牧ヶ谷橋から木枯らしの森を望む (2004/11/30)
小学校時代、昭和30年代の初め頃、日本は終戦の混乱から立ち上がったばかりであった。それでも朝鮮動乱の好景気を受け、昭和39年の東京オリンピックに向けて何かがスタートしていた。今の中国と同じような経済情勢であったと思われる。
しかし、実際はまだまだ貧しい国であった。子供の遊びはと言うと、野山で遊ぶ事がしかなかった。
夏は、毎日のように近所の悪戯仲間達と安倍川とか藁科川に行き、川遊びに励んだ。アルミの弁当箱にご飯を詰め込み、鰹節を掛け、赤色の6尺フンドシ或いは紐と手拭いで越中褌を作って、毎日のように安倍川、藁科川へ向かった。今のような海水パンツを持っている子供はマレであった。みんな薄汚れた白いショートパンツ、ランニングシャツ、ズック靴、そして麦藁帽子だった。
今思うと映画「スタンドバイミー」のようだ(笑)。まさしく毎日がアウトドアライフだった。
安倍川の砂利採取の穴(ドカチン)に飛び込んで遊ぶのが好きだったが、泳ぎ疲れてからその穴の壁を登ろうとすると、ズルズルずり落ちて蟻地獄状態になって、事故が何度か発生した。危険なので学校で禁止されたけど、ドカチンの水は凄く気持ちが良くて大人の目をかすめて飛び込んだ。ハヤとかオイカワが気持ちよく泳いでいた。
安倍川の支流、藁科川に<木枯らしの森>という川の中に小さな小山があって、その周辺では川魚をイッパイ採った。泳ぎながらその森で飯盒炊爨もやった。米の研ぎ方、火の熾し方、火加減など自然に覚えた。
<木枯らしの森>は今でも、懐かしくなって、時々家族で出かけるときがある。
その安倍川は黒部川と並んで日本で一番きれいな川と言われている。
静岡市に住んでいる人達はほとんど気がついていないが、静岡市には貯水池が無い。それでも給水制限なんかしたことがないのだ。一年中、安倍川の伏流水をポンプアップして使用しているのだ。まさしく南アルプスの水だ。静岡市の水道局は静岡市内20数カ所にポンプアップ場を設け、消毒して各家庭に送っている。また、源流から下流まで、全て静岡市に属しているという珍しい一級河川だ。
源流には山梨県との県境、文豪幸田露伴の次女、幸田文の著書「木」で紹介している安倍峠、「崩れ」で紹介している大谷崩がある。大好きな山の一つだ。
我が家で使用する水の半分は地下16mを流れる井戸水を使用している。東京から来た友人が「すげぇ美味しい水だ」と言ってくれた。蛇口からそのまま飲める水は不思議だと言っていた。子供が産まれた時、水質検査をしたが、全く問題ない…と云うことであった。
昨日の静岡新聞夕刊に「安倍川の伏流水なぜ美味しい」と載ってました。
http://www.the-support.net/something/etc/abekawa.jpg
昆虫採集