁて、お湯をふんだんに使って 体をしっかり温めれば 疲れも取れるだろうと。
が・水が出ない。確か 水が左で お湯が右と聞いていた。なので 左を先にひねるのだが 何も出ない。
ならば 右をとひねると、お湯が出てきた。では この状態で左をひねれば 水も出るのかと思って やってみるがお湯はだんだん暑くなる。
止めてみたり 出してみたり。何度と無く繰り返すが、一向に らちがあかない。
それなら シャワーの方はと かまってみた。
こちらも初めは同じ状態だったのだが、いつの間にか水も出るようになって、温度調節が出来るようになった。
と・なると、浴槽の方だってと思うのだが、こちらはだめ。
それどころか 浴槽には ぬるいお湯が ほんの少しだけ溜まっていた。
シャワーを使うと 浴槽の水力は落ちて ぬるくもなるってことは・・・?
ウーン、分からない分からない。しかしながら 水も出るのだと、ホッとして 体を洗うことにした。
タオルに ボディーソープをふんだんに撒き、体を洗ったのでした。
それというのも セナちゃんが 部屋を出て行くとき、「カーリーさんのことだけぇ お風呂も早いんだろうなぁ」と言っていたので、几帳面な仕草を話して聞かせるつもりだった。
お湯の温度調節さえうまく行ってれば カーリーの体洗い談義が セナちゃん相手に 始まったのだろうけれど。
いざ 泡を流そうと 洗面器を 浴槽に突っ込んでびっくり。お湯は 底の方に少ししか無くて。
泡だらけの体では 足がすべって お湯がなかなかすくえないではないか!
こんな所で転んで 怪我でもしたらたまらない。左手で浴槽のふちをしっかり掴んでお湯を掬い。
どうにかこうにか 足がすべらない程度に石鹸を落とすと、シャワーの方の蛇口で 後の処理はしていた。
そうそう 説明を省いていたので 分かりにくいかも知れないが、蛇口は 浴槽と洗い場に 別々についていて。しかも 固定型で 洗い場に水が出るからといっても それを浴槽に取るには シャワーの状態でなければ 無理なタイプだったのです。
そして 大盤振舞した ボディーソープは、意地でも落ちてやるものかとばかり シャワーでは すっきりしてくれない。
仕方ないので浴槽には お湯だけを勢いよく出して、水だけのシャワーをその中にほおり込んで温度調節した。
そんな苦労をして入ったお風呂は 疲れを取るどころか、疲れ果てたのでした。
このホテルを知る 先輩から 「ほんに 良いホテルだよ」とさんざん聞かされていた。
ウーン、あの声が 悪戦苦闘する間中 カーリーの頭を支配したのはぁ・・・??
大きなアクシデントは こんなところだったが、今回も なかなか楽しい旅だった。
列車の乗り換えは 駅員さんにお世話になり その親切に感謝したし。
ヘルペスにも それほど悩まされなかったし・・・。
これを終わろうとして 今・思い出した。
私たちとは関係ないけれど、世にも不思議な 落し物の紹介が有った。
それは 何だったでしょうと クイズにしたいところだが、今度 いつ書く気になるか分からないので教えましょう。
それは 盲導犬! 人ごとだけど、これも 大きなアクシデント だよなぁと・・・。

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