「30秒前」
「シート引いて!」
「10秒前」
「9、8、7、6、5、4、3、2、1、スタート」
海面は平ら、北東の風3〜4m。
清水港、三保半島沖のスタートラインを全艇クリア。
数秒は遅れてしまったけど、ラインの真ん中からスタート。午前6時。
コンパスコース147度。約17マイル南西にある西伊豆の田子港、
その沖にある田子島を反時計廻りして、清水へ戻ってくるレースだ。往復34マイル。
40年近く前にボクと、今<ボリアス4>に乗っているAくんとが最初に考えた
レースのような記憶がある。違うかもしれないけど。
今の艇では条件が良ければ午前中に帰って来られるはずだが、40年前の艇では
10時間以上かかるのはザラにあった。故にこんな早い時間のスタートになっているが、
今の艇ではスタート時刻を2〜3時間遅らせても良いだろう…と数年前から言い続けて
いるんだが(泣)。
◆ ◆
ハーバーへ午前4時集合。3時30分には家を出なくてはならない(泣)。
今日乗る艇は<ボリアス4>。みんなは艇に泊まっている。
5時にはドッグアウト。作戦会議を行いながらレース海面に向かう。
今日のポジションを決める。
ジャスト6時。オールフェア。
三保の本灯台の岬をかわしてスピンアップ。アビーム。
しかし、風が落ち始める。
予想はしていたが、嫌なモンだ(笑)。
どんなにスタートが良くても、この時刻、この場所、自分だけ帆走しるわけにはいかない。
潮もグルグル廻っている。故に近所に格好な「鎌ケ崎」という釣り場がある。
全艇、スピンを降ろして、ウロウロしている。
それしかない。吹いてくる風をここで待ち続けるしかない。
まあ、どこで、その風を待つのかは、非常に大事だ。
その風は、どちらから吹いてくるのか?。
しかし、そのベタベタの海面を切って黒い異様な三角形のモノが近づいてくる。
「ここ」へテーマ曲を挿入しようと思ったけど(笑)。
「おお、おお、おお」!
イルカでもない。
時々見かける海面で昼寝をしているハンマーヘッドでもない。
黒潮の流路の変化により、沖縄海域に住むモノが駿河湾まで来ているのかも
…と某大学海洋学部卒がもっともらしく云う(笑)。
艇の廻りを3周ほどゆっくり廻って、食い物じゃないことを悟ったのか、
どこかへ行ってしまった(笑)。ゆうに2mは越えていた。う〜む。
9時頃には吹き始めた。170〜180度から吹いている。真上り。
艇速5〜6ノット。
メインセールを新調したが、パワフルで上手く風を流してくれる。
ウルマー八木セール(笑)。宣伝をしておいてやろう。
数回のタックを繰り返し、田子島へアプローチ。
タックしないで西伊豆へ近づいたライバル艇<写楽>は、ずっと北にいる。
ワンタックで田子島へアプローチするつもりだろう。
田子島確認。
秋の雲ですね。いわし雲、うろこ雲。
…復路に続く。
サメ